以下、本日付け(2月19日)の朝日新聞の「籾井NHK会長『発言、どこが悪いのか』 経営委で」という記事と藤原新也さんの「公共放送であるNHKの瓦解は、メディアの将棋倒しの危険をひめていると言える。」(2014/02/18)という論のご紹介です。関連する記事、論だと思います。藤原さんは同論で「NHK受信料『留保』」行動という抵抗権の行使を提唱しています。ただし、私は、もうふた昔以前から「NHK受信料『留保』」の抵抗権を行使していますので(私事ながら、息子がこれももう7、8年ほど前にNHKの採用試験を受けて最終選考で撥ねられたことがありますが、そのせいもあるか?)残念ながら藤原さんの今回の提唱にあらたに参加することはできません。
 
籾井NHK会長「発言、どこが悪いのか」 経営委で
(朝日新聞 2014年2月19日)
 
就任会見での従軍慰安婦問題や特定秘密保護法などをめぐる発言が問題になった籾井勝人NHK会長が今月12日の経営委員会で、「取り消しているし、どこが悪いのか。素直に読めば理解できるはずだ」という趣旨の発言をしていたことが18日わかった。経営委内部では「反省していない」との声があがっている
 
12日の経営委では作家の百田尚樹氏、埼玉大名誉教授の長谷川三千子氏の両委員の言動などを審議し、経営委員は「一定の節度を持って行動していく」とする見解をまとめた。
 
複数の関係者によると、委員会の最後に、ある女性委員が会長発言の影響について「受信料不払いなどのリスクにどう対処するのか」と質問。籾井会長は「営業が頑張る」と答えたのに対し、具体案を尋ねられた後、「(発言の)どこがおかしいのか」「会見の記録全体を見てもらえればわかる」という旨の持論を述べた。別の委員から「そういう物言いはおかしい」と反発する声があがり浜田健一郎委員長がぶぜんとして「終わります」と委員会を打ち切ったという。
 
会議終了後、委員からは「浜田委員長が注意した意味がない」と懸念する声が出た。1月28日の経営委で籾井会長は「個人的な見解を発言したのは不適切だった」と反省を表明、委員長が「自身の立場を理解いただきたい」と会長に注意していた。
 
今回の発言について、NHK上層部の幹部は「就任会見では記者がしつこく聞くので致し方なかったと言いたいのだろうが、自分は悪くないという趣旨に受け止められても仕方ない」と指摘した。
 
約半月後に公開される経営委の議事録の表現については調整中という。(編集委員・川本裕司)
 
公共放送であるNHKの瓦解は、メディアの将棋倒しの危険をひめていると言える。(藤原新也 Shinya talk 2014/02/18)
 
流れてくるラジオをそれとなく聞いていると、ゲストに鳥越俊太郎氏が出ていて、例のNHK問題に関連して「不払い運動を起こすべきだ」としゃべって、アナウンサーは慌てて話しを他に振っていた。

Catwalk会員からの2月10日の投稿でも「NHK公共放送への権力の圧力を批判する行動をなにか起こせないものでしょうか」とあるが、機構を動かす立場にない私たち一般庶民にできることは鳥越氏がしゃべっていたようにNHKへの抗議の意味での「不払い」という行動である。
 
安倍首相が自ら任命権のある(NHK会長の任免権を持っている)NHK経営委員に埼玉大学教授の長谷川三千子氏や作家の百田尚樹氏など過激な右翼思想を持った4名のお友達を任命した意味とは12人で構成される経営委員のうち、4人の拒否があれば会長候補にのぼった会長はその拒否権によって選出されないという規則があるからだ。
 
つまり12人全部でなくとも4人の安倍の意中の人間さえ経営委員に送り込めば自分の思い通りのNHK会長がをつくることができるということだ。安倍という人間はほんとうに悪知恵に長けている
 
その結果生まれたのがあの籾井(もみい)勝人氏という会長であるわけだが、ご承知のように就任会見の席で記者から従軍慰安婦問題のことを尋ねられ、とつぜんオランダの飾り窓の女(いわゆる娼婦)のことを持ち出し、娼婦は世界どこにでもいるのだから慰安婦をことさら特別視することもない、とも受け取られかねない愚鈍な迷言を発し、また特別機密保護法のことを尋ねられ「通ったものは仕方がない」などと自らが政府の人間でないにもかかわらずなぜか”居直り”とも取れるような発言をしたりと、あきらかに公平であるべき公共放送の長に不適格な人格であることを自から露わにしている。
 
