先日私は「人間として『アンチ朝鮮人デモ』をもはや等閑視することは許されない!! 今度は大阪最大のコリアタウン鶴橋で女子中学生が『南京大虐殺ではなく‘鶴橋大虐殺’を起こしますよ!』と大量殺人予告」という記事を発信しましたが、以下は同記事に関する追記3題です。

第1の追記は「民族憎悪 叫ぶデモ」と題された3月31日に大阪・鶴橋のコリアンタウンであったアンチ朝鮮人デモを取材した4月6日付けの朝日新聞記事の紹介。

第2の追記は「『殺せ』の嫌韓デモに批判高まる」と題された3月17日に東京・新大久保のコリアンタウンであったやはりアンチ朝鮮人デモを取材した3月29日付けの東京新聞「こちら特報部」記事の紹介。

第3の追記は上記弊記事に対する読者の反応に応えたもの。なぜいま日本で「ヘイトクライム法」の制定が喫緊の課題となっているのかということと上記の記事に見るようにいま「現実に行われている言動は、これに拱手傍観を許さない段階に達している」(弁護士有志12人の「声明」。上記の弊ブログ記事参照)こと、「このまま事態を放置すれば、現実に外国人の生命身体への攻撃に至るであろうことは、1980年代以降のヨーロッパの歴史に照らして明らかなところである」(同左)ことについて書きました。

追記1:「民族憎悪 叫ぶデモ」(朝日新聞 2013年4月6日)

嫌韓デモ1 
「日韓断交」などを訴えるデモ隊(上)。道路一本はさんで
抗議デモも(下)。双方を大阪府警が取り囲む騒然とした
          状態が2時間近く続いた=大阪市のJR鶴橋駅近く

 排外主義的な主張を掲げる団体が「韓国人をたたき出せ」などと連呼するデモが各地で繰り返されている。差別的な表現の規制をめぐる議論も起きている。

頻発 規制めぐり論争

 在日コリアンの多い大阪・鶴橋。3月31日の日曜、旭日旗などを掲げた約50人がJR駅前で「朝鮮人を追放しろ」と声を張り上げた。その後、100人超に膨れ、目抜き通りの御堂筋などをデモ行進。「ゴキブリ」「殺せ」「差別しろ」などの言葉も飛び交った。

 主催したのは「神鷲皇國會(しんしゅうみくにかい)」という市民団体。デモの動画を、ネットで流し、過激な言葉で支持を広げてきた、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)とは「同志」といい、そのメンバーらも参加した。

 こうしたデモは最近、韓流の街、東京・新大久保も続く。3月には民主党の有田芳生氏ら有志国会議員が国会で抗議集会を開き、「日本でもヘイトスピーチ規制を議論すべきでは」との意見も相次いだ。有志の弁護士12人も東京弁護士会に人権救済を求めた。

 人種や宗教など、ある属性を有する集団に対し、おとしめたり暴力や差別をあおったりする侮辱的表現を行うことを、ヘイトスピーチ(憎悪表現)と呼ぶ。

 定(引用者注:ママ)の個人や団体への攻撃ならば、名誉毀損罪や侮辱罪になる。だが、相手が「朝鮮人」「韓国人」と言うだけでは抽象的すぎて、刑法の適用は難しい。

 日本も加盟する人種差別撤廃条約は、その4条で、人種差別の扇動を法律で禁じるよう求めている。だが日本政府はこの条文には、留保を付けてきた。

 「正当な言論を萎縮させる危険を冒してまで、処罰立法を検討しなければならないほど、現在の日本で人種差別の扇動が行われているとはいえない」。 これが政府の考え方だ。

法で禁ずる国も

 ドイツは刑法で「民衆扇動罪」を設け、ナチス下のホロコーストの事実を否定するような言動も禁じた。

 英国やカナダにもヘイトスピーチ規制法がある。一方、米国は日本と同じ条文を留保。規制の市条例を連邦最高裁が違憲とした例もあり、議論は揺れている。

 在特会側は「中国や韓国の反日デモでは、もっとひどいことを日本人に投げつけている」と反論。規制論についても、「何をヘイトとするか、基準が確立していない」としている。

