広義の革新勢力と一応言っておきますが、その革新勢力の中にはいまだに民主党の小沢一郎氏と新党大地前代表の鈴木宗男氏をわが国の政治革新のための最大・最強の政権リーダー、あるいは政治家のように思いなす人々がいます。こうした小沢氏や鈴木氏の評価については1990年にわが国で著わした『日本/権力構造の謎』(全2巻)という著書の中で(その著書はベストセラーにもなったのですが)「ヨーロッパには小沢氏に比肩し得るような政権リーダーは存在しない」、また最近の著書の中でも「アメリカのオバマ大統領は小沢には及ばない」などと小沢氏を過度に評価するオランダ出身のジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレン氏の主に知識階層に与えた影響やそういうこととも関係しているのだろうと見ていますが、ここ数年来鈴木氏をとみに重用するようになったリベラル・左翼系雑誌の『世界』や『週刊金曜日』、またインターネット・リベラル紙の『マガジン9』などのいわゆるリベラルメディアの著しい質の劣化とそれにともなう負の影響が少なくないと思われるのですが、そのことはここでの主題ではありませんのでさておきます。

ここで述べたいのは、そうしたメディアの小沢・鈴木讃歌に影響された第2次被害者とでもいうべきいわゆるリベラル市民、リベラル・ブロガーたちの常軌を逸している、としか表現のしようのないすさまじい小沢・鈴木礼賛のオン・パレードのさまについてです。そのオン・パレードのさまをすべて述べることは私にとっては至難の業ですので、ここではひとつの例を挙げてそのオン・パレードのさまの帰結するところを見てみたいと思います。

そのひとつの例とは、今回の東京第5検察審査会の民主党・小沢氏に対する強制起訴議決に関して、「小沢氏起訴議決は問題あり」とするリベラル系、またリベラル・左翼系市民の声のことです。その論の特徴はやはり小沢氏と鈴木氏を根拠もなく、あるいは誤った根拠で擁護して果てしなくなるところにあります。以下、その声に対する私の反論をここに紹介することで、彼ら、あるいは彼女ら小沢氏と鈴木氏を擁護しようとする人の誤った論の果てしなさを見てみます。

        ………………………………………………………………………………

Aさん、ご返信ありがとうございます。

が、Aさんのご返信には各所にいろいろなレベルで事実誤認があります。その事実誤認に基づいて私の論にも反論されていますので、その事実誤認をただしながらの再反論ということにもなります。

第1。小沢、鈴木氏評価のデーターは過去のものではないか、という点について

たしかに私は小沢、鈴木氏の過去の自民党時代の経歴を例にとって彼らの日米同盟堅持、すなわち対米従属路線堅持の思想と姿勢を問題にしましたが(注)、彼らの日米同盟堅持の思想と姿勢はいまも変わっていません。

注:私は前便で小沢一郎と鈴木宗男ももともとは米国の日本占領が終わった直後の1952年にわが国の平和勢力の反対を押し切ってサンフランシスコ講和条約と第一次日米安全保障条約を同時調印し、それ以来の日本の対米従属路線を決定的にした自民党政権下でそれぞれ要職を歴任してきたことを例にしていました。

まず小沢氏について。

浅井基文さんが指摘されていることですが、2007年の『世界』11月号論文における小沢氏の「ISAF参加合憲」発言は日米軍事同盟体制の堅持を前提にした自衛隊の海外派兵容認発言というべきものです。浅井さんは下記の論攷で同発言は自民党幹事長時代からの小沢氏の持論の焼き直しでしかなく、彼の日米同盟堅持、対米従属路線堅持の思想と姿勢は自民党幹事長「当時とまったく変わって」いないことを論証しています。