とうぜんマスコミの非難を受け、国会では火消しのために謝罪の意を表したわけだが、人格というものは謝罪によって変わる種類のものではなく、彼が会見で露わにしたきわめて偏狭な”思想”は謝罪面の下でいまだにあぐらをかいているわけだ。
 
そんな中、公共放送であるNHKの存立がおそらく戦後もっとも”危ない”局面にさしかかっていることはNHK職員もひしひしと感じており、内部には今鬱屈した空気が充満していると聞く。
 
そしてこの局面を打開するのは当然時の政権であるわけはなく、弱体化した野党であるわけでもなく、NHKの一般視聴者以外にないという意見が出はじめているのである。
 
つまりNHKの財政を支える一般視聴者は企業で言えば一口株主のようなものであり、もっともNHKに対してモノが言えるのはNHKの財政を支えている一般視聴者に他ならないわけである。
 
そういう意味において当然公に口にすることは出来ないが、この危機を打開するためにNHK内部の社員自ら「不払い運動が起こってほしい」と思っている人が大変多いのである。
 
冒頭の鳥越氏の発言にはそういった意味があるわけだが、彼の発言にはジャーナリストらしからぬ穴がある。
 
それは「不払い」という言葉を使っていることだ。
 
現今の放送法にかかる法律では「不払い」とはひとつの犯罪であり、由なく不払いを続けるとそれは差し押さえの対象となり、法的に強制的に支払いを命じられるとともになにがしかのペナルティを課せられる可能性がある。
 
つまり不払い行動には視聴者としてまっとうな筋を通したロジックを持って臨み、軽率にも「不払い」という言葉を使うのではなく「留保」という言葉を使うべきなのである。
 
つまりこのたびのNHK会長の発言ならびに経営委員の発言や立ち居振る舞いは公共放送は公平であるべきとする「公共放送法」に抵触するものであり、その危惧が払拭されるまでNHK受信料支払いを一時留保する。というまっとうなロジックを携えて一介の庶民としての力を発揮すべきなのである。
 
そういった文言に関する、そして穴のないロジックの周到な準備の上に立って”不払い”行動を起こした場合、それを差し押さえでもって対処したとするならおそらく裁判では不利になるから相手はそう簡単には動けないわけだ。
 
それから鳥越氏の発言のもうひとつの穴というか弱さは”不払い’発言をしながら自分自身その不払い行動を起こしているかどうかの発言がなかったということだ。
 
このトークでいずれNHK問題に触れると書いたのはつまりその件であり、都知事選につづき、また今回も私はCatwalk号船長としてではなく”個人”としてNHKの危機が改善されるまで受信料支払いの一時留保を実行することをすでに早くから決めている。
 
これは公に言葉を扱う表現者としてきわめて自然な行動であり、そういった動きが作家その他の表現者から上がってこない方が不思議である。
 
余談だが、NHKの営業経由の情報になるが、視聴者の中にはそのような常軌をわきまえた方々が大勢いるようで今回のNHK会長の発言を期に静かな支払い留保行動が起こっており、すでに万単位に近づきつつあるらしい。
 
「この傾向がさらに進めばそれはNHKの存在理由の根底を崩すものですから、組合としてもその一般視聴者の動静を盾に会長の去就に言及できるようになる。それにはさらに数が欲しい」
 
NHKのある職員はそう言った。

追記

本エントリ内の藤原新也さんのNHK受信料不払い運動に関する論について東京造形大学教授(法学者)の前田朗さんから以下のような反論がありましたのでご紹介させていただこうと思います。その前に前田さんの反論に対する私の応答を先に記しておきます。以下のようなもの。
 
