以下、kojitaken氏(「kojitakenの日記」主宰者)とZED氏(「Super Games Work Shop Entertainment」主宰者)のユニークで本質的な論2本をご紹介させていただこうと思います。ここでいうユニークとは世間一般の「見方」や「意見」とは必ずしも一致しない。世間一般の「見方」や「意見」に異を説える。世間一般の「見方」や「意見」を超えている。その意味でエクセレンス(秀逸)の意。だから、本質的、ということにもなります。ごちゃごちゃと言いましたが、要するに平たく言えば、ハッとさせられる意見、ということです。
 
ZED氏のコメントは一般の受け止め方としては「思っても見なかった」意見という意味で意表を突くものでしょう。「9条・護憲」を旗幟に掲げる人たちからの反発が予想されます。しかし、沖縄返還密約(非核三原則の沖縄への不適用)の日本側張本人の佐藤栄作(第61代、第62代、第63代総理大臣)すらも受賞した「ノーベル平和賞」はそもそも「平和賞」という名に値する賞なのか? ZED氏も指摘するように「オバマがノーベル賞を受賞して、アメリカは核放棄をしたのか? アメリカはその後も変わらず臨界前核実験を繰り返したし、リビアを侵略し、アメリカアフリカ軍(AFRICOM)をアフリカ各国に派兵して侵略行為を繰り返している」事実を事実としてありのまま顧みれば、ZED氏の指摘はしごくもっともな指摘と首肯するほかないものといえるでしょう。kojitaken氏のコメントは私にとっては「ユニーク」でもなんでもありません。これもしごくまっとうな指摘というべきです。
 
はじめにkojitaken氏の「『美味しんぼ』作者、ブログに『休載は決まっていた』」問題に関してのコメント。
 
「『美味しんぼ』作者、ブログに『休載は決まっていた』」(朝日)
(kojitakenの日記  2014-05-24 )
 
「美味しんぼ」作者、ブログに「休載は決まっていた」(朝日新聞 2014年5月23日)
 
人気漫画「美味しんぼ」(小学館)の東京電力福島第一原発事故に関する描写などが放射能リスクや表現の自由をめぐる議論を呼んだ問題で、作者の雁屋哲氏が22日、ブログを更新し、「休載は、去年から決まっていたことです」と説明した。
 
鼻血と被爆を関連づけた内容などに様々な見解が寄せられていることについて、「そのようなことに編集部が考慮して、『美味しんぼ』の休載を決めた訳ではありません」とし、外部からの意見の影響を否定した。
 
「熱心な愛読者の方から『圧力に負けないで勇気を持って書き続けて欲しい』というお便りを数多く頂きました」と紹介し、「ご心配頂いた読者の方には申し訳ないのですが、その段階で原稿は書き上げてあり、作画もできあがっていたので、圧力に負けようにも負けようがなかったのです」と強調した。
 
そのうえで休載理由について、「連載も長期化すると、原作者も、作画家も時に休みを取る必要があるのです」と説明 している。
 
雁屋哲の書いた通りであろう。というより、『美味しんぼ』の連載のあり方は、相当前からそのようなものだった。
 
この漫画は、『めぞん一刻』(高橋留美子)や『YAWARA!』(浦沢直樹)などが『ビッグコミック・スピリッツ』に連載されていた頃から、これらの作品に優るとも劣らない人気作だった。高橋留美子や浦沢直樹の作品は、数年しか続かなかったが、『美味しんぼ』は30年以上続いており、その間、原作者の雁屋哲や作画の花咲アキラは大儲けしたはずである。
 
とっくの昔に作者たちは「セミリタイア」状態になっており、漫画は休載が主で、たまに掲載されるという認識を私は持っていた。念のためにWikipediaを参照すると、
 
「2000年頃からは1年のうち大半を休むことが多くなっており、東日本大震災などの一つの主題を連続で描く時も途中休載することがあり、休載せずに完結することは少ない。」
 
