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泉田新潟県知事が柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働を事実上容認した件に関していくつかのメーリングリストに以下のような投稿がありました。
 
第一信:
泉田新潟県知事の最新の会見です。
車で追跡をうける圧力から、これからは東電ではなく、国が直接『説得にあたる』と通知がきているなど、極めて重要な内容を公言されています。
過日、サンケイ紙が直接泉田批判を開始した時、何かの予兆だと投稿しましたが、暗黒の動きが始まっていると感じます。
是非まず、会見の内容をお聞きください。そしていたるところに拡散をお願いしします。
http://takumiuna.makusta.jp/e230270.html
 
第二信:
皆さん、下記サイト、ぜひごらんください。
サンデー毎日も追っている事態です。
http://tanakaryusaku.jp/2013/09/0007943
 

泉田知事 
泉田裕彦知事(右)に文書を手渡し、頭を下げる東電の広瀬直己社長

以下は、同投稿に対する私の応答です。
 
「泉田知事に何があったのか・要注目」と指摘される「泉田知事に何があったのか 『特捜部がターゲットに』報道も」(田中龍作ジャーナル 2013年9月26日)という記事を読んでみました。
 
田中記者は、同記事で、「新潟県の泉田裕彦知事がきょう午後、柏崎刈羽原発6、7号機をめぐり東電が原子力規制委員会に提出する安全審査申請を条件付きで容認することを明らかにした」。「昨夜の段階では『規制基準をクリアしても安全は確保できない』とまで話していた泉田知事が一転、容認した背景には」政府や検察の「圧力」があったのではないか、と推論しているわけですが、その推論の根拠としているのは以下の2点です。
 
(1)急展開の背景に何があったのだろうか? 思い至るのは、5日に新潟県庁で持たれたメディア懇談会だ。「第2の佐藤栄佐久氏(前福島県知事)になると思ったことはないか?」と筆者が質問したところ、泉田知事は「ありますね」と答えた。「黒塗りの車にビタっとつけられた時は気持ちが悪かった」と話した田中龍作ジャーナル 2013年9月26日)。
 
(2)その検察庁が「泉田知事をターゲットにした」との記事が『サンデー毎日』(10月6日号)に掲載された。同誌は地検特捜部関係者のコメントとして次のように書いている――「地検上層部からの指示で泉田知事を徹底的に洗っています。立件できれば御の字だが、できなくても何らかの圧力を感じさせることで、原発再稼働に軌道修正させる助けになりたい考えではないか」(同上)。
 
しかし、上記の推論の根拠は、根拠薄弱、ないしは「事実」として提示している根拠に信憑性がありません。

第1。5日に新潟県庁で持たれたメディア懇談会での田中記者の「第2の佐藤栄佐久氏(前福島県知事)になると思ったことはないか?」という質問に対して泉田知事が語ったとされる「黒塗りの車にビタっとつけられた時は気持ちが悪かった」云々の記述には歪曲があります。
 
下記の同日のメディア懇談会の映像記録によれば、同記者の上記の質問に対して泉田知事ははじめは「あのう、事実関係から申し上げると、いまのところですね、直接的なプレッシャーっていうのはあまり感じていないというのが正直なところなんです」(32:20頃)と答えています。田中記者の「(権力側の)圧力があったのではないか」という質問に対して泉田知事は「否」と答えているわけです。それが「正直なところ」だと。
 
田中記者はさらに「『一瞬』は感じたことはありませんか?」と質問を畳みかけますが、その問いに対する泉田知事の答は「いや、感じたことはありますよ。車つけられたときはやはり怖かったですよね。ひょっとして降りてなんかあるとイヤだなと感じたことはあります」(33:00頃)というものでした。泉田知事は単に「車つけられたときは」と語っているだけで、「黒塗りの車にビタっとつけられた」などとは言っていません。この部分は田中氏の創作です。田中氏は「黒塗りの車」「ビタっと」といういかにもおどろおどろしい事態を連想させる言葉を挿入することによって自らの想像の域を超えることのない「権力の圧力」説を修飾しているだけのことにすぎません。ジャーナリストとしてはあってはならない文章作為です(だから、こういう人の言は「信用できない」ということにもなります)。
 
第2。「検察庁が『泉田知事をターゲットにした』との記事が『サンデー毎日』(10月6日号)に掲載された」という点についても、ただ『サンデー毎日』に掲載されたという事実だけでその記事の信憑性が担保されるというわけでもありません。同記事にいう「地検特捜部関係者」とはいかなる人物か? 同記事のいうように真に「地検上層部からの指示で泉田知事を徹底的に洗って」いるのだとすれば、その指示は特命を帯びたマル秘扱いの指示であるはずで、そうやすやすと一介の記者に地検特捜部検事が口を割ってしまう体のものではありえないでしょう。また、地検特捜部関係者とはあいまいな概念で、地検特捜部に勤務している検事、あるいは職員を指しているとは限りません。「関係者」とはその情報を知る立場の者の謂いですから、雑誌記者だって見方によっては「関係者」といえなくもないのです。もしかしたら、雑誌記者が自分の意見にすぎないものを「関係者」の意見として創作している可能性も捨てきれません。したがって、「『サンデー毎日』に掲載された」という事実のみをもって根拠とするのも、根拠薄弱の感を免れません。
 
