年越し派遣村 労働相談風景

「Afternoon Cafe」ブログを主宰する秋原葉月さんが今日付けで「今年は派遣村を開設しないそうです」という記事を書かれています。

今年は派遣村を開設しないそうです(Afternoon Cafe 2010年11月10日)

秋原さんは次のように書いています。

去年公約通りに政府が初めて貧困率を調査して1年たちます。/しかし貧困問題に関してあれから何の政策も採られず、状況は何にも変わりません。もちろん貧困率も高いままです。/せっかく貧困率を調査しても、それを改善する政策がとられなければ何の意味もありません。/セイフティネットの張り直しや派遣法見直しなど、貧困問題を解決する抜本的政策は全く手つかず。牛の歩みどころか、完全に停滞したままです。/新政権発足から1年以上たつのに、政府はこれら待ったなしの政策に何故ちっとも取りかかることができないのでしょう?/私にはその理由がまったくわかりません。/そんななか、今年は派遣村開村が見送られることになったようです。/そういえば去年石原都知事が、もう派遣村なんかやらないって随分不機嫌にしてましたから、それが一番の理由なのかも。

「大事なのは年間を通して(対策に)取り組んでいくこと。」というのはその通り正論です。従って「年間を通して対策に取り組み効果もあがっているから、もうあらためて年末の派遣村を開く必要はなくなった」というのなら話は分かります。/でもお世辞にもそうだとは言えないのに派遣村を開かないと決めたのは、生活困窮者の意向より派遣村が大嫌いな都知事の意向を優先したから。/で、その罪滅ぼしに、年越し前の生活支援強化を行うことにした、という印象を受けます。

上記の「大事なのは年間を通して(対策に)取り組んでいくこと」というのは、「セーフティ・ネットワーク実現チーム」主査の小宮山洋子厚生労働副大臣の言葉のようです。産経新聞(2010年11月9日付)によれば小宮山副大臣は次のように語っています。「昨年は年末年始に住居の提供や就業の相談を行ってきたが、大事なのは年間を通して(対策に)取り組んでいくこと。全力を挙げて(役所が開いている)12月28日までやっていく」。共同通信(同月同日付)によればこの部分は次のようになっています。「厚労省の小宮山洋子副大臣は会合後の記者会見で『派遣村が必要とならないよう、(役所が開いている)12月28日まで周知に全力を挙げる』と話した」。小宮山副大臣は「派遣村が必要とならないよう全力を挙げる」と語ってはいますが、「今年は派遣村を開設しない」とは断言していません。左記の小宮山副大臣の言葉は次の元派遣村村長の湯浅誠・内閣府参与の発言とも呼応します。「年末年始の対応はするとも、しないとも言えない」(朝日新聞 同月10日付)。ですから、「今年は派遣村を開設しないそうです」「『派遣村』見送りへ」といってしまうのは秋原さんや産経新聞の少し早とちりのようです。もう少し様子を見てみる必要があるように思います。

しかし、秋原さんの次のご指摘はそのとおりだと思います。

この年末支援強化も官公庁の御用納めの12/28までです。/一昨年末に年越し派遣村が開村されたのは、年末年始は役所が休みでハロワもないのでホームレス等の生活困窮者が特にこの厳寒時期に深刻な状況に陥る危険があったからでした。/それを思えば国や地方公共団体は12/28までで店じまいするのではなく、引き続き生活困窮者が寒さをしのぎ年を越せる支援を行うべきではないでしょうか。

派遣村は「貧困問題を可視化して、突きつける」ことに大きな役割を果たしていると思います。/貧困問題というのは放っておけば決して人々の見えないものです。それを見えるようにしたのが派遣村です。/しかし、もしこれをきっかけに今後派遣村が開設されない流れになってしまったら、せっかく可視化しかけた貧困問題が再び見えないところに一歩後退させられ、人々の意識から遠ざけられてしまうような気がします。貧困問題について自民党政権並みに何もせず、派遣法改正すら遅々として進まない現政権にとって、それはきっと好都合なことでしょう。日本ではまだまだ貧困問題を可視化していく必要があると私は感じます。

そういう意味では、湯浅さんの「年末年始の対応はするとも、しないとも言えない」という発言は少し不満ですね。内閣府参与という立場では言いにくいこともあるのでしょうが、この不景気の嵐の中で、仮に政府一丸となって「全力を挙げ」たとしてもお役所の都合どおりに12月28日までに貧困問題、ホームレス問題が一挙に解決するとは常識的に考えられません。湯浅さんは先の記者会見では「仮に政府が年越し派遣村を開設しない場合でも、これまでどおり自立生活サポートセンター・もやいをはじめとするNPOや労働組合、ボランティアの協力によって年越し派遣村は何があっても開設する」とつけ加えるべきではなかったでしょうか? そうすれば内閣府参与がそこまで言うのであれば、と政府をさらに突き動かす力にもなりえたのではないか、と思うのです。

以下、少しばかり今年の年越し派遣村に関する報道のリンクを貼っておきます。

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