街の弁護士日記」の主宰者(岩月浩二弁護士)が原発活断層問題をうやむやにしようとする原発マフィアの暗躍ぶりを中日新聞の特報記事を引用して指弾しています。
 
活断層問題をうやむやにするマフィア暗躍 19日の中日新聞から
(街の弁護士日記 2013年10月20日)
 
昨日の中日新聞『特報』。
 
しばらく、聞かないと思っていたら、原発活断層問題は、マフィアたちがないことにしようと暗躍していた。
 
民主主義と平和、そして人権尊重に関わるあまりにも多くの事柄がなし崩しに壊されようとしているため、目が行き届かぬことをよいことに、マフィアたちは活断層問題すらうやむやにして、超危険級の原発までも再稼働させようとしている。
 
上記で引用されている中日新聞『特報』(2013年10月19日)の記事は以下です。
 
なお、同様(同一筆者)の記事は東京新聞の「こちら特報部」(2013年10月13日)にも掲載されています。
 
しかし、中日新聞『特報』記事の方に見出し、記事とも推敲の努力と冴えが見られ、一目秀でているように私には見えます(すなわち、一段と読みやすく、インパクトのある記事になっているように思います)。

わかりやすい例をひとつだけ挙げておきますと、たとえば本文記事の第2段落の文章は次のように推敲されています(あとはご自身で確認されてください)。

東京新聞【特報】:(2013年10月13日)
北陸電力志賀原発(石川県)の運転差し止め訴訟の岩淵正明弁護団長いぶかしがる
中日新聞【特報】:(2013年10月19日)
北陸電力志賀原発(石川県)の運転差し止め訴訟の岩淵正明弁護団長はいぶかしむ

「推敲」によって記事は読みやすくもなり、つまらないものにもなる。また、インパクトのある記事にもなるし、平板な記事にもなる。推敲の力、あるいは推敲の眼の力、ということが言えるように思います。

ものを見る力、という点では、生前、筑紫哲也さんがゆふいん文化・記録映画祭で語った以下の言葉が参考になるかもしれません。

■「筑紫哲也さんの由布院盆地でのメディア批判~マスメディアよ、ジャーナリストたれ(2)」(JANJAN 東本高志 2006年12月2日)

ものを見る眼とも当然関係するのですが、記者の文章力の問題については、私は以下のような感想を書いたことがあります。

辺見庸の思想と twitterの「思想」の不似合と「機器の孤独」(弊ブログ 2013.09.15)

推敲 
宮澤賢治「〔どろの木の根もとで〕」(下書稿)
 

中日新聞【特報】:
電力会社 時間稼ぎ 動き鈍い活断層調査 自民政権で審査緩和期待
(中日新聞:特報「話題の発掘 ニュースの追跡」 2013年10月19日)
 
原発敷地内の活断層の問題が長期化の様相を見せている。断層調査は、再稼働のために越えなければならないハードルだが、原子炉直下に活断層があると認定されれば廃炉に直結する。それならば原発推進の自民党政権の下、審査が甘くなるのを待とうというわけか。地元の反対派からは「姑息(こそく)な牛歩戦術」と批判の声が上がっている。(榊原崇仁)
 
◆志賀原発では報告延期3度
 
「『シロ』の地震があるなら早々に調査を終わらせているはずだ。そうせずに延期したのは何か意図があるとしか思えない」
 
北陸電力志賀原発(石川県)の運転差し止め訴訟の岩淵正明弁護団長はいぶかしむ。
 
志賀原発で活断層を疑われているのは、1号機直下を走る「S─1断層」だ。旧原子力安全・保安院は昨年7月、北陸電に調査を指示した。
 
ところが、報告は延び延びになっている。北陸電は9月26日、同月末としていた最終報告を12月下旬まで延期すると原子力規制委員会に伝えた。報告の延期は3度目。当初は1月末を予定していた。
 
国は、原発の東1キロにある福浦断層と関連してS─1断層が動く可能性についても調査を求めた。しかし、電力側が福浦断層の調査に本格着手したのは今年6月。志賀周辺の断層に詳しい立石雅昭・新潟大名誉教授(地質学)は「意図的に指示を無視した証しではないか」と指摘する。
 
断層調査で「シロ」判定を得なければ再稼働への道は開けない。それでも調査を遅らせるのはなぜか。立石氏は「志賀は『クロ判定』に限りなく近いからだ」とみる。
 
そもそも、建設前の審査態勢が不十分だったフシがある。関係者によれば、旧通商産業省の審査は、主担当の職員が新人と出向者の二人しかおらず、審査に関わった断層の専門家も一人だった。
 
昨年7月の保安院の会合で、今泉俊文・東北大教授(変動地形学)は「S─1は典型的な活断層」と断言した上で、建設前の安全審査で見逃された可能性に言及した。「よく審査を通った。あきれた」
 
