東京新聞が「こちら特報部」記事として8月7日付けで「米軍ヘリ墜落 なぜ繰り返す 地位協定の改定を」という記事を掲載しています。
 
その中で特報部記事は、「米軍が起こした事故・事件について、米側は日本側の現場への立ち入りを拒否できる。日米安保条約に基づき、一九六〇年に締結した日米地位協定があるからだ」。「地位協定により、米兵の救助や復旧作業、米国の財産保護のためなら、米軍は日本のどこでも自由に封鎖できる。沖縄国際大の事故では、墜落した機体の残骸や破片が『財産』とされた」という同地位協定の問題点を指摘しています。
 
では、現代の不平等条約ともいえるこうした日米地位協定は現在の自民党政権下のもとでは変えることはできないのでしょうか?
 
今年の4月11日に放映されたモーニングバード・そもそも総研の「そもそも日米地位協定の本質って何?」という番組ではイタリアやフィリピンの例を引いて「日本側がその気になりさえすれば変えることはできる」というジャッジメントを出しています。

新報13~2 
琉球新報(2013年8月6日)
 
以下、東京新聞「こちら特報部」記事と上記の問題に焦点を絞ってモーニングバード・そもそも総研の番組から該当部分をピックアップしてみます。なお、それぞれの記事の全文は以下をご参照ください。
 
米軍ヘリ墜落 なぜ繰り返す 地位協定の改定を
(東京新聞「こちら特報部」 2013年8月7日)
そもそも日米地位協定の本質って何?
(モーニングバード・そもそも総研 2013年4月11日)
*同番組の動画はすでに削除されていますが、上記の記事では同番組のキャプチャ付き文字起こしがされていて、同番組の全体をそのままに再現しています。
1.東京新聞「こちら特報部」記事

米軍ヘリ墜落 なぜ繰り返す 地位協定の改定を
(東京新聞「こちら特報部」 2013年08月07日)
 
米軍ヘリがまた、沖縄で墜落した。一九七二年の本土復帰以降、米軍用機の墜落事故は四十五件目。今回は何が原因だったのか。その調査に日本側は関われない。日米地位協定に阻まれているからだ。消防ですら現場に立ち入れず、事故から一夜明けた六日午前もやんばるの森では火がくすぶり続けた。 (荒井六貴、小倉貞俊)
 
  「住宅地からわずか二キロ先に墜落し、住民はおびえているのに現場に入れない。情報も全く出してこない。米軍はいつもこう。村の事故なのに何も手を打てない」。沖縄県宜野座(ぎのざ)村の新里清次企画課長はいらだつ。
 
  米空軍嘉手納(かでな)基地のヘリHH60は五日午後四時ごろ、同村内の基地キャンプ・ハンセンの山中に落ちた。村役場の複数の職員が目撃し、県警や消防とともに基地のゲート前に駆け付けたが、米兵は立ち入りを制した。
 
  地元の金武(きん)地区消防衛生組合の担当者も「森林火災が広がれば、基地の外まで延焼する恐れもあった。消火活動に当たれず歯がゆい」と悔しがる。
 
  米軍が起こした事故・事件について、米側は日本側の現場への立ち入りを拒否できる。日米安保条約に基づき、一九六〇年に締結した日米地位協定があるからだ。在日米軍の円滑な行動を確保するための規定で、外務省は「日米安全保障体制にとって極めて重要」と位置付けている。
 
  米軍による立ち入り制限は基地内にとどまらない。二〇〇四年八月、米軍の大型輸送ヘリが墜落した事故では、現場が沖縄国際大学の敷地内だったにもかかわらず、日本側はただ見ているしかなかった。
 
  地位協定により、米兵の救助や復旧作業、米国の財産保護のためなら、米軍は日本のどこでも自由に封鎖できる。沖縄国際大の事故では、墜落した機体の残骸や破片が「財産」とされた。
 
  不満は沖縄以外でも高まっている。米軍基地のある十四都道県でつくる「渉外知事会」は先月二十四日、日米地位協定の見直しを求める要望書を政府に提出した。日本側の基地内立ち入りや、事故情報の速やかな提供、基地外の事故を日本側の管轄にするなど十五の改善を要求。「五十年以上も改定がないのはおかしい」と強調した。
 
  しかし、改定は容易ではない。沖縄国際大の前泊(まえどまり)博盛教授(基地経済論)は「沖縄国際大の事故の翌年、日米共同委員会が基地外では共同で調査に当たると確認したが、既に有名無実化している。米軍は日本側の要求を聞く姿勢を見せるが、いつの間にか自分たちの都合のよい運用に変えてしまう。それが米軍の手口だ」。新型輸送機MV22オスプレイも、米軍は当初、「飛行しない」と明言した市街地上空を飛び回っている。
 
