FC2ブログ
私は先のエントリで原発を問う民衆法廷・熊本公判の証人のひとりに予定されている小野俊一(医師)という人の「「ピカの毒はうつる」発言を「トンデモ」も最たる妄言として批判しました。

その私の小野俊一氏批判について同氏に同調する立場から「放射線・放射能が人体から人体に伝染(うつ)る、ということは(略)事実です。人権だあ何だあ、といって否定することはできません」と猛然と反論をしてくる人がいました。

先の記事で私は放射能、内科学などの専門家の校閲を受けた上での『読本』だと思われる文科省の「放射線、放射能は感染しません」(「放射能を正しく理解するために」平成23年6月24日 9頁)という説明文を紹介しておきましたが、にも関わらずです(反論子たちにとっては文科省の説など所詮「御用学者」の説にすぎないということなのでしょう)。

同説明文には「放射線、放射能は感染しません」という記述の続きとして次のようにも書かれていました。

(1) 私たちが放射線を受けたからといって、私たちの体から放射線が出てくることはありません。(例えば、レントゲン写真を撮った後、私たちの体から放射線は出てきません。)

(2) 放射性物質が付着したり、体内に取り込まれたりしても、その周りにいる人に影響を与えるほどの放射線は発しません。(医療用で用いられるPET薬剤や治療内服薬は、桁違いに強力な放射性物質を患者の体内に取り込みます。それでも患者の周りの人に影響を与えることはありません。)

放射線には「物質を通り抜ける」という透過作用がありますが、その作用ひとつを考えてみても「伝染(うつる)」ということはありえません(通り抜けてしまうのですから)。上記の(1)にいう「私たちの体から放射線が出てくることはありません」とはそういうことを言っているでしょう。

(2)について素人が専門的に説明するのは難しいのですが、東海村JCO臨界事故の際、病院に搬送された作業員のうち2名は推定6シーベルトから20シーベルト以上の被ばくをし、最終的には死亡してしまいましたが、同作業員の治療に当たった医療関係者の健康に悪影響が出るほどの二次被ばくはありませんでした。その事実ひとつをとっても「放射性物質が付着したり、体内に取り込まれたりしても、その周りにいる人に影響を与えるほどの放射線は発しません」という文科省の「放射能を正しく理解するために」という『読本』の説明は科学的道理のあるものといえるでしょう。

そもそも病気が「伝染」したり、「感染」したりするのはヒトや動物などの個体に「病原体」(病気を引き起こす微生物やウイルス(のようなもの))があるためですが、放射性物質は「病原体」ではありません。したがって「病原体」ではない放射性物質が「伝染(うつ)る」ということはありえません(上記の文科省の説明文の(2)にあるような「放射性物質が付着したり、体内に取り込まれたり」することは「伝染(うつ)る」ということとは違います)。その「伝染(うつ)」らない放射能を「伝染(うつ)る」というのはあのナチス・ヒトラーの蛮行きわまる優生思想に基づく人種政策(ホロコースト)にもつながりかねない「被ばく者差別」以外のなにものでもない、というのが『はだしのゲン』の作者の中沢啓二さんの告発でした。

「放射線・放射能が人体から人体に伝染(うつ)る、ということは(略)事実です。人権だあ何だあ、といって否定することはできません」などという「反論」は実は反論でもなんでもなく、「院長の独り言」ブログの主宰者なる小野俊一氏が「科学」の装いを凝らして非科学的にばら撒き散らかしているデマの悪質な拡大再生産以外のなにものでもない愚論きわまれりの論といわなければならないのです。

この小野俊一氏や反論子の主張は結局どのような場所にゆき着くのか。ゆき着かざるをえないか。そのことについて福島第1原発事故収束作業員のおひとりの北島教行さんが反論子のいう「放射線源」の立場から心打たれる筆致で完膚なきまでに(と、私には思えます)さらに反論されていますのでご紹介させていただこうと思います。

 
無題
過酷な環境の中で作業は続く(週刊金曜日)

収束作業員の北島と申します。

田島さんが主張する論を適用するならば、私は「放射線源」です。
無用な貶めはやめていただけませんか。
収束作業に従事している私達に失礼なものいいです。

私は子どもはおりませんし、いまのところ作ることは考えてはいません。
しかし、いずれ作ることもあるかもしれません。
仲間にもこれから作ろうと考えている者もおります。

私達収束作業員に「子どもを作るべきではない」ということを仰るのでしょうか。
身の毛のよだつナチスばりの優生思想の持ち主だとお見受けいたします。

311直後から原発立地周辺の救援活動や、以降は収束作業にあたってきました。
このような人々に「穢れているから近寄るな」と仰り社会的な差別を展開しようと目論んでいるのでしょうか。
わたしも身近な友人からそのような扱いを受けました。
その友人は首都圏反原発連合の大幹部に大出世いたしましたけど。
当然、その友人とは縁を切りました。

で、「伝染(うつる)」というおどろおどろしい表現でヒバクシャの差別感情を掻き立てて何をなさりたいのでしょうか。
はだしのゲンの描写で「ピカの毒がうつる」という表現の不当性・差別性、更には非科学性を作者は告発しています。
真逆の評価をすることによって二重の貶めを行なっているわけです。

(中略)

それから、テントひろば等々にて田島さんとよくご一緒しております。
わたしは今後田島さんがそばに近づいたら「私は放射線源で穢れているので近寄らないでください伝染(うつ)ります」と自ら申告し注意喚起しなければならないのでしょうか。だとしたらわたしの人権は不当に蹂躙されることとなります。

科学的な見識、放射線防護学の見地をもとに論を展開していただけませんか。
「血の差別」を巡る反原発運動を標榜する人々による人権蹂躙問題については部落解放同盟含め多数の被差別当該の人々と討議を重ねて来ました。

ヒロシマ・ナガサキの被ばく1世は子どもを作るべきではなかった、と仰りたいのでしょうか。
被ばく2世は生まれてきて不幸だったと仰りたいのでしょうか。
収束作業員や除染作業員、福島県民は子どもを作ってはいけない、とでも主張なさりたいのでしょうか。
「障がい者」が生まれるから原発に反対するのでしょうか。

この件について、誠実にお答え下さいませんか。
「放射線・放射能が人体から人体に伝染(うつ)る」という表現に関して、私を含む様々な事象での被差別大衆も交え「確認会」を設定する必要があります。お答え如何では場合によっては法務省への人権擁護申し立ても辞さない事態となるでしょう。
湧き上がる怒りをぐっとこらえて、糾弾したい気持ちを抑え書いています。
よろしくお願いいたします。
部落解放運動、外国人差別反対運動、障がい者解放運動に関わっておられるメーリングリスト参加者の方々、このような場合の「確認会」の設定にの仕方についてお教えいただけませんか。
北島教行

関連記事
Secret

TrackBackURL
→http://mizukith.blog91.fc2.com/tb.php/571-3c102716