ただし、調査が遅れたとしても、いずれは活断層か否かの判断は下される。岩淵氏は「電力側が狙うのは潮目の変化だ」と推測する。
 
昨年12月の衆院選後、政権の担い手は「2030年代の原発ゼロ」を目指した民主党から自民党に交代した。安倍晋三首相は「安全確認された原発は再稼働する」と言い切る。今年5月には、自民の国会議員が早期再稼働を求める議連を結成。規制委に提言を出すなど圧力を強める。
 
「現在の世論は原発稼働に慎重だが、時間がたてば変わりかねない。他の原発で再稼働が進めば志賀の審査も甘くなるという計算も電力側にあるはずだが、先送りは姑息な手段だ。活断層でないなら早く証拠を出してみろと言いたい」(岩淵氏)
 
◆敦賀「クロ」で委員に中傷も
 
志賀原発のみならず、各原発で断層調査の遅れが目立っている。
 
規制委は、志賀を含む全国6原発を調査対象にしている。電力側の調査後は、規制委の専門家チームによる現地調査と審査、見解の取りまとめ、報告書作成という流れになっている。
 
関西電力美浜原発(福井県)は7月末、電力側の調査が終わったばかりだ。日本原子力研究開発機構の「もんじゅ」(同)は同月、専門家チームの調査がようやく始まった。
 
専門家チームの見解が一致した段階にあるのは、2月に「クロ」と判断された東北電力東通原発(青森県)と、9月に「シロ」とした関西電力大飯原発(福井県)。だが、東通は、電力側が十分にデータを出さなかったことなどから今も報告書ができていない。
 
唯一報告書が作成済みなのは、「クロ」の日本原子力発電敦賀原発(福井県)だけだ。それでも決して円滑ではなかった。
 
専門家チームの中で「クロ」の見解が一致したのは昨年末で、年明けに報告書案をおむね了承した。ところが、これと前後して自民政権が誕生した。規制委は突如、他の有識者によるチェックも受けると言い出した。最終的に報告書が正式了承されたのは今年5月だった。
 
この間、専門家チームの委員はインターネット上で中傷され、再稼働に前向きな一部マスメディアから攻撃された。委員の堤浩之・京都大准教授(変動地形学)は「精神的に相当こたえた。これがもっと長期に及んだらストレスはどれほどになるか」。同じく委員の藤本光一郎・東京学芸大准教授(地質学)も「他の研究者には審査の仕事を勧められない」と話す。
 
◆長期化すれば国民の負担増
 
今後も波乱含みだ。5月に報告書がまとまった後も、日本原電は徹底抗戦している。専門家チームの委員たちへ抗議文を送ったほか、クロ判定を覆そうと、有識者に独自調査を依頼。規制委は8月以降、その結果をあらためて審査している。
 
調査が長期化すれば国民の負担も増える。
 
東北電は「東通の調査費は三十一億円。この費用は電気料金にも転嫁する」と明言する。敦賀原発の調査費は未公表だが、現時点で少なくとも数十億円、場合によっては百億円以上と推測される。
 
敦賀の専門家チームの委員だった鈴木康弘・名古屋大教授(変動地形学)は「調査を延々と行えば調査費が膨大になり、国民負担が増えてしまう」と批判する。「最終的な結論を早急に出すことに批判があっても規制委は躊躇(ちゅうちょ)すべきではない。危険性のある原発を放置することにもなるからだ。まず考えるべきは国民の安全だ」
 
東京新聞【特報】:

電力側が牛歩戦術か? 長期化する活断層問題
(東京新聞「こちら特報部」 2013年10月13日)
 
原発敷地内の活断層の問題が長期化の様相を見せている。断層調査は、再稼働のために越えなければならないハードルだが、原子炉直下に活断層があると認定されれば廃炉に直結する。それならば原発推進の自民党政権の下、審査が甘くなるのを待とうというわけか。地元の反対派からは「姑息(こそく)な牛歩戦術」と批判の声が上がっている。(榊原崇仁)
 
◆断層調査報告 「志賀」は度々延期
 
「『シロ』の地震があるなら早々に調査を終わらせているはずだ。そうせずに延期したのは何か意図があるとしか思えない」
 
北陸電力志賀原発(石川県)の運転差し止め訴訟の岩淵正明弁護団長はいぶかしがる。
 
志賀原発で活断層を疑われているのは、1号機直下を走る「S─1断層」だ。旧原子力安全・保安院は昨年7月、北陸電に調査を指示した。
 
ところが、報告は延び延びになっている。北陸電は9月26日、同月末としていた最終報告を12月下旬まで延期すると原子力規制委員会に伝えた。報告の延期は3度目。当初は1月末を予定していた。
 
北陸電は「慎重な調査のため」と説明するが、額面通り受け止めてよいかは微妙なところだ。
 
国は、原発の東1キロにある福浦断層と関連してS─1断層が動く可能性についても調査を求めた。しかし、電力側が福浦断層の調査に本格着手したのは今年6月。志賀周辺の断層に詳しい立石雅昭・新潟大名誉教授(地質学)は「意図的に指示を無視した証しではないか」と指摘する。
 
電力業界は再稼働を急ぎたいはずだ。志賀原発も、断層調査で「シロ」判定を得なければ再稼働への道は開けない。それでも調査を遅らせるのはなぜか。立石氏は「志賀は『クロ判定』に限りなく近いからだ」とみる。
 
そもそも、建設前の審査態勢が不十分だったフシがある。関係者によれば、旧通商産業省の審査は、主担当の職員が新人と出向者の二人しかおらず、審査に関わった断層の専門家も一人だった。
 
昨年7月の保安院の会合で、今泉俊文・東北大教授(変動地形学)は「S─1は典型的な活断層」と断言した上で、建設前の安全審査で見逃された可能性に言及した。「よく審査を通った。あきれた」
 
◆原発推進の機運待つ?
 