「差別アカン」抗議も広がる

 抗議の意志を示す市民の動きも広がっている。

 3月31日の鶴橋駅前では、「仲良くしようぜ」「恥を知れ」「差別はアカン」などのプラカードを掲げた約200人が、反朝鮮デモ側を包囲するように、道路をはさんで前と隣に並んだ。

 カウンターと呼ばれるこうした抗議行動は、新大久保でツイッターを機に広がった。それを見た大阪市在住のクリエーター凛七星(りんしちせい)さん(51)らが「友だち守る団』を立ち上げ、ツイッターで参加を呼びかけた。「まともに相手にすることないと思ってきたが、見過ごせるレベルでなくなった」

 地域の住民も動いた。反朝鮮デモのネット告知を見てすぐ対抗デモを申請したのだ。参加した在日3世の男性(47)「あんな発言を子どもたちに聞かせたくないし、共生を培ってきた地域の人間に対し、差別を先導する人の居場所をなくしたい」と話す。(石橋英昭、多知川節子)

追記2:「『殺せ』の嫌韓デモに批判高まる
     (東京新聞「こちら特報部」 2013年3月29日)

 「在日韓国・朝鮮人を殺せ」といった過激なスローガンが白昼の街に躍る。「在日特権を許さない市民の会」(在特会)などが主催するデモだ。見かねた人たちが沿道で「(在日コリアンと)仲良くしよう」と書かれたプラカードで対抗し、国会議員からも問題視する声が出始めた。特定の人種や民族を侮辱、攻撃する表現は「ヘイトスピーチ(憎悪表現)」と呼ばれる。海外では法的な規制もあるが、日本にはない。 (佐藤圭)

 十七日午後、東京・新大久保のコリアンタウン。日章旗などを手にした数百人のデモ隊が大通りを練り歩いた。「春のザイトク祭り 不逞(ふてい)鮮人追放キャンペーン デモ行進in新大久保」。主催は在特会だ。

参加者らのプラカードには「朝鮮人ハ 皆殺シ」「韓流追放」といった文言が並び、「殺せ」「たたき出せ」「ゴキブリ」といったシュプレヒコールが繰り返される。

歩道では、デモ隊に匹敵する数の人たちが抗議の意思を示した。

会社員の木野寿紀さん(30)が二月からツイッターで参加を呼び掛けてきた「プラカ隊」のメンバーは、「仲良くしようぜ」「日本の恥」と書かれたプラカードを無言でデモ隊につきだした。

「ひどいヘイトスピーチに大変な怒りを感じている。地域の人たちに迷惑がかからないように黙って差別反対の意思表示をした」(木野さん)

デモ隊の前後左右を取り囲む警察官たちは、デモ隊とそれに抗議する人たちを引き離そうとするものの、両者はたびたび角を突き合わせてののしり合った。別の抗議集団は「レイシスト(差別主義者)は帰れ」などと糾弾の声を上げた。

騒然とした雰囲気の傍ら、韓国化粧品を並べた店を営む在日韓国人の女性(56)は「どうしてこんなデモがあるのか分からない。お客さんが怖がって寄りつかなくなっている」と顔をしかめた。

在特会は二〇〇七年一月に発足した。日本に居住する在日コリアンたちが「特権を不当に得ている」と主張し、特に在日コリアンに付与された特別永住資格の剥奪と制度の廃止を訴えている。脱原発デモに対抗した「原発の火を消させないデモ行進」も主催した。

ホームページによると、会員数は一万二千人以上。「嫌韓」デモは数年前から各地で実施され、最近では「殺せ」「毒飲め」といった言葉が飛び出すほどエスカレートしている。それに伴い、抗議の声も強まっている。

同会の米田隆司広報局長はこう語った。

「『良い朝鮮人も悪い朝鮮人も殺せ』といった言葉を推奨しているわけではないが、ショッキングなメッセージは印象に残る。朝鮮人に心理的にダメージを与えようということではなく、会の活動を伝わりやすくするためだ。ヘイトスピーチと言われているが、何をもってヘイトとするのか分からない」

