国連差別撤廃委員会を「参観」するためにジュネーブを訪れていた在日本朝鮮人人権協会事務局員、朝鮮大学校非常勤講師の金優綺(キム・ウギ)さんが韓国ハンギョレ新聞(2014.08.25付け)に「国連差別撤廃委員会 参観記 モーリシャスの委員の言葉に目頭が熱くなる」というエッセイを寄稿されています。そのハンギョレ新聞の日本語版を読んで、もちろんモーリシャスの国連差別撤廃委員会委員の発言に「目頭が熱くなる」震源はあるのですが、金優綺(キム・ウギ)さんの真っ直ぐな純粋な目、その真っ直ぐな純粋な目で見た報告に私も目頭が熱くなりました。
 
以下、金優綺(キム・ウギ)さんのエッセイの全文(日本語訳)です。
 
[国連差別撤廃委員会 参観記]モーリシャスの委員の言葉に目頭が熱くなる(ハンギョレ新聞(日本語版) 2014.08.25)
 
「日本政府による朝鮮学校 「高校無償化」制度除外は差別」
不誠実な日本政府答弁に批判も
 
「なぜ、同じ質問が二回も三回も出されるのでしょうか? 答えは単純です。締約国の回答が満足なものではないからです。それが私たち委員の思いだということをはっきりさせておきましょう」
 
8月21日の午後、国連・人種差別撤廃委員会による日本政府審査が終了間近になったころ、モーリシャスの委員は日本政府の回答に業を煮やした顔つきで、こう強く批判した。彼の言葉はこう続いた。
 
「では、これまで何度も出されている問題について質問します。朝鮮学校についてです」
 
審査を傍聴しながらメモを取っていた私は、「Korean School」という単語を口にしたかれの言葉に耳をそばだてた。
 
「中華学校やアメリカンスクールなど、日本語以外の言語・文化を促進する他の学校と一緒に分類されている中で、差別が存在するという意見を聞いています。多くの学校は、最初から恩恵を受けているのに、朝鮮学校にはその恩恵が撤回され、政府からの経済的支援を受けられないでいます。先ほど、審査の結果、朝鮮学校が基準を満たさなかったためだという回答をいただきました。その基準とは何なのでしょうか?朝鮮学校が朝鮮民主主義人民共和国に近いということでしょうか?」
 
モーリシャスの委員が指摘した日本政府代表団の回答とは、「朝鮮学校は朝鮮総連と密接な関係があり、総連は北朝鮮と密接な関係があり…学校の適正な運営と認めるに至らなかった」「学校教育法第1条に定める学校になるか、北朝鮮との国交が回復すれば審査の対象となりえる」「学校教育法第1条に定める学校では、現に多くの在日朝鮮人が学び、国籍による差別には当たらない」というものだった。
 
2010年4月から導入された「高校無償化」制度(日本にある公立高等学校の授業料を無償とし、私立高等学校・各種学校認可を受けた外国人学校に対して就学支援金を支給する制度)は、制度施行直前に日本の拉致問題担当大臣が朝鮮学校の除外を提案したことをきっかけに、朝鮮学校を除外したままスタートした。制度が始まって既に4年以上が経つが、その間、他の外国人学校39校には就学支援金が支給されているにもかかわらず、日本に存在する朝鮮高校10校は、いまだに同制度から除外された状況が続いている。
 
この4年間、日本政府は、わざわざ朝鮮学校に関する審査基準をつくり、審査を開始したと思ったら、2010年11月に延坪島で起きた南北軍事衝突を口実に審査を中断した。その後、ようやく審査が再開されたと思ったら、審査の結論を延々と引き伸ばし続けた。そうしているうちに、2012年12月に発足した第二次安倍政権は、日本政府自らがつくった朝鮮学校に関する審査基準自体を削除するという信じがたい暴挙を行い、朝鮮学校を「高校無償化」制度から完全に除外したのである。
 
その間、朝鮮学校に通う高校生、保護者を中心とした在日同胞、また多くの日本人は、上げうる限りの声を上げて朝鮮学校に「高校無償化」制度を適用せよ、朝鮮学校に対する差別をやめろと叫んできた。朝鮮学校の高校生たちは、勉強する時間、部活動に汗を流す時間、友だちと過ごす大切な青春の時間を、街頭に出て署名を集める時間、文部科学省に対して抗議行動をする時間に費やし続けた。そしてついに、大阪・愛知・広島・福岡・東京の250人に及ぶ朝鮮学校の高校生・卒業生は、「高校無償化」制度の適用を求めて日本政府に提訴した。
 
上記の委員の発言は、次のように続いた。「私たちが提起している基本的な質問は、これは差別の問題ではないのか、ということです。人種主義の問題、人権の問題ではないでしょうか? 最終的に誰が被害を受けるのでしょうか…それは朝鮮学校に通う生徒たちです。私たちは、そうした観点から差別が存在すると言っているのです。政治的な理由など色々とあるでしょう。しかし基本的な問題として、これが差別という人権侵害の問題であると私たちは感じている、と言っているわけです」
 
その言葉に、思わず目頭が熱くなった。私たちがこれまで日本で叫んできた声は正当であり、日本政府による朝鮮学校の「高校無償化」制度からの除外は、国際的な人権基準に反する明確な差別の問題なのだということが改めて確認できた瞬間だった。本審査では、ヘイトスピーチの問題が議論の最大の焦点となった。委員たちは、審査前に行われたNGOブリーフィングの場で上映された朝鮮学校等へのヘイトスピーチデモの様子を撮影した映像を見て、一様に目を丸くし、驚きを隠さなかった。本審査では、多くの委員がこの映像に言及し、結果として朝鮮学校とヘイトスピーチについての質問が最も多く出された。
 
ヘイトスピーチデモに見られる差別の根本は、日本政府という公権力の差別的態度にある。日本政府による「高校無償化」制度からの朝鮮学校除外や、それに倣っている地方自治体による朝鮮学校への補助金停止という公的な差別が、日本における排外主義を蔓延させ続けているといえる。その根本を断ち切るため、国際社会からの支持を力に、諦めずに声を上げ続けていくしかない。
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