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平和ドームと鳩 
「護憲結集」実現の願いをこめて

民主党は先の衆院選でなぜあのようにも歴史的な惨敗・大敗を喫したのだったか。

その理由はいうまでもなく2009年の衆院選で当時の「民主旋風」の追い風を受けて同党が圧勝し、民主党政権が誕生した(いわゆる「政権交代」選挙)後の同党の「『最低でも県外』と首相自ら公約しながら県民の心を8カ月間ももてあそび、『辺野古現行案』に回帰するという公約違反の裏切り行為」(琉球新報社説 2010年6月1日)や「原発再稼働容認」(朝日新聞 2012年2月16日)をはじめとするまさに次から次にというほかないすさまじいばかりの公約破りと自公政権「回帰」の政策が国民から完全にそっぽを向かれる破目になった最大の原因であることはいうまでもありません。

その先の衆院選での民主党の大敗の経験の本質(「政権交代」という中身のない標語に踊らされて民主党に投票した結果が3年半に及ぶこれまでの自公政権となんら変わりない、というよりもさらに悪質さを増した民主党政治であり、その結果として先の総選挙において自民・右派(改憲)勢力のこの上ない大勝と増長を招いたこと)からなにごとも学ばず、あるいは学ぶことができずに相も変わらず「大きいことはいいことだ」式の足し算の観念から逃れることができずに国会勢力の「数合わせの論理」に憂き身をやつしている人たちがいます。その人たちにとっては足し算される当の中身の吟味などはどうでもよいことのようです。少なくとも二の次、三の次、四の次の問題のようです。

(1)いわく「日本にもオリーブの木(1995年にイタリア政界で生まれた「中道左派連合」の呼称)を」つくろう。

(2)いわく「大同団結 市民の手で 脱原発『緑茶会』 衆院選教訓に」(東京新聞 2013年4月25日 朝刊) つくろう。

この新「オリーブの木」なるもの、あるいは「緑茶会」なるものは、私たちの国の政治をどこに導こうとしているのか。結果としてどこに導いてしまうのか。以下、少しく私の「異論!反論!OBJECTION!」と大いなる懸念を述べてみます。

はじめに「オリーブの木」構想について。

「オリーブの木」とは本来イタリアの経済学者で元同国首相のロマーノ・プローディ氏が提唱し、95年に旧共産党の左翼民主党を中軸に中道左派勢力の8政党が結集して作った政党連合のことを指しますが、日本で「オリーブの木」構想といえば、最近では2012年7月に民主党を離党して新党「国民の生活が第一」を設立した小沢一郎氏が次期総選挙に向けて大阪や名古屋などの地域政党との連携を目指した政権構想のことを指していうことが多いようです。そして、左記にいう「大阪や名古屋などの地域政党」とは大阪市の橋下徹市長や名古屋市の河村たかし市長らがつくる地域政党のことをいいます(「質問なるほドリ:「オリーブの木」構想って?」 毎日新聞 2012年07月23日)。

大阪市の橋下徹市長や名古屋市の河村たかし市長はポピュリスト市長として名高く、とりわけ大阪市の橋下市長は最近では極右政党の「維新の会」の創設者であることからもわかるように極右主義者としての本来の正体も露わにしています。このような右派政党との連携を「中道左派勢力の結集」と当然みなすことはできません。小沢氏の「オリーブの木」構想は本来のイタリアの「オリーブの木」構想と似て非なるものと第一に指摘しておく必要があるでしょう。

さて、上記(1)の新「オリーブの木」構想の提唱者は、昨年の衆議院選挙の結果について「自民党や日本維新の会が躍進、民主党はもちろん、未来の党、社民党や共産党などのいわゆる平和・リベラル・護憲・脱原発勢力は大敗北を喫してしまいました」という彼(女)らの政治情勢認識を述べて、その中で民主党、未来の党、社民党、共産党(フリーディスカッション参加呼びかけの政党を見るとみどりの風、緑の党、山本太郎氏(新党 今はひとり)も含まれています)を十把一絡げに「平和・リベラル・護憲・脱原発勢力」と規定していますが、その政治認識は誤っているというべきでしょう。下記の弊ブログ記事に見るように左記の政党のうち少なくとも民主党、未来の党、みどりの風は「平和・リベラル・護憲・脱原発勢力」とみなすことはできません。