一連の抗議に対しては「(抗議する集団は)反原発運動で世間の関心を集められなくなったので、在特会にかみついて存在感を示そうということではないか」と話した。

民主党の有田芳生参院議員らは十四日、在特会などの「嫌韓」デモに抗議する集会を参院議員会館で開いた。約二百五十人が集まった。

決議文では「在特会などの主張は殺人教唆ともいうべき内容で、表現の自由の一線を越えた悪質な扇動にほかならない」と非難した。有田氏は「在特会のような勢力はほっておけば、消えてなくなるという意見もある。だが、言動は過激化するばかりだ。どこかで歯止めをかけなければ」と危機感を募らせる。

特定の個人や団体に対する侮辱行為であれば、名誉毀損(きそん)罪や侮辱罪などに抵触する。在特会などのメンバーが〇九年、京都朝鮮第一初級学校(京都市)の授業を街宣活動で妨害した事件では、メンバーらに侮辱罪、威力業務妨害罪などによる有罪判決が確定した。

しかし、「韓国人を殺せ」といった言葉は、刑法に抵触しない。日本には、欧州諸国などにある人種差別禁止法やヘイトクライム(憎悪犯罪)法がないからだ。

日本も加盟する人権差別撤廃条約は、こうしたヘイトクライムについての法整備を求めているが、政府は動こうとしていない。「処罰立法を検討しなければならないほどの人種差別の扇動は日本には存在しない」という認識からだ。

東京造形大学の前田朗教授(刑事人権論)は「政府は早急に『人種差別禁止法』を制定し、差別は絶対に許さないという姿勢を打ち出すべきだ。その上で、ヘイトスピーチを含むヘイトクライムの法規制を検討してほしい」と強調する。

とはいえ、いま現在は有田氏ら一部の議員らが動き始めたにすぎず、法整備は将来的な課題。表現の自由との「もろ刃の剣」の側面もあるだけに慎重な議論が必要だ。当面は現行法の枠組みの中で対処するしかない。

有田氏らは二十六日、デモの届け出受理をする東京都公安委員会に対して「ヘイトスピーチを伴うデモを過去に実施した団体からデモ・街宣活動の届け出があった場合、新大久保周辺では許可しないこと」などを要請。地元商店街やネット上で集めた署名も提出した。

風当たりの強さに、在特会の一部には微妙な空気も漂っている。

メンバーの男性会社員は「『殺せ』という部分だけを切り取ってレイシストのレッテルを貼るのは納得できないが、私自身は『殺せ』は使わない」と話した。元メンバーの男性会社員は「『殺せ』という言い方には疑問を感じる。会の活動とは距離を置いている」と複雑な心境を明かした。

前出の米田氏は、在特会の現状について「設立当初から退会する人はいる。出たり入ったりだ。それぞれの考えで動けばいい。デモは今後も継続する」と説明する。

著書「ネットと愛国」で在特会の実態に迫ったジャーナリスト安田浩一氏は「在特会はレイシスト、排外主義者だ。容認することはできない」と断じた上で、「市民の力でデモを止めなければならない」と訴える。

「一連の抗議活動によって、動揺しているメンバーは少なくない。ヘイトスピーチに関する法的規制には慎重にならざるを得ないが、そういう議論が始まってもおかしくないほどデモは醜悪だ。法的規制に走らないためにも、一人でも多くの人が反対の意思表示をしてほしい」

<デスクメモ> 在特会と特報部の接点は、四年前のフィリピン人一家強制退去事件からだ。記事内容をめぐり、抗議を受けたこともあった。取り上げること自体が「励まし」に転じかねないというジレンマは常にある。だが、社会には彼らへの沈黙の共感が垣間見える。その危険は無視できない。注目し続ける理由だ。 (牧)

追記3:弊記事の読者の反応に応える。
     「このまま事態を放置すれば、現実に外国人の生命身体への
     攻撃に至るであろうこと」について

●「どんなデモでもヘイトクライム法と言うものができて、ヘイト
 クライムとみなされて規制されたらどうなるんでしょう」という
応への応答。

ヘイトクライム(憎悪犯罪)の「ヘイト」(憎悪)という概念は多種多様で、その意味でたしかになにをもって「憎悪犯罪」というのか。定義が難しい側面はあるのですが、国際的には一般的に「ヘイトクライム」は「人種、民族、宗教、性的指向などに係る特定の属性を有する集団に対しての偏見が元で引き起こされる口頭あるいは肉体的な暴力行為」と定義されているようです(ウィキペディア『ヘイトクライム』の注2『ブリタニカ百科事典』「ヘイトクライム」(英語)参照)。