と書かれている。
 
もはや「セレブ」に属するであろう作者たちの「予定の休載」に、得意の陰謀論敵(ママ)解釈を振りかざして大騒ぎする一部の「脱原発」派のていたらくには、開いた口がふさがらない。
 
次にZED氏の「韓非子に曰く」という論。ZED氏は「在日」の立場から日韓在住の同胞に呼びかける体でこの記事を書いていますが、もちろん日本人へのサジェスチョンとしても書いていることはいうまでもありません。さて、「韓非子に曰く」とはどういうことか? ZED氏は『韓非子』の中にある「守株待兔」という説話をアフォリズムとして引用しています。
 
「守株待兔」とは日本の童謡の言葉で言えば「待ちぼうけ」。「昔宋に農民がいた。彼の畑の隅に切り株があり、ある日そこにうさぎがぶつかり、首の骨を折って死んだ。獲物を持ち帰ってごちそうを食べた百姓は、それに味をしめ、次の日からは鍬を捨て、またうさぎがこないかと待っていたが、二度と来なかった。そのために作物は実らず、百姓は国の笑いものになった」という話(ウィキペディア『待ちぼうけ』)。
 
ZED氏は次のように指摘します。「憲法9条にノーベル賞が与えられたとて日本は軍拡化をやめはしないし、むしろそれを正当化の口実に悪用するだろう。日本とその国民達が酔い痴れている偽善と欺瞞を徹底的に引っぺがして対峙する事でしか、アジアの民衆が日本帝国主義と軍拡化を止める術はないのである」。同意です。私も同様の懸念を強く持っています。
 
韓非子に曰く(ZED 2014年05月23日)

待ちぼうけ
 
・「9条にノーベル賞を」に対する韓国側の駄目過ぎる絶望的な反応
 
日本の「憲法9条にノーベル賞を」という呆れた運動について韓国側の反応を色々と調べていたのだが、予想はしていたけれど惨憺たる例ばかりが目に付いた。保守派・進歩派問わずこれにまともに反対している人間を見た事がない。むしろ日本軍拡化のブレーキになって良い事だという意見が言われているくらいだ。その典型例が京郷新聞の論説委員である李鍾鐸が書いた以下のコラムである。この文の結論部分を訳して抜粋しておく。
 
日本国憲法9条(韓国語記事)
 
だがこの憲法9条が日本に大きな栄誉をもたらしてくれるかもしれないというニュースだ。日本のある主婦が憲法9条を守ろうというキャンペーン次元でノーベル委員会にノーベル平和賞候補に推薦したが、これが受け入れられたという話である。(中略)結果は未知数だが、今回の事で日本の軍国主義の動きにブレーキが掛けられるなら、それだけで意味があると思う。
 
ああ、この人は何も日本の実情が分かっていないんだなあと。それでこんなに呑気な事が平然と言えるのだなあと。古代中国で韓非子が指摘していたのはまさにこういう事例だったんだなあと。本当に京郷新聞は終わってんなあと。そんな事を思った。
 
「9条にノーベル賞」が与えられたら「日本の軍国主義の動きにブレーキ」が掛かるだって? そんな訳ねーだろ。ブレーキどころか、むしろ日本の軍国主義化をさらに助長させる結果になるだろう。オバマがノーベル賞を受賞して、アメリカは核放棄をしたのか? アメリカはその後も変わらず臨界前核実験を繰り返したし、リビアを侵略し、アメリカアフリカ軍(AFRICOM)をアフリカ各国に派兵して侵略行為を繰り返している。シリアにも軍事介入しようとした。仮に憲法9条にノーベル賞が与えられても、日本はアメリカと全く同じ事をしようとするだろう。これを奇貨として「9条を持った平和国家・日本が戦争なんかする訳ない。自分達の軍隊は平和の為なんだ。平和の為に自衛隊を派兵してるんだ」という正当化の口実をさらに前面に押し立てて軍拡化にはげむに決まっている。いわゆる「美しい誤解作戦 by 伊勢崎賢治」というやつだ。
 