  今回の事故について米空軍嘉手納基地広報部は「訓練中の事故。現時点で詳細は分からない」とだけ回答。前泊氏は「米軍が原因を明らかにするのは、いつもほとぼりが冷めたころ。半年後か一年後でしょう」。
 
  沖縄県内では一九七二年の本土復帰後、平均で毎年一件の米軍機の墜落があり、今回で四十五件目(強調は引用者。以下同じ)だ。県の統計によると、同年から昨年の四十年間で、墜落以外に着陸失敗、不時着、部品落下といった米軍機の事故が四百九十七件起きている。
 
  軍用機の事故はなぜ、多発するのか。
 
  元航空自衛官で軍事評論家の熊谷直氏は「軍用ヘリ内では、兵士が物資を投下するためなどで移動する。重い武器の積み込みで、民間ヘリよりも飛行状態が不安定になりがちだ」と解説する。
 
  航空評論家の青木謙知氏は「民間ヘリは安全第一で飛ぶが、軍用機は戦闘目的。必要に応じて急降下などもし、事故のリスクは高い。訓練も同様だ」と指摘する。
 
  今回、墜落したHH60は米軍内でペイブホークと呼ばれている。「ブラックホークの仲間で、ペイブには道を切り開くという意味がある」という。
 
  ブラックホークは偵察や輸送用ヘリ。ソマリア侵攻の悲劇を描いた米映画「ブラックホーク・ダウン」の題材になり、改良型が一一年の国際テロ組織アルカイダ指導者のウサマ・ビンラディン容疑者の襲撃作戦に投入された。
 
  ブラックホークを基に開発されたのが、HH60だ。米軍資料によると、一九八二年に実戦配備。全長一七・一メートル、高さ四・四メートル、回転翼の直径が一四・一メートルで重さが九・九トン。撃墜された戦闘機の乗組員の救出用。空中給油も可能で、遠距離派遣に適している。
 
  沖縄県の嘉手納基地には約十機が配備されている。九〇年の湾岸戦争、〇一年のアフガニスタン戦争に参加し、最近も中東地域に頻繁に派遣されている。一方で、東日本大震災のトモダチ作戦で、負傷者搬送や物資運搬に携わった。
 
  自衛隊も装備は異なるがHH60と機体が同じヘリ百七十七機を配備している。主に護衛艦に搭載され、索敵などの任務に就いている。
 
  実は、米空軍のHH60の事故発生率はオスプレイよりも高い。米軍の資料によると、飛行が十万時間当たりで比較すると二倍を超す。九四年には韓国で墜落し五人が死亡、〇三年にはアフガンで負傷者搬送中に墜落し六人が死亡した。
 
  最近ではオスプレイばかりが注目されるが、ほかの米軍機も決して安全ではないことを、今回の事故はあらためて思い出させた。
 
  沖縄平和運動センターの岸本喬(たかし)事務局次長は「沖縄が反対するオスプレイの追加配備をしている最中だから、米軍はもっと緊張感を持って行動してもよいのに、今回の事故からはそれすら感じられない。米軍はいつも事件や事故を起こすと綱紀粛正を繰り返すが、ほとぼりをすぎるとまた繰り返す。今回も同じだろう」と憤る。
 
  前出の前泊教授は「米軍機墜落の懸念は沖縄だけの問題ではない」と警告する。オスプレイの横田基地(東京都)配備や、八尾空港(大阪府)での訓練受け入れの動きもあり、「米軍機が本土の住宅地にいつ落ちてもおかしくない。だが、今のままでは、日本側は手を出せない。本気で国民の命を守るというなら、安倍晋三首相は米軍の事故調査に日本側も関与できるよう、米側に強く働きかけるべきだ」と訴えた。
 
<デスクメモ> 「田舎暮らしをする」と友人が東京から沖縄の美ら海水族館の近くに移り住んだのが十年前。訪ねる約束を果たせたのは昨春だった。その時通った沖縄自動車道のすぐわきが、今回の米軍ヘリの墜落現場だ。自動車道に落ちていたら。想像すると、ウチナンチュに少しは近づけるような気がする。(文)
 
2.モーニングバード・そもそも総研「そもそも日米地位協定の本質って
    何?」


そもそも日米地位協定の本質って何?
(モーニングバード・そもそも総研 2013.4.11)
 
日本の現状
今、私、これ持ってましたね。これですね、ここに地図があります。これ、首都圏の地図ですね。で、この首都圏、領土です。日本の主権が及ぶ。領土の上は領空ですよね。もちろん、日本の主権が及びます。しかし、日本の主権が及ぶということは、この中を日本の管制で日本の飛行機、自由に飛べるということだと思うよね。思いますよね。ところが、そうじゃないんですよ。及ばない場所がこれだけあります。(下記図参照)

20130413102420207.jpg 
 
じゃあここは、どこが管轄しているのか。実は、アメリカ軍なんですね」
 
羽鳥「自由に飛んじゃいけないということですよね」
 
玉川「日本の民間機は自由に飛んじゃいけません。これだけ大きなもの。もう新潟のほうまで行ってますよ。で、これが一体なぜなのか。これを今日はちょっと考えてみたいと思ってるんですけども」
 