したがって、「ヘイトクライム法」(日本でも成立したとして)の規制対象となる暴力は「人種、民族、宗教、性的指向などに係る・・・・口頭あるいは肉体的な暴力行為」に限られるので、「どんなデモ」の発言にも規制が及ぶということではありません。規制対象となる暴力は「人種、民族、宗教、性的指向など」にかかわる暴力とはっきりしています。それが「ヘイトクライム」(憎悪犯罪)たるゆえんです。

ただ、この問題にかかわって私たちがいま考えておかなければならないだろうと思われる点は、この「ヘイトクライム法」に定義される概念を含む包括的な人種差別禁止条約としての「人種差別撤廃条約(あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約)」は1965年の第20回国連総会において採択され、日本も1995年に批准していますが、わが国は同条約第四条(a)(b)の適用だけはいまだに留保したままだということについてです。

人種差別禁止条約第4条

締約国は、一の人種の優越性若しくは一の皮膚の色若しくは種族的出身の人の集団の優越性の思想若しくは理論に基づくあらゆる宣伝及び団体又は人種的憎悪及び人種差別(形態のいかんを問わない。)を正当化し若しくは助長することを企てるあらゆる宣伝及び団体を非難し、また、このような差別のあらゆる扇動又は行為を根絶することを目的とする迅速かつ積極的な措置をとることを約束する。このため、締約国は、世界人権宣言に具現された原則及び次条に明示的に定める権利に十分な考慮を払って、特に次のことを行う。

(a)人種的優越又は憎悪に基づく思想のあらゆる流布、人種差別の扇動、いかなる人種若しくは皮膚の色若しくは種族的出身を異にする人の集団に対するものであるかを問わずすべての暴力行為又はその行為の扇動及び人種主義に基づく活動に対する資金援助を含むいかなる援助の提供も、法律で処罰すべき犯罪であることを宣言すること。

(b)人種差別を助長し及び扇動する団体及び組織的宣伝活動その他のすべての宣伝活動を違法であるとして禁止するものとし、このような団体又は活動への参加が法律で処罰すべき犯罪であることを認めること。
   
前田朗氏(東京造形大学教授・刑事人権論)はこのことについて次のように批判しています。

「日本政府は一九九五年に条約を批准したが、条約第四条(a)(b)の適用を留保した。理由はなんと、人種差別表現は憲法上の表現の自由の保護の範囲内にあるというものである。日本政府は「人種差別表現の自由」という驚くべき思想を語る。

二〇〇一年三月、人種差別撤廃委員会は、日本政府報告書の審査結果として、日本政府に条約第四条(a)(b)の留保を撤回し、包括的な人種差別禁止法を制定するように勧告した。 九年後の二〇一〇年三月、人種差別撤廃委員会は、第二回目の日本政府報告書の審査結果として、再び日本政府に対して留保撤回と人種差別禁止法の制定を勧告した。朝鮮人に対する暴力や、インターネットにおける部落差別の実態を見据えた勧告である。

なお、ここで言う人種差別禁止法とは、ヘイト・クライム規制だけではなく、民事・行政・教育・雇用など諸分野におけるさまざまな差別を規制するための総合的立法である。ヘイト・クライム法は人種差別禁止法の一部に相当するが、刑法分野に属する。

人種差別撤廃委員会だけではない。二〇〇五年以来数回にわたって日本の差別状況を調査した国連人権委員会のドゥドゥ・ディエン「人種差別問題特別報告者」も、留保撤回と禁止法の制定を勧告している。

ところが、日本政府はこれらの勧告を拒否している。理由は、第一に表現の自由である。人種差別表現も憲法上の表現の自由に含まれるという。第二に罪刑法定原則である。ヘイト・クライム法は概念が不明確であって、処罰範囲を明確に規定できないという。

日本政府の弁解には説得力がない。人種差別撤廃委員たちは、日本政府に対して「人種差別表現の自由というものを認めるべきではない」「表現の自由を守るためにこそヘイト・クライムを規制するべきだ」と指摘した。現行刑法にも名誉毀損罪がある。人種等に対する名誉毀損罪を認めることは決して難しいことではない。日本政府の主張が正しいとすれば、世界の大半の諸国には表現の自由がなく、日本だけが表現の自由を守っているという珍妙な話になってしまう。戦争反対のビラ配りさえ許さない日本に表現の自由があるというのは、ブラックジョークにすぎないのではないだろうか。

