下記「論評」によると、日本政府がふたたび「アジア女性基金(国民基金)」の策動を行っているようです。
 
被害者や被害者支援団体の反対にもかかわらず強引に発足し、金さえ渡せばいいだろうといわんばかりの姿勢で、「慰安婦」問題に混乱を持ち込み、被害女性を侮辱し、傷つけてきたアジア女性基金。その中心人物たちでさえも、基金の失敗を認めざるを得なかったアジア女性基金。その名がふたたび出て来るとは(前田朗 3月28日)。
 
*下記にアジア女性基金(女性のためのアジア平和国民基金)とは何であったか、をいま再び再考してみるために、女性史研究者の鈴木裕子さんの論と私の拙論を添付しておきます。ご参照ください。(東本)
 
日本軍「慰安婦」問題解決、日本政府は知らずにできないのか
 
27日付韓国日報の記事(引用者注:下記日本語訳参照)によると、日本政府が日本軍「慰安婦」問題を論議するという名目で日本軍「慰安婦」被害者の福祉施設である[ナヌムの家]関係者と面談したことが報道された。日本側の要請でなされたというこの場には、山本恭司外務省アジア大洋州局地域政策課長と在韓日本大使館所属参事官が現れ、安倍総理が河野談話を見直ししないと明らかにした事実を強調した。また、海外での平和の碑(日本軍「慰安婦」少女像)建設について困惑しており韓国と速やかに問題を処理したい意向を明らかにしたとのことだ。
 
このような面談を日本政府が日本軍「慰安婦」問題解決のためついに何か行動を起こそうとしたのではないかと期待する人がいるかもしれないが、この場で日本軍「慰安婦」被害者に女性のためのアジア国民基金(以下、国民基金)を追加支給する意思があると明らかにしたことをとっても、不穏な日本政府の本音を見せている
 
設立当初から国民基金は、日本軍「慰安婦」被害者はもちろん各国支援団体や韓国政府も日本政府の国家責任を回避するための民間基金に過ぎないと拒否の意を表した失敗の試みだったが、被害者と隠密に接触し基金支給の受取率を高めるためブローカーを雇うなど数々の問題を孕んだまま2007年に活動を終了した。すでに国際社会も国民基金は被害者が受け入れることのできる解決策とならず、日本政府の国家的・法的責任に依拠した解決策を求めてきたが、日本政府は国民基金を問題解決のための誠実な措置であると宣伝し被害者と国際社会の努力を無視してきた。
 
ところが、再び国民基金を追加支給するという思いもよらない提案に驚かされた。これは去る20年間国民基金受取を拒否し、日本政府の国家責任認定と賠償を求めてきた被害者の要求を再び黙殺するものに相違ない。核安保首脳会議を契機にアメリカの仲裁で背中をおされた安倍総理の河野談話見直しせずという極めて当然な話が融和的ジェスチャーとして受け入れられ、「慰安婦」問題に対する局長級接触が打診される雰囲気の中で日本のこのような行脚が誠実な措置として受け入れられると期待したならば、それは大きな誤算である。
 
結局20年間叫び続けてきた日本政府への被害者の要求をことごとく無視したまま、全く修正されない原案を提示したということは、日本政府が日本軍「慰安婦」問題解決のため一歩も進むことができないことを見せ付けてくれた。これまでの粘り強い要求を知らないはずがないにもかかわらず、古びた話を取り出し被害者の意志を聞きたいということ自体が理解不能な話である。国民基金強行当時、日本政府が見せた隠密な接触と無理強いがそのまま再現された格好だ。国際社会の支援を引き出し平和の碑建設などの活動を行ってきた挺対協をはじめとした民間の努力と被害者の長期間の訴えがそれほど困惑するものであるならば、今からでも日本軍「慰安婦」という反人道的犯罪に対する日本政府の国家的・法的・歴史的責任認定と措置を「カード」として差し出すべきである。いわんや犯罪さえ否認している最近の日本政府であるゆえ、国民基金が標榜する「償い金」という言葉が真っ赤なウソであることは当然の道理だ。過ちも認めず言い逃れを繰り返すばかりなのに、謝罪の言葉はどこからも飛び出してくるわけがないだろう。被害者の悔しさと苦痛は、まさに加害者である日本政府が犯罪の本質と行為自体を認めないところから来ているのである。
 