羽鳥「羽田に降りるときに迂回するじゃないですか」
 
玉川「あ、ご存知ですか」
 
羽鳥「なんで迂回するのかなと思ってる人、いっぱいいると思うんですよ」
 
玉川「テレビ見てる方でも、例えば関西のほうから羽田に降りるときに、なんで千葉の上を通ってんだと」
 
高木「うん」
 
玉川「これなんですよ」
 
羽鳥「それを避けてるんですか?」
 
玉川「避けてるんです。日本の領空ですよ。言っときますけど」
 
「日米地位協定」というのはどういうものか
玉川「端的に言うと、日米地位協定というのは何なんですか?」
 
前泊「つまり、日本が占領政策を終える。講和条約を結んだあとも、占領時代と同じように米軍基地を日本に置き続けるために結んだ協定ということが言えます。つまり、日本は戦争で負けて、アメリカが占領しました。占領するための政策として基地をたくさん置いたんですね。日本が悪さしないように、歯止めをかけたわけですね。
 
日本は武器を全部取り上げられて、そして軍隊を持つことを禁止をしたわけですね。その憲法も作りました。ところが、じゃあ講和条約を結んでどうなるかというと、本来、そこで占領政策を終えなきゃいけないので、日本の中にある基地は全部なくならなきゃいけなかったんですけども、基地は残しておきたいという思惑がアメリカにありますね。
 
そこでまず、地位協定を作ったんですね。行政協定という形で。今ある基地をそのまま残すための決まりを作ったんです。それをさらにオーソライズする(正当化する)ために日米安保条約を結んだと。
 
で、安保条約を作って、そしてこれを認めないのであれば、講和条約を結びませんよという形にして、そして日米安保を認めさせて、その裏側にある基地を固定するような地位協定も認めさせたと。そういう形になってますね」
 
玉川「私達の常識では、サンフランシスコ平和条約で主権を回復して、だけど平和憲法を作ったからアメリカに国防をやってもらうということで安保条約を作って、その細かい取り決めとして行政協定、今の地位協定を作ったと。こういうふうな順番です。たぶん、私達の常識は。
 
だけど、アメリカの国益は、まず米軍基地を置くために行政協定、地位協定があって、それを結ばせるために、安保条約があって、安保条約を認めるんだったら主権回復してもいいよと。これがアメリカ側の思惑だったというふうに前泊さんはおっしゃってるわけですね。全く我々の常識と逆ですよ、ということなんですけども。
 
玉川「強いられるんです。はい。それはもう現実なんです。今のは領空の話。空の話ですね。じゃあ、今度は、領空じゃない、領土のほうですけども、実は米軍は空だけじゃなくて、私有地ですら勝手に封鎖できる。
 
前泊「沖縄国際大学にヘリが墜落をしました。その時に、実は現場を全部米兵たちが封鎖したんですね。日本の警察も、沖縄県警も入れなかったんです。その中に。それから消防も消火作業だけは手伝わされましたけど、そのあとは中に入れてもらえないです」
 
日米地位協定は日本側がその気になれば変えられる!
<ナレーション:日本政府は、本来やらなければいけないことをやっていないだけではないかと、高橋さんは言う。一方で、日本以外の国々は地位協定を変えてきたと語る前泊教授>
 
前泊「訓練するときはイタリア軍に事前に許可をもらえと。そうでなければ訓練をさせないというふうに言ってきたんですね」
 
玉川「それは、地位協定は変えたんですか?」
 
前泊「地位協定を変えました」
 
玉川「イタリアで?」
 
前泊「はい」
 
<ナレーション:さらに、アメリカ軍を撤退させることができた国まであるというが、いったいなにが違うのだろうか>
 
前泊「たとえば、そのイタリアの場合ですけれども、いまオスプレイの問題で、低空飛行訓練を日本中でいま展開しようとしていますね。これについては、イタリアでは、低空非常訓練を禁止してるんですよ。
 
かつてこれは、ゴンドラを低空飛行訓練で切っちゃって、たくさんの人が犠牲になったんです。そこで、イタリア国民は怒って、今度から訓練をするときは、イタリア軍に事前に許可をもらえと、そうでなければ訓練させないというふうに言ってきたんですね」
 
玉川「それは地位協定を変えたんですか?」
 
前泊「地位協定を変えました。それから、フィリピンの場合でもそうでしたけれども、彼らは、それこそ基地をどけるということで決めてしまって、そして、どかすことが実際に上院で決めたら、それが通っちゃいました」
 
玉川「要するに、フィリピンがフィリピン国民として、もう米軍基地はなしにするというふうに決めたら、米軍は出て行ったということですか?」
 
前泊「出て行ったんです」

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