また、条約第四条(a)を受けて、世界の多くの諸国にヘイト・クライム処罰規定が整備されている。日本政府の主張が正しいとすれば、世界の大半の諸国には罪刑法定原則がなく、日本だけが罪刑法定原則を守っているという奇怪な話になってしまう。」(「差別犯罪と闘うために――ヘイト・クライム法はなぜ必要か(1)」(「解放新聞東京版」766号(2011年6月15日号)前田朗Blog

以上、いまや「ヘイトクライム法」の制定を望む声は国際的な人道上の流れとなっているということについて、その一端をご説明させていただきました。

●「ドイツではナチズムは法律で禁止されていますがそれでも出て
 きます。こういう現象をどう捉えるか、またどう対処するかの動き
のほうが本質だと思うのですが」という反応への応答。

この点については既述のこちらの記事でも紹介していますが、外国人排撃デモに関する弁護士有志12人の「声明」の2に次のような説明があります。

「現実に行われている言動は、これに拱手傍観を許さない段階に達していると判断せざるを得ない。このまま事態を放置すれば、現実に外国人の生命身体への攻撃に至るであろうことは、1980年代以降のヨーロッパの歴史に照らして明らかなところである。」

上記にいう「1980年代以降のヨーロッパの歴史に照らして明らか」というのは同じく弁護士有志の東京都公安委員会及び警視庁警視総監に対する申入書の「申入れの理由」の5にいう

「ヨーロッパのドイツ、フランスなどにおいては外国人排撃運動に対し、社会のしかるべき対応が行われなかったことから外国人の生命が奪われ、また放火等重大な犯罪に発展した」

ことなどを指しているでしょう。

また、1980年代は欧州において極右政党が台頭してきた時期でもあります。上記の外国人排撃運動が「重大な犯罪に発展」したことと極右政党が台頭してきたこととには密接な関連があるでしょう。こちらの論攷などもご参照ください。

上記の弁護士有志12人の声明はいま東京・新大久保のコリアンタウンや大阪・鶴橋のコリアンタウンで「現実に行われている言動」について「拱手傍観を許さない」ことこそが1980年代以降のヨーロッパの歴史の過ちを繰り返さないこと、さらにはナチズム的な思想の復活を許さないことにつながっていくのだということ、すなわち「どう対処するかの本質」につながっていくのだということを言っているのだと思います。私もそう思います。

●「『殺すぞ』くらい日常語である中学生の罵詈雑言を『大量殺人予告』
 とは大袈裟だと思いますが、誰かが注意してやらなければならんでし
ょうねえ。ここは熱くならないで、冷静な大人の対応が必要でしょう。
『すぐにヘイトクライム法を!』なんてやったら、相手の思うつぼかもね」
という反応への応答。

たしかにいまの中学生は小さい頃からのテレビや漫画などの影響もあって「殺すぞ」という罵詈雑言を日常的に遣っているという側面はありますが、その中学生のじゃれあいのような会話の中での「殺すぞ」という言葉と上記のヘイトスピーチとしての「殺すぞ」という言葉はたとえその言葉の発信者が女子中学生だとしても本質的に違うと思います。女子中学生の「殺すぞ」発言は上記の「アンチ朝鮮人デモ」の流れの中で遣われています(あるいは遣わされています)。そして、こうしたヘイトクライム、ヘイトスピーチはもはや「拱手傍観を許さない段階に達していると判断せざるを得ない」(弁護士有志の「声明」)状況にあるといわなければならないのです。「このまま事態を放置すれば、現実に外国人の生命身体への攻撃に至るであろうことは、1980年代以降のヨーロッパの歴史に照らして明らかなところである」(同左)ともいわなければならないでしょう。下記の弁護士有志たちの警告と懸念を再度読み直していただければ、と思います。

■新宿区新大久保地域で行われる外国人排撃デモについて
声明申入書人権救済申立書 弁護士有志 2013/3/29


関連記事
Secret

TrackBackURL
→http://mizukith.blog91.fc2.com/tb.php/552-5891cd7d