ただし、調査が遅れたとしても、いずれは活断層か否かの判断は下される。岩淵氏は「電力側が狙うのは潮目の変化だ」と推測する。
 
昨年12月の衆院選後、政権の担い手は「2030年代の原発ゼロ」を目指した民主党から自民党に交代した。安倍晋三首相は「安全確認された原発は再稼働する」と言い切る。今年5月には、自民の国会議員が早期再稼働を求める議連を結成。規制委に提言を出すなど圧力を強める。
 
「現在の世論は原発稼働に慎重だが、時間がたてば変わりかねない。他の原発で再稼働が進めば志賀の審査も甘くなるという計算も電力側にあるはずだが、先送りは姑息な手段だ。活断層でないなら早く証拠を出してみろと言いたい」(岩淵氏)
 
志賀原発のみならず、各原発で断層調査の遅れが目立っている。
 
規制委は、志賀を含む全国6原発を調査対象にしている。電力側の調査後は、規制委の専門家チームによる現地調査と審査、見解の取りまとめ、報告書作成という流れになっている。
 
関西電力美浜原発(福井県)は7月末、電力側の調査が終わったばかりだ。日本原子力研究開発機構の「もんじゅ」(同)は同月、専門家チームの調査がようやく始まった。
 
専門家チームの見解が一致した段階にあるのは、2月に「クロ」と判断された東北電力東通原発(青森県)と、9月に「シロ」とした関西電力大飯原発(福井県)。だが、東通は、電力側が十分にデータを出さなかったことなどから今も報告書ができていない。
 
唯一報告書が作成済みなのは、「クロ」の日本原子力発電敦賀原発(福井県)だけだ。それでも決して円滑ではなかった。
 
専門家チームの中で「クロ」の見解が一致したのは昨年末で、年明けに報告書案をおむね了承した。ところが、これと前後して自民政権が誕生した。規制委は突如、他の有識者によるチェックも受けると言い出した。最終的に報告書が正式了承されたのは今年5月だった。
 
◆ネット中傷「ストレス」
 
この間、専門家チームの委員はインターネット上で中傷され、再稼働に前向きな一部マスメディアから攻撃された。委員の堤浩之・京都大准教授(変動地形学)は「精神的に相当こたえた。これがもっと長期に及んだらストレスはどれほどになるかと思う」。同じく委員の藤本光一郎・東京学芸大准教授(地質学)も「他の研究者には審査の仕事を勧められない」と危惧する。
 
今後も波乱含みだ。5月に報告書がまとまった後も、日本原電は徹底抗戦している。専門家チームの委員たちへ抗議文を送ったほか、クロ判定を覆そうと、有識者に独自調査を依頼。規制委は8月以降、その結果をあらためて審査している。
 
相当の新しい証拠が出てこなければ、規制委がクロ判断を覆すことはなさそうだが、廃炉の決定は電力側に委ねられている。日本原電が抵抗する以上は、いつまでも問題は片付かない。
 
長期化すれば国民の負担も増える。
 
東北電は「東通の調査費は31億円。この費用は電気料金にも転嫁する」と明言する。敦賀原発の調査費は未公表だが、巨大なトレンチ(溝)を掘るなどして調査したため、現時点で少なくとも数十億円、場合によっては100億円以上の費用がかかったと見る向きもある。
 
志賀も費用が公開されていない。敦賀の専門家チームの委員だった鈴木康弘・名古屋大教授(変動地形学)は「調査を延々と行えば調査費が膨大になり、国民負担が増えてしまう」と批判する。
 
◆安全第一で早く結論を
 
断層がずれれば地震で原子炉などが壊れ、深刻な事故に発展することも十分あり得る。鈴木氏はこう訴える。
 
「最終的な結論を早急に出すことに批判があっても規制委は躊躇(ちゅうちょ)すべきではない。危険性のある原発を放置することにもなるからだ。まず考えるべきは国民の安全だ」
 
<デスクメモ>
 
駆け出し記者時代の4年間を能登半島で過ごした。珠洲(すず)原発計画は、地域社会を反対、推進両派に分断した。既に稼働していた志賀原発の地元は、物言えぬ雰囲気に覆われていた。「能登はやさしや土までも」といわれた土地には、おだやかな人情と豊かな文化こそがふさわしい。原発はいらない。(圭)

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