今回の面談を知らなかったという韓国政府もいい笑いものとなった。とくに26日、産経新聞は日韓局長級協議で日本が「慰安婦」福祉事業に政府予算を投入することを求める韓国側の要求に応じない方針だと報道した。福祉事業に日本政府予算を投入することを根本解決策として要求したならば、それ自体おかしい話だが、政府間交渉を目前にして隠密な個別接触があったことを全く知らないならば、韓国政府の情報力と「慰安婦」問題解決意志も苦言と疑心の目を避けることはできないだろう。日本軍「慰安婦」問題に対する真の措置を求め首脳会談も拒否してきた韓国政府が、日本軍「慰安婦」問題の解決のための確固とした姿勢をみせるには被害者の意志を代弁する信頼ある代理者となるほかない。
 
「お腹がすいているからご飯をくれと言っているのではありません」という日本軍「慰安婦」被害者の要求、すなわち日本の明白な責任認定と公式謝罪、法的賠償、そしてそれに続く妥当な後続措置を日韓両政府がはっきりと理解し真の解決を図るよう求める。
(強調は引用者)
 
             韓国挺身隊問題対策協議会
共同代表 ユン・ミヒャン ハン・グギョム キム・ソンシル

参考:日本政府要人先週ソウルで慰安婦ハルモニ側と初めての接触 4月韓日局長級協議控え、対話条件探索ために(韓国日報(日本語訳) 2014.3.27)

日本政府が先週ソウルで慰安婦被害ハルモニ側と接触した事実が26日確認された。 わが政府と慰安婦被害者問題を本格議論するのに先立ち、当事者である被害ハルモニの要求事項を把握する趣旨で知らされた。 日本政府要人が慰安婦被害おばあさん側と会ったことは初めてで、来月中旬韓日局長級協議を控えて態度変化があるのか注目される。

外交消息筋によれば山本恭司日本外務省アジア大洋州局地域政策課長と駐韓日本大使館所属参事官は17日ソウル市内あるホテルで生存日本軍慰安婦被害ハルモニの支援施設であるナムヌの家の関係者と会った。 日本政府要請によりなされたことで当初日本側は慰安婦被害ハルモニらと直接会うのを希望したがハルモニはまだ時期尚早だと判断しナムヌの家関係者を代わりに送ったと伝えられた。

この席で日本側は安倍晋三総理が14日、慰安婦の強制動員を認めて謝罪した河野談話を修正しないと明らかにした事実を取り上げ論じて自分たちの真正性を強調したと伝えられた。 引き続き1995年作ったアジア女性基金を通じてすでに国内慰安婦被害ハルモニのうち60人が基金を受領したとして残りのおばあさんにも追加賠償する意向があると提案した。 特にアメリカ、オーストラリアなどで慰安婦少女像の建設運動が広がって全世界の注目をあびている点に非常に困惑しており、「韓国と慰安婦問題を早く決着させたい」という意向を伝えた。

これに対して慰安婦被害ハルモニ側は「日本政府が慰安婦強制動員に対する法的責任を認めて安倍総理が直接国際社会に向かって謝罪しなさい」と促した。 また、慰安婦被害生存者が55人に過ぎず、問題解決が至急だとしながら日本政府の誠意ある措置が先だという点を再度強調した。

この日両側の出会いは探索の動きに終わったが、その間慰安婦問題解決に消極的だった日本政府が慰安婦被害ハルモニ問題に積極的な態度を見せ、今後進展した立場を出すのか注目される。 何より来月バラク・オバマ大統領のアジア歴訪直前に開くと見られる局長級協議結果が関心だ。 これに関連し、日本の産経新聞は韓日局長級協議で日本は慰安婦福祉事業に政府予算を投じることを要求する韓国側要求に応じない方針だと26日報道した。 日本の責任認定を要求する我が政府の立場と相い反する部分で、協議結果と慰安婦問題の進展の有無により韓日首脳会談の可能性を打診できるという展望も出てくる。

これに対し日本の法的責任の代わりに日本側が慰安婦ハルモニに直接謝り、日本政府がハルモニの被害を補償する方案が折衷案で議論されると伝えられた。 アジア女性基金の場合、民間募金を設立して日本政府は責任から逃れた(?)形を取った。
 
「国民基金」(女性のためのアジア平和国民基金)とは何であったのか(上)--問題の本質を隠蔽(鈴木裕子 2007/11/30)
「国民基金」とは何であったのか(下)--「国民基金」推進派は反省し新の解決に向けて努力を!(鈴木裕子 2007/12/2)
「のりこえねっと」の立ち上げについての私の違和感 ――真に「乗り越えなければならない」 課題とはなにか?(弊ブログ 2013.09.29)
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