前田さん、ご指摘ありがとうございます。「支払うべき受信料を故意に支払わないことが犯罪とされているのですから、不払いと言おうと、留保と言おうと、同じです」というご指摘はまったくそのとおりだと思います(藤原さんはおそらく「留保」という言葉を国際法上における「留保」の意味(「留保」を宣言すれば条約の適用を一部除外、または制限することができる、の意)で用いられたのだろうと思いますが、放送法との関連でいえば、「不払いと言おうと、留保と言おうと、同じ」だろうと私も思います)。
(以下、省略)
 
以下は、前田朗さんの藤原新也さんの論への反論(一部省略)。
 
藤原新也さん、これまでのNHK受信料不払い運動についての基礎知識をまったく持っていないのですね。
 
若干補足させていただきます。
 
不払い運動は、放送法の受信料強制が憲法違反であるという立場によるものと、それはともかくとしてNHK番組が偏向しているという立場によるものがあり、両者が交錯し、重なったりしています。たぶん、東本さんは主に前者で、従として後者でしょう。私も。
 
冒頭の鳥越氏の発言にはそういった意味があるわけだが、彼の発言にはジャーナリストらしからぬ穴がある。それは「不払い」という言葉を使っていることだ。現今の放送法にかかる法律では「不払い」とはひとつの犯罪であり、由なく不払いを続けるとそれは差し押さえの対象となり、法的に強制的に支払いを命じられるとともになにがしかのペナルティを課せられる可能性がある。
 
さて、第1に、藤原さんは「不払い」は犯罪になりペナルティがあるから、鳥越さんの話には「穴」があるとの意見です。
 
放送法上の「犯罪」にあたるとしてもあえて不払いとするという立場が、従来の不払いですが、そのことを理解していないのですね。
 
つまり不払い行動には視聴者としてまっとうな筋を通したロジックを持って臨み、軽率にも「不払い」という言葉を使うのではなく「留保」という言葉を使うべきなのである。
 
第2に、藤原さんは「不払い」は犯罪になるが、「留保」は犯罪にならないと思い込んでいるようです。間違いです。支払うべき受信料を故意に支払わないことが犯罪とされているのですから、不払いと言おうと、留保と言おうと、同じです。
 
つまりこのたびのNHK会長の発言ならびに経営委員の発言や立ち居振る舞いは公共放送は公平であるべきとする「公共放送法」に抵触するものであり、その危惧が払拭されるまでNHK受信料支払いを一時留保する。というまっとうなロジックを携えて一介の庶民としての力を発揮すべきなのである。
 
第3に、NHK会長や経営委員の発言が放送法に反するという意見が「まっとうなロジック」というのも間違いです。東本さんや私はこの意見に賛成ですが、それは通りません。法律上、「ある人物の発言が放送法に反するか否かを視聴者が判断する」ということは想定されていません。人によって判断が割れやすい性質の問題ですから、そういう事を想定するということはありません。
 
そういった文言に関する、そして穴のないロジックの周到な準備の上に立って”不払い”行動を起こした場合、それを差し押さえでもって対処したとするならおそらく裁判では不利になるから相手はそう簡単には動けないわけだ。
 
第4に、藤原さんの言う「穴のないロジック」(実は無意味な独りよがりのロジック)について、差し押さえで対処するとNHK側が「裁判で不利になる」ということはありません。裁判で問題になるのは、(1)受信料支払い義務があったか否か、(2)支払い義務があると知りながら、故意に期日までに支払わなかったか、という事実です。藤原さんの独りよがりな意見を聞くような、お暇でノー天気な裁判官はいません。
 
第5に、NHKが不払いに対して強制徴収や裁判手続きをあまりしてこなかったのは、藤原さんの主張とは全く関係なく、(1)実際に強制するとかえって反発が広がって不払い運動が広まる懸念、(2)わずかな受信料のために正式手続きを取っても無駄なコストがかかるだけ、という理由です。前者(1)については、NHKと安倍晋三による番組改ざん問題の後しばらくNHKはおとなしくして、不払いに対して何もせずにいましたが、ほとぼりがさめると再び強制手続きを少しやるようになりました。内部からさえ、ポーズという声もありますが。
 
運動としては、ともかく今回の件で不払いが増えれば、それがNHKに対する庶民の意思表示になるので、その点は下記の藤原さんの意見に賛成です。また、この点以外の藤原さんの意見も、それなりになるほどと思って読みました。
 
以上。
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