日本報道検証機構(GOHOO)が「秘密期間『30年→60年 政府案より後退』は誤報」という注意報記事を2013年11月28日付けで掲載しています。
 
同記事の内容は、
 
国会で審議されている特定秘密保護法案をめぐり、朝日新聞など一部メディアが11月27日付朝刊などで、秘密の指定期間が修正案で「原則30年」から「原則60年」に政府案より後退した、もしくは期間が倍増した、などと報じました。しかし、実際は、政府案は内閣の承認があれば無制限に延長できる内容だったのに対し、修正案は例外7項目を除き、内閣の承認があっても最長60年に制限されています。また、政府案には明記されていなかった「原則30年」の条文が修正案に追加されています。したがって、秘密の指定期間が「原則30年」から「原則60年」に倍増したかのような報道は誤りで、正しくは「無制限」から「一部例外を除き最長60年」に修正されています。
 
というもので、記事それ自体としては、朝日新聞、毎日新聞、共同通信、時事通信、東京新聞の各報道の誤りを指摘するもので、「日本報道検証機構」らしい注意報記事と一応はいうことができるのですが、同記事の「正しくは『無制限』から『一部例外を除き最長60年』に修正されています」という記述は、「一部例外を除き」という例外規定はきちんと押さえてはいるものの、逆に、秘密の指定期間が「無制限」から「最長60年」に修正されたかのような印象を読者に与えてしまいかねないという点で逆注意報を発しなければならない記事に陥っているいるように私には見えます。
 
自公与党とみんなの党、維新の会との特定秘密保護法案の修正協議で「有効期間は60年を超えることはできない」という一文が加わったことは確かだとしても、修正案はすぐそのあとにさらに武器や暗号などのほか「政令で定める重要情報」は60年を超えて指定できると続いているからです。すなわち、内閣が政令で定めさえすれば「重要情報」は半永久的に「秘密」として指定できることになってしまいます。上記で「誤り」を指摘されているメディアを含めてほとんどのメディアが「まったく修正になっていない」「修正案という名に値しない」と異口同音に批判、指摘している法案の危険な本質はさらに悪化こそすれ、少しも変わってはいないのです。
 
戦前の「治安維持法」にも匹敵する稀代の悪法といわれる特定秘密保護法案が衆院に続き参院でいまにも強行採決されようとしているこの時期に、今回日本報道検証機構(GOHOO)が発した注意報は、逆に市民をミスリードする一知半解の「注意報」になりおおせている、と厳しく批判、指摘しておく必要があるように私は思います。

秘密保護法案7 
 
本日の北海道新聞のコラム「卓上四季」に特定秘密保護法案の危険性について、72年前の真珠湾奇襲の日の1941年12月8日に逮捕された北海道帝国大学(現北大)2年生だった故宮沢弘幸さんの事件、いわゆる「レーン・宮沢事件」と重ね合わせて指摘している記事があり、胸を打たれました。このフレームアップ事件で逮捕された宮沢弘幸さんは軍機保護法違反の罪で懲役15年の刑に処せられ、終戦後の1945年10月10日に軍機保護法が失効して釈放されたものの拷問と網走刑務所の極寒の中で患った結核によって1947年に27歳の若さで没しています(wikipedia『軍機保護法』)。私は宮沢弘幸さんはもちろん、ご遺族の無念を思わずにはいられません。
 
以下、北海道新聞「卓上四季」(2013年12月2日)。
 
宮沢事件(北海道新聞「卓上四季」 2013年12月2日)
 
終戦の日を8月15日と答えられない人が3割程度もいる、と3カ月前の小欄で書いた。では、今度の日曜日12月8日は。72年前の1941年、真珠湾奇襲で日米の戦端が開かれた日だ。
 
その朝、札幌は雪だった。作戦成功のラジオ放送を聞いた青年が、米国人の恩師の家を急ぎ訪ねる。国と国は戦争をしても個人の友情は変わらない―と伝えるために。玄関を出たところで青年と米人夫妻は特高警察に拘束される。レーン・宮沢事件である。
 
北海道帝国大学(現北大)2年生だった故宮沢弘幸さんは結局、大学の英語教師レーン夫妻に軍事機密を漏らしたとして懲役15年。夫妻も同15年と12年の異例に重い判決を受けた。話した内容は、公知の事実や単なる伝聞だったのに。
 
特定秘密保護法案の参院での審議が進む。秘密をそうとは知らずに聞き出そうとして罰せられることもあり得る。その怖さは宮沢さんの事件にもつながる。彼の運命を変えた日を前に、与党は成立させる構えだ。「自分には関係ない」「戦前に戻ることはあるまい」と思っている人もいるだろう。しかし、危うさがぬぐえない以上、慎重の上にも慎重な対応を求めるのは当然だ。主権者である国民の義務だといってもよい。
 
宮沢さんは聡明(そうめい)で行動力もあった。まさか自分がスパイに仕立て上げられるとは、思いもしなかったはずだ。今のあなたと同じように。

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