思い出すが良い。旧大日本帝国が侵略戦争を始めた時に何と言ったか? 「大東亜共栄圏は東洋平和を保全する為だ by 豊川善曄」と。朝鮮半島の人間は「9条にノーベル賞」を「現代版大東亜共栄圏」と読み替えるべきなのである。
 
今の安倍政権が進めているのは解釈改憲、つまり憲法の文言はかえないまま「解釈」を変える事で軍拡化するという事なのだから、それにノーベル賞なんかやるのは解釈改憲に「お墨付き」を与えるに等しいという点に朝鮮半島の民衆は気付かねばならない。
 
日本で「9条にノーベル賞を」運動をしている連中というのは2種類に大別出来ると思う。第1は、本人自身は平和主義者としてこれがウルトラC級の秘策のつもりでいるが、それがどういう結果を生むかという深い予想や推察すら出来ない頭の悪い人達。つまり「無知の善意」を押し付けようとしている愚人で、この運動を始めた主婦などそれにぴったり当てはまるのではないか。第2は、それに便乗して悪用しようとしている悪意の確信犯だ。こちらの層は少なくとも前者のように馬鹿ではなく、自分らの私欲や政治的目的の為に計算ずくで動いている。この運動に賛同している学者や国会議員のような著名人層が該当するだろう。そもそもこれに賛同している「超党派の国会議員有志」に自民党の議員まで含まれている時点で疑いを持たねばならないはずだ。あんたらんとこの総理・総裁が進めてる政策と(表向き)矛盾してねえのか? だったらまずは離党してからそういう運動しろよ、という話だろう。そして、前者(愚人)の層の中のある人々は、ふとしたきっかけでいくらでも後者(確信犯)に鞍替えし得る。
 
いずれにせよ、韓国の人々はあまりに呑気過ぎる。こんなしょーもない運動に「日本の軍国主義の動きにブレーキ」を期待する事ほど愚かな事はない。韓非子の言う通り、これはまさにウサギが切り株に頭をぶつけてくれるのを待ち続けて笑いものになった農夫の姿そのものだ。憲法9条にノーベル賞が与えられる事で日本の軍拡化にストップが掛かるのを待ち続ける韓国の民衆は、後世間違いなく笑いものになるだろう。
 
守株待兔
株を守りて兎を待つ
 
と。
 
憲法9条にノーベル賞が与えられたとて日本は軍拡化をやめはしないし、むしろそれを正当化の口実に悪用するだろう。日本とその国民達が酔い痴れている偽善と欺瞞を徹底的に引っぺがして対峙する事でしか、アジアの民衆が日本帝国主義と軍拡化を止める術はないのである。
 
【追記】
上記の「9条に平和賞」の意見書をノルウェー大使館に出した超党派議員団60人のメンツが分かる方は、どなたかいらっしゃいませんか? というのも、聯合ニュースの韓国語版に変な事が書いてあったからです。
 
「自民党からは長島忠美衆院議員と金子恭之衆院議員ら2名が参加したと共同通信は伝えた」
 
え? 長島忠美と金子恭之だって? この二人は神道政治連盟だの日本会議だのとズブズブの関係な極右そのものの議員なんですけど…。ましてや金子はバリバリの改憲派で売ってる議員であり、「偽装戦術」だったとしてもこんな所に顔を出すとは考え難い。聯合ニュースの誤報の可能性が高いとは思いますが、他に確認出来るニュースソースもないので確信も出来ません。事実だったら事実だったで、この運動の欺瞞性を証明してくれる好例ではありますけど。まあ、韓国ではこんな変な話も出回って情報が錯綜しており、それだけ日本の事情が分かっていないという事を教えてくれる逆理でもありますが。
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