また、(2)の「脱原発政治連盟」(緑茶会)が推薦する政党と立候補予定者も上記とまったく同じく十把一絡げの論理に立って推薦政党と推薦立候補予定者を選ぼうとしています。彼(女)ら(緑茶会)が選ぼうとしている政党及び立候補予定者のすべてをここでも「平和・リベラル・護憲・脱原発勢力」とみなすことはできません。

「党派を超えて新しい政治の流れをつくろう」という集会案内の抽象性とそれゆえの危険性について(弊ブログ 2013.04.20)

【参考】
「緑茶会」という組織自体について、また、「緑茶会」が推薦する参院選候補についての違和感については次のような指摘もあります。同記事(4)の文末でkojitaken氏は「それにしても、上原公子氏や宇都宮健児氏らが会に加わっていながら、一体何をしているのだろうか。残念でならない」という感想を述べられていますが、私も同様の思いです。


なぜこのようなことになるのか。

広原盛明さん(元京都府立大学学長)は「嘉田新党(日本未来の党)はなぜ失墜したか~「極右第3極」の台頭、「保守補完第3極」の消滅~(「広原盛明の聞知見考」第27回 『ねっとわーく京都』 2013年4月号)という論攷の中で民主党が先の衆院選で歴史的な惨敗・大敗を喫した「貴重な教訓」に触れて次のように言っています。

「この総選挙を通して得られた貴重な教訓は、目下進行中の保守大連立(独裁体制)への道は、同じ「第3極」であっても「保守補完第3極」では到底阻止できないということだろう。嘉田新党を天まで持ち上げた先の若手政治学者の言葉を借りるなら、「偽りの第三極」ではなく「真の第三極」でなければ安倍自民党・維新の極右連合軍には対抗できないということだ。そして「真の第三極」は、広範な護憲勢力が結集する“護憲第3極”以外には存在しないということなのである。」

彼(女)らには広原さんが「『真の第三極』は、広範な護憲勢力が結集する“護憲第3極”以外には存在しない」と指摘する先の総選挙における革新の敗北から痛切に学びとった「貴重な教訓」の認識が決定的に欠如しているがゆえに上記のような単純な十把一絡げの論理に陥ってしまうのだと私は思います。

広原さんは「広範な護憲勢力が結集する“護憲第3極”」の対極にある「保守補完第3極」としての“日本版オリーブの木”構想(直截的には「嘉田新党」問題)にも触れて次のようにも言っています(同上)。

「(「嘉田新党」の持ち上げについては)毎日の方はもっと肩に力が入っていた。『特集ワイド:「嘉田新党」を考える』(12月3日)を組んで3人の識者を写真入りで登壇させ、嘉田新党の参戦で総選挙の構図はどう変わるか、イタリアの「オリーブの木」のように既成政党に対抗することは可能なのかを特集する大判のインタビュー記事を掲載した。そのうちのひとり、ある若手政治学者(引用者注:五野井郁夫高千穂大准教授)の発言が当時の雰囲気(マスメディアの意図)を典型的にあらわしているので以下に紹介しよう。

『「真の第三極」が現れたと言えるだろう。「真の」とは、脱原発を求める国民の声に寄り添い、将来のビジョンを打ち出しているという意味だ。対照的に、日本維新の会は「偽りの第三極」の様相が露呈しつつある。「偽り」とは、確固たるビジョンを持たないこと。世間受けする政策を掲げてはすげ替え、保守票も脱原発票も欲しがっている印象だ。石原慎太郎代表の考えと党の公約が一致しているかも疑問だ」

