第1(承前)。第3の論点に入る前に前エントリで述べた第1の論点について若干の補充をしておきます。
 
第1の論点の終わりで私は次のように述べました。
 
「もう一点、週刊新潮の記事の中にある「澤藤氏の息子がスタッフを怒鳴りつけるなどトラブルになったり」した点については、私は澤藤大河氏側の「釈明」を知りませんので(おそらく上原公子氏や熊谷伸一郎氏に対して「抗議」したことを捉えて宇都宮陣営側は「スタッフを怒鳴りつける」などと言っているのだろう、と私は理解していますが)この点については措いておきます。」
 
しかし、この「澤藤氏の息子がスタッフを怒鳴りつける」(「週刊新潮」の記述)問題については澤藤統一郎弁護士の次のような証言があります(「宇都宮健児君、立候補はおやめなさいーその24」 2014年1月13日)。この澤藤弁護士の証言が間接的にこの問題の解説と証言になりえているように思いますので、以下、当該部分を引用してみます。
 
「後に、熊谷伸一郎事務局長(岩波書店勤務)主導で、大河に対する任務外し正当化の攻撃材料が集められる。任務外し時点では一切告げられていなかった、「事後的に作りあげられた」理由である。「スケジュールの作成が遅いと事務所で大声で怒鳴った」「街宣先で腕組みをしてふんぞり返っていた」「放送局員に突っ慳貪な応対をした」「協調性がない」「たくさんのクレームが寄せられている」「大河さんの名誉を考えたら騒がない方が良い」…。
 
企業が望ましからざる労働者を追放しようという場合には、トラブルメーカーに仕立て上げるのが常套手段である。情報を集積して、些細な出来事を積み上げる。針小棒大に言い立てて孤立させる。ブラック企業とまったく同じことを、宇都宮選対はやってのけた。
 
熊谷伸一郎事務局長(岩波書店勤務)は、情報の独占者であった。どんなクレームが寄せられているか。彼以外には誰も知らない。まことに、情報の独占こそが「小さな権力の源泉」である。みっともなくその手先になった面々が哀れである。」
 
同記事には「大河は任務外しを、自分が遠慮なく熊谷伸一郎事務局長(岩波書店勤務)を批判したことへの報復と理解した」という澤藤弁護士の証言もあります。「週刊新潮」に掲載された宇都宮陣営側の「澤藤氏の息子がスタッフを怒鳴りつける」云々の証言は、「どんなクレームが寄せられているか。熊谷事務局長以外には誰も知らない」クレームを澤藤大河氏が「遠慮なく熊谷伸一郎事務局長を批判したことへの報復」として熊谷氏及びその意を受けた宇都宮陣営側の誰かが創作してメディア(「週刊新潮」)に流した公算が大です。すなわち、フレームアップの公算が大だということです。

上記がこの問題についてのいまのところの私の評価です(当事者の証言の評価は難しいものがありますが、澤藤父子の証言も宇都宮陣営側の証言もどちらも当事者の証言です。そういう意味でどちらの証言にも現時点で「客観性」の保障はありません。したがって、いまの段階ではどちらの証言に信を置くかという問題にならざるをえませんが、より澤藤父子の証言の方に信憑性が感じられるというのがいまのところの私の評価です)。
 
第3。「醍醐氏の批判は憶測にすぎない」というO氏の醍醐聰東大名誉教授批判について。
 
すでに第2で述べていることですが、醍醐東大名誉教授の宇都宮陣営批判は「憶測」による批判ではありません。醍醐氏が「入手した旧宇都宮選対の体質に関わる情報、それを正すために宇都宮氏がどのように対応したかを示す情報」と醍醐氏「自身の体験から得た知見を基本にし」たあくまでも事実の探求をめざすスタイルの批判です。
 
上記のことをもう少し詳しく述べると、この点について醍醐氏は「新旧宇都宮陣営は問題の重大性を自覚すべきである(1)」(2014年1月11日)という自身の記事の「『些細な事務的ミス』なのか?」という項目の中で次のように述べています。
 
