昨日の7月11日付け発売の週刊フライデーの「国谷キャスターは涙した 安倍官邸がNHK(クローズアップ現代)を"土下座〟させた一部始終」という記事が注目を浴びています。
 
このフライデーの「大スクープ記事」をいち早く紹介する記事を書いたのは名古屋高裁で違憲判決が出たイラク派兵訴訟の原告のおひとりで元外交官の天木直人氏。続いていち早く記事にしたのは弁護士の澤藤統一郎氏。おふたかたの記事を独立系メディアの「-wave Tokyo」があわせて記事にしていますのでご紹介しておきます。
 
そのほかにも目についたものを4本以下にあげておきます。
 
「NHK『クローズアップ現代』を首相官邸が叱責」フライデー報道 菅官房長官は否定(The Huffington Post 2014年07月11日)
安倍政権官邸のNHK恫喝フライデー報道の深層(植草一秀の『知られざる真実』 2014年7月11日)
フライデー報道が本当なら、国谷キャスターは安倍政権ではなく、NHKの体質に涙したと思う(BLOGOS 木村正人 2014年07月12日)
「クローズアップ現代」についての誤報(アゴラ 池田信夫 2014年07月12日)
 
当日のクローズアップ現代の番組「集団的自衛権 菅官房長官に問う」の全文書き起こしは上記のNHKのサイトで見ることができます。
 
また、当日の番組の録画は右記のYouTubeで観ることができます。
 
書き起こし記事と実際の会話の違いや週刊フライデーの記事やハイファンポストがフライデーの記事を引用して書くように「国谷さんが菅さんの発言をさえぎって」までほんとうに「『しかしですね』『本当にそうでしょうか』と食い下がった」のかどうか。そのあたりのニュアンスや事実関係を確かめることができます。
 
結論から言えば、週刊フライデーの記事は正確さに欠けます。ビデオを観て確認しましたが、「国谷さんが菅さんの発言をさえぎって」自身の意見や疑問を述べた形跡は見当たりません。国谷氏は菅氏の発言を最後まできちんと聞いた上で質問をしています。この部分は週刊誌の記事にありがちな扇情的な記事の書き方というべきでしょう。そこから敷衍して結論するのは飛躍の感は免れませんが、フライデー記事の「官邸サイドからNHK上層部に『君たちは現場のコントロールもできないのか』」と抗議が入った」「局上層部は『クロ現』制作部署に対して『誰が中心となってこんな番組作りをしたのか』『誰が国谷に『こんな質問をしろ』と指示を出したのか』」という”犯人捜し”まで行った」「国谷さんは居室に戻ると人目もはばからずに涙を流した」などの描写についてもその描写の信憑性についても私は疑問を持たざるえません。
 
この点については上記のアゴラの記事で池田信夫氏も次のように言っています。「『菅さんは秘書官を数人引き連れて、局の貴賓室に入りました。籾井会長も貴賓室を訪れ『今日はよろしくお願いします』と菅さんに頭を下げていました。その日の副調整室には理事がスタンバイ。どちらも普段は考えられないことです』(NHK関係者)これは間違いだ。国会議員が出演するとき貴賓室を使うのは当たり前で、NHKは幹部が出迎える。官房長官なら会長があいさつしてもおかしくない。毎週の「日曜討論」でも、副調整室には理事が来る。これは「普段」を知らないアルバイトの話だろう」などなど。私は政治家諸氏を迎えるにあたってのNHKの対応については知見はありませんが、おそらくこの点についての池田氏の説は正しいだろうと思います(私はかつて金光翔さん(元『世界』編集部員)が池田氏の評価について「池田は無茶苦茶な主張を展開していることも多いが、マスコミやリベラル・左派があえて『空気』を読んで沈黙しているか、何らかの『空気』を作ろうとしている点を、身も蓋もないやり方でぽーんと衝くことがある」(私にも話させて「メモ21」2011-09-24)と述べていたことを思い出します)。
 
さて、上記の私の観察を踏まえれば、天木直人氏や澤藤統一郎弁護士の安倍内閣とNHK批判自体には思いを共有するものの、フライデーの評価について少し早まった判断があるように思います。フライデー記事の評価についてはもう少し事実関係を確かめてからのことにした方がよいでしょう。
 
私はこの問題の本質は、先の「醍醐聰さんのNHK批判 ――『クローズアップ現代』がおかしい」というエントリでも紹介しましたが、籾井氏がNHK会長に就任して以降、NHKスペシャルやクローズアップ現代は秘密保護法や集団的自衛権の問題について「一度もこの問題を取り上げなかった」という事態にあるだろうと思っています。
 
今回、クローズアップ現代が「集団的自衛権 菅官房長官に問う」という番組でNHKとしての静かながらの硬骨のジャーナリスト魂を見せてくれたことは、現場サイドでのNHKのジャーナリスト魂はまだまだ決して死んではいないことを私たち視聴者に改めて示してくれたということでもあるでしょう。私たちはこのNHK職員の放送ジャーナリストとしての「信」をバックアップするためにも安倍・籾井体制を一日も早く退陣に追い込みたいものです。
関連記事
Secret

TrackBackURL
→http://mizukith.blog91.fc2.com/tb.php/943-336a1db0