日本経済新聞(共同)は、泉田知事が「東電の安全審査申請を条件付きで承認する」とした理由について、「事業者が安全確保のために第三者の目を入れたいという状況を放置するのは、地元にとっても望ましくない*。安全審査の対象となるフィルター付きベント(排気)設備について「地元の避難計画との整合性を県の技術委員会で検討する必要がある」と語ったという報道をしています(日本経済新聞 2013/9/26)。

*泉田知事はこの件について、新潟県庁のホームページに以下のようなコメント(廣瀬直己東京電力社長宛)を発表しています。

柏崎刈羽原子力発電所の規制基準適合審査申請に係る条件
付き承認について
 
泉田知事が東電の安全審査申請を条件付きで承認するとした理由はおそらくそういうことでしょう。ここに私は、同知事の合理的な思惟方法の特徴があるし、限界*もあるように思います。
 
「新潟県泉田裕彦知事は26日、東電申請を条件付きで承認し、東京電力は26日、柏崎刈羽原発6、7号機再稼働に向けた安全審査を原子力規制委員会へ27日午前に申請する。泉田知事、佐藤栄佐久元福島県知事の轍を踏むことはないのだろう」(マスコミに載らない海外記事「追記欄」 2013年9月27日)という指摘もあります。この記事も泉田知事の「限界」性を指摘している記事ということがいえるでしょう。
 
今後、柏崎刈羽原発6、7号機再稼働問題はどのように動き出すか、もちろん予断を許しません。しかし、いたずらに泉田知事を英雄視したり、あるいはまたいたずらに「陰謀説」を持ち込んだりする見方は、この問題についての冷静な見方とは言い難いように思います。

*泉田知事の政治姿勢の「限界」については下記のような指摘もあります。「新潟県知事への信仰を煽る自称ジャーナリスト(笑)田中龍作」(vanacoralの日記 2013-09-28)という記事からの引用と同記事で引用されているtwitterの記録のさらなる引用です。
 
そもそも(田中龍作氏が)ジャーナリストを自称するのなら、泉田氏が本当に脱原発派なのか、検証すべきではありませんかね。
 
泉田知事は“今の段階で再稼働の議論はしない。福島第一原発事故の検証・総括が終わっていないから”とずっと繰り返している。検証・総括をしたら再稼働の議論に入るという事だ。しかし、中越沖地震で停止した柏崎刈羽原発の再稼働を“検証・総括”した上で認めたのが泉田知事なのだ…。
 
朝日新聞デジタル・2012年10月4日 「[泉田流を問う]賛否を明言せぬ手法」より ◇何をもって福島第一原発事故の検証が終わった、と考えるのか。県議会の9月定例会で問われた泉田裕彦知事は、淡々と答えた。「検証は県技術委員会に任せるもので、制約は課しません」
 
朝日新聞デジタル2012年10月4日 [泉田流を問う]より ◇何をもって福島第一原発事故の検証が終わった、と考えるのか。県議会の9月定例会で問われた泉田裕彦知事/再質問で「原発は必要だと思うか」と迫られても、「コメントしていない。判断ができないから」と明言を避けた。
 
朝日新聞デジタル2012年10月4日 [泉田流を問う]より ◇中越沖地震で柏崎刈羽原発では火災や微量の放射能漏れがあった。/技術委は09年3月、慎重派が欠席する委員会で、運転再開を認める当時の座長案を出して合意。これを受けて知事は、5月の県議会で30分にわたる「説明」をした。
 
2009年5月・新潟県議会での #泉田知事 の発言 「安全性に懐疑的な立場から積極的に原発に関わり続けていくのが望ましい」「人が造るものに100%安全なものは存在しない」「地域の暮らしが原発に依存している」──柏崎刈羽原発は09年5月に試運転、12月に営業運転を再開した。
 
#泉田知事 が中越沖地震で停止した #柏崎刈羽 の再稼働を認めた事、再稼働反対とは言わず慎重にという態度なのだという事を、泉田知事を持ち上げるジャーナリストや有名ブロガーが言わないのはおかしいよね。そういう知事なのだと知った上で応援すればいいと思う。崇拝や陰謀論はダメ。
 
@asahian222 はじめから泉田は再稼動反対ではないよ。新聞もそう報道してたはず。テレビ報道から勝手に反対知事だと思わされているだけ。「気をつけよう暗い夜道と泉田に!」
 
@desumos そうなんですよね。泉田知事は、再稼働させないと言った事もなければ廃止と言った事もないのに、何故か脱原発派扱いされてる。泉田知事は、あくまでも慎重な(フリ?)原発容認派なんですよね。“勝手に反対知事だと思わされている”←怖いことです

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