「上の指摘のうち、「悪意に基づく憶測」、「私憤に基づく中傷誹謗」という指摘が当たるのかどうかについてはここでは立ち入らない。しかし、①「それらのどれもが、些細な事務的ミス」であるとの記述、②「前回の宇都宮選挙が、公職選挙法の厳しい制限のもと、市民選挙としてきわめてクリーンに行われた」という記述には疑問を覚えた。このうち、②については、冒頭に掲記した連載記事「宇都宮健児氏を支持する前にやるべきことがある」の(2) 前篇(2) 後編で、澤藤父子の告発記事に基づいて疑問を呈した。ただし、そこでは、澤藤父子が一方側の当事者であることを考慮して、事の真偽を説明するよう宇都宮氏と旧宇都宮選対の関係者に求めた。澤藤父子の告発が事実なら、前回の宇都宮選挙は市民選挙らしからぬダーティな面を含んだ選挙だったということになるから、宇都宮氏ならびに旧宇都宮選対関係者は自らの信頼をかけて事の真偽を説明する必要がある。
 
他方、①については、私が入手した旧宇都宮陣営の「選挙運動費用収支報告書」とそれに添付された領収証に基づいて3つの疑問点を提起し、①に根本的に反論する以下の記事をこのブログに掲載した。
 
旧宇都宮陣営の選挙運動支出に関する法的見解は真実の証明になっていない(1)
 
旧宇都宮陣営の選挙運動支出に関する法的見解は真実の証明になっていない(2)
 
私が指摘した疑問点が些細な事務的ミスなら目くじらを立てることはない。私はそうは考えなかったので反論を書き、記事(2)の末尾でその要旨を述べた。しかし、やや慎重な言い回しをしたので、ここでは追加資料を添えて、より端的に記したい。」
 
そうして醍醐氏は次に「領収証も記載ミスだったのか? そのような説明は通用するのか?」という項目を立て、その中で上記の疑問点をさらに具体的に検討していきます。そうした醍醐氏のいかにも研究者然とした手順を踏んだ姿勢を「憶測」などと揶揄するのは尋常な批判者の為しうるところではありません。そのことをここでも改めて指摘しておきたいと思います。
 
第4。「醍醐説が通るなら、もっと多くの専門家が違法性を指摘するに違いない。しかし、マスコミもぜんぜん騒がない。選管も警察も検察も騒がない」という批判について。
 
それこそこうしたたぐいの指摘こそ「憶測」と呼ぶにふさわしいというべきです。公職選挙法やその他の選挙関連法に通じているはずの醍醐東大名誉教授以外の他の専門家やメディアや選管、警察、検察がいまの段階でこの問題について「騒がない」のは、メディアなり検察なりが今回澤藤弁護士及び醍醐氏から指摘されている選挙違反容疑の事実についてこれまで特に注目していなかったこと。したがって、両氏から指摘されている選挙違反容疑の事実に関するメディアなり、警察なり、検察なりの独自の情報を持っていなかったこと。したがってまた、警察、検察はいまの段階でこの問題についての検討におそらくまだ着手していないこと。さらにまた、この点についての具体的な告訴・告発がいまの段階でないこと。東京都知事選が迫っていて、いまの段階でこの問題を事件化するのは逆に警察、検察による選挙妨害と批判される恐れが大きいことなどなどさまざまな要因が考えられます。マスコミが騒ぐか騒がないかは、その情報が「売れる」か「売れない」かのマスコミ独自の判断も大きいということもあるでしょう。
 
いずれにしても、「多くの専門家による宇都宮前選対の違法性の指摘がない」、「マスコミもぜんぜん騒がない」ということが「醍醐説が誤っている」という証拠や根拠になるはずもありません。両者にはなんの因果関係もありません。それをなにか関係があるかのように言うのはいわゆる「贔屓の引き倒し」以外のなにものでもありません。すなわち、客観的な批判とはいえない、ということです。
 
第5。「推薦を決めた政党や団体にも法律対策の部門があるから、違法性はないと判断しているでしょう」という指摘と「澤藤氏の主張する法的問題について簡潔に検討したが、それらのどれもが、些細な事務的ミスを針小棒大に取り上げたものである」という宇都宮陣営弁護士団(3名)の主張について
 