『「未来」が発表した「びわこ宣言」は「経済性だけで原子力政策を推進することは、国家としての品格を失い、地球倫理上も許されない」と述べている。非常にわかりやすく、国民の切なる願いに応えようという姿勢を感じる。官邸前や経団連前などで脱原発デモが続いている。「未来」はこのような動きと連動し、選挙後は原発政策の決定過程に大きく影響するポジションを得る可能性がある。これまで投票率の低かった若い世代が「未来」に関心を示せば、イタリアの「オリーブの木」のように政党連合への躍進もありうる』

『確かに、自民を除く他の政党も、脱原発を打ち出してはいる。しかし民主はマニフェスト破りの過去があり、政権与党として脱原発への踏み込んだ具体的プロセスを提示できていない。社民、共産に投票しても実効性があるのか疑問に思う有権者も少なくない。「シングルイシューで政党が成り立つのか」という批判が出ているが、原発以外の基本政策も、消費増税の凍結、雇用の拡大、TPP交渉入り反対など明快だ。エネルギー問題は国の最重要課題なので、そこで一致する政治家が集まるのは野合ではない』

また民主党菅政権の寵児(内閣府参与)だった湯浅誠氏(強調は引用者。以下、同じ)も、「これまで大事な局面で団結するのが右派、分裂するのが左派だった。段階的に全原発の廃炉を目指す「卒原発」を掲げ大同団結し、大きな受け皿をつくろうと新しいモードを打ち出したことを評価したい。嘉田さんはよく決断したと思う」と負けず劣らず(恥ずかしいような)エールを送った。こうして「新・第3極=未来」を打ち出す手はずが整ったのである。」

そうして広原さんは上記の論攷の結論として一部繰り返しの部分がありますが次のように述べています(同上)。

「この総選挙を通して得られた貴重な教訓は、目下進行中の保守大連立(独裁体制)への道は、同じ「第3極」であっても「保守補完第3極」では到底阻止できないということだろう。嘉田新党を天まで持ち上げた先の若手政治学者の言葉を借りるなら、「偽りの第三極」ではなく「真の第三極」でなければ安倍自民党・維新の極右連合軍には対抗できないということだ。そして「真の第三極」は、広範な護憲勢力が結集する“護憲第3極”以外には存在しないということなのである。」

「総選挙で「偽りの第3極=嘉田新党」を煽ったマスメディアは、深く反省して出直してほしい。「極右第3極=維新」を支援したマスメディアは、戦前の「いつか来た道」をもう一度思い起こしてほしい。革新政党の存在を無視した政治部記者やデスクは、顔を洗って目の鱗を落としてほしい。マスメディアに迎合するだけの若手政治学者やその他の識者は、もっと勉強して主体性を確立してほしい。そして相も変らぬ選挙総括を書いた革新政党は、直面している政治情勢の厳しさを再認識してほしい。」

いま、新「オリーブの木」なるもの、あるいは「緑茶会」なるものを提唱している人たちには上記の広原さんの指摘を真摯に改めて再考していただきたいものです。

それが先の総選挙における革新勢力の歴史的な惨敗の教訓を生かすということだろう、と私は切に思います。そして、新「オリーブの木」、あるいは「緑茶会」なるものをいま提唱することはその教訓を生かす道に逆行する道といわざるをえない、とこの点についても私は痛切に思います。

関連資料
「緑茶会(脱原発政治連盟)」立ち上げ集会(案内文)(情報の出所:CML 2013/04/24 14:56)
大同団結 市民の手で 脱原発「緑茶会」 衆院選教訓に(情報の出所:東京新聞 2013年4月25日 朝刊)
参院選へ緑茶会発足 「脱原発」結集 1次推薦40人(情報の出所:東京新聞 2013年4月25日 朝刊)
緑茶会(脱原発政治連盟) (情報の出所:緑茶会(脱原発政治連盟)HP)
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