また、「平和への結集」をめざす市民の風も「私たちは自衛隊のISAF参加に反対します」という声明(2008年1月13日付)でほぼ同様のことを指摘しています。

小沢氏の日米同盟堅持、対米従属路線堅持の思想と姿勢は現在も続いている思想であり、姿勢とみなすべきものでしょう(第2の論点も参照してください)。

鈴木氏について。

鈴木氏については沖縄在住の芥川賞作家の目取真俊さんの「鈴木宗男氏の主張はおよそ評価に値するものとはいえず、逆に反ウチナー的」である、という『世界』と産経記事を示した上での次のような指摘があります。

これらの主張を見るなら、 鈴木議員は〈辺野古移設〉に反対しているといっても、 一方で嘉手納統合案や下地島空港案など『県内移設』を主張しているのだ。注目すべきは鈴木氏が、両案を同時に主張していることであり、下地島空港については、知事から自衛隊の使用許可を得て米軍に使わせる、と具体的な方法まで述べている点である。(略)〈沖縄の民意〉は鈴木議員の主張する嘉手納統合案や下地島『移設』案とは相容れないものだ。
(「〈辺野古移設反対〉の虚々実々」目取真俊「海鳴りの島から」 2010年2月8日)

目取真さんの示す『世界』と産経記事は次のようなものです。

まず『世界』(2010年2月号)の記事。鈴木氏は次のように言っています。

私は、岡田外務大臣のいう嘉手納統合案も、普天間の危険性から考えれば一つの手だと思います。(略)私が国務大臣の時も、嘉手納統合案を言いましたが、(略)いま新たに考えていく価値は大いにあると思います。

産経記事(2010年1月14日付)は鈴木氏の同日の動向を次のように記しています。

鈴木宗男衆院外務委員長は14日、 大阪市内で開かれた共同通信社の 「きさらぎ会」 で講演し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先として「訓練できる滑走路があり騒音も関係ない」と述べ、沖縄県宮古島市の下地島空港が適当との考えを示した。

さらに目取真さんの上記の指摘とは別に下記の記事によれば鈴木氏は2009年12月にあったFEC日露文化経済委員会主催の第101回ロシア問題研究会の席上で日米同盟体制の堅持を前提にした上で「日米同盟と同様に日露同盟も必要だ」」と述べています。

鈴木氏の日米同盟堅持、対米従属路線堅持の思想と姿勢も自民党時代とまったく変わっていません。現在進行形の思想と姿勢であるということは明らかです。

第2。小沢氏は「日米両政府による普天間基地県内移設合意」に他の議員と一緒に異を唱えている、という点について。また、小沢氏は「対等な日米関係」を掲げている、という点について

Aさんの言われる「小沢氏は『日米両政府による普天間基地県内移設合意』に他の議員と一緒に異を唱えている」という点が仮に下記の民主党と社民党の衆議院議員、参議院議員有志合同の「普天間問題緊急声明」のことを指しているのであれば、その声明の中には小沢氏の名前は含まれていません。

また、仮にAさんの言われる点が、小沢氏が民主党代表選の告示にともなう菅氏との共同記者会見で普天間移設問題に関して県外移設の「腹案」があるかのように述べた「今、自分の頭にあることを申し上げるわけにいかないが、沖縄も米国も納得できる案は、知恵を出せば必ずできると確信している」という発言を指しているのであれば、小沢氏は翌日の日本記者クラブ主催の公開討論会の席で「日米合意を尊重することに変わりはない」という前提を述べた上で「今、具体的にこうするとかという案を持っているわけではない」と昨日の発言がハッタリに過ぎなかったことを早々と認めています。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/diplomacy/435592/

どちらにしても小沢氏が「『普天間基地県内移設合意』に他の議員と一緒に異を唱えている」という事実はないように思います。少なくとも私はその事実について知りません。

また、小沢氏の言う「日米合意を尊重することに変わりはない」とは、同合意が米国のアジア戦略を優先させた不平等合意であることが明らかである以上、これまでの対米従属路線堅持の姿勢となんら変わるところはないわけですからそれを「対等な日米関係」を掲げている、と評価することもできないように思います。

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