すでに第3でもその要点は述べていることですが、澤藤弁護士と醍醐東大名誉教授の宇都宮前陣営の選挙違反の問題に関わる指摘は「些細な事務的ミスを針小棒大に取り上げた」体のものではありません。
 
醍醐氏はこの点について次のように言っています。
 
「私が指摘した疑問点が些細な事務的ミスなら目くじらを立てることはない。私はそうは考えなかったので反論を書き、記事(2)の末尾でその要旨を述べた。しかし、やや慎重な言い回しをしたので、ここでは追加資料を添えて、より端的に記したい。」(「新旧宇都宮陣営は問題の重大性を自覚すべきである(1)」)
 
そうして上記(1)では「領収証も記載ミスだったのか? そのような説明は通用するのか?」という問題設定を立てて、その疑問点を立証的に明らかにしていきます。
 
そして、(2)では「領収証の記載に間違いがないなら違法な選挙報酬の支払いとなる」というヘッダーを立てた上でさらに次のように述べます。
 
「想定を変えて、上記2つの領収証が記載のとおり、上原、服部両氏に対する労務者報酬(選挙運動報酬)の支払いを意味したのだとしたら、公選法で選挙運動報酬の支払いが禁じられている選挙運動統括者らへの報酬の支払いを裏付ける資料となり、公選法違反を免れない。」(「新旧宇都宮陣営は問題の重大性を自覚すべきである(2)」)
 
「したがって、公選法上、上原公子氏がそうであったような選対本部長や服部泉氏がそうであったような出納責任者には事務員報酬であれ、労務者報酬であれ、支払いは禁じられているのである。この点でいうと、他ならぬ出納責任者であった服部泉氏自らが、「選挙報酬として」と記載した領収証を、違法性に気づかず提出したとなれば、それ自体、初歩的な法令順守義務違反に当たり、重大な批判を免れない。また、かりに、真実は交通費や宿泊費の実費弁償であると認識しながら、「誤って」「選挙報酬として」と直筆した領収証を提出したのだとしたら、出納責任者としての適格性を著しく欠いた行為と言わなければならず、そうした人物を選任した宇都宮健児氏の責任も問われなければならない。」(同上
 
「もし、上の領収証が事実と異なることを認識したうえで作成され、東京都選管に提出されたのだとしたら、虚偽の領収証を提出したことになるから、上記のとおり、公選法第246条第5号に違反した行為となり、3年以下の禁固又は50万円以下の罰金が課されることになる。」(同上
 
「以上、一つ前の記事とこの記事で示した事実、そしてそこから合理的に導けると考えられる推論の帰結として私は、弁護士3氏が「選挙運動費用収支報告書」の作成に関する基礎的規程を理解したうえで連名で「法的見解」を公表したのだとすれば、その「法的見解」は真実を立証するに値しないだけでなく、真実を隠ぺいする意図をもって作成され、公表された文書である疑いが強いと考えるに至った。「些細な金額にどうしてそこまでこだわるのか」という反問が出ることを承知の上で、この記事を書いた主な理由はここにある。(同上
 
「念のためにいうと、ここでいう「真実」とは、上原、服部両氏に対して支払われた10万円は「選挙報酬」という趣旨・目的での支払いであったということである。これが確かなら、両氏に対する10万円の支払いは報酬の支払いをできる者を制限した公選法第197条の2に違反したことになる。」(同上
 
上記で醍醐氏が「「法的見解」は真実を立証するに値しないだけでなく、真実を隠ぺいする意図をもって作成され、公表された文書である疑いが強い」。「「些細な金額にどうしてそこまでこだわるのか」という反問が出ることを承知の上で、この記事を書いた主な理由はここにある」とまで言う澤藤弁護士及び醍醐東大名誉教授の指摘を「些細な事務的ミスを針小棒大に取り上げたものである」とあくまでも強弁し、一蹴しようとする「革新陣営」の神経に私は逆毛立つものを覚えざるをえません。そして、こうした「革新陣営」に未来があるとも思えません。澤藤氏、醍醐氏の指摘に再度真摯に向き合って欲しい(澤藤氏と醍醐氏の主張を真摯に読み込んだ上での反論を含みます)、と私はただ願うのみです。
 
以上
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