現在熾烈な選挙戦が繰り広げられている沖縄県知事選でどちらも普天間基地の「県外移設」を主張しているという点では同じだとして伊波候補と仲井真候補を同列に置こうとする論調が横行している中で、本日の琉球新報の社説は一頭地を抜く論を展開しています。その論は次のようなものです。

今知事選で、最大の争点の一つはまぎれもなく米軍普天間飛行場の返還・移設問題である。/仲井真、伊波の2氏が「県外」「国外」に移すことを公約に掲げた。争点がかすんだとする見方には、政治的思惑も見え隠れする。(略)仲井真、伊波の両氏の公約や発言を読み取れば、その違いははっきりしてくる。/(略)「県内は不可能に近い」。本土を視野に入れた移設による解決が望ましいとにじませる一方、「県内移設反対」の言質を求めると慎重に明言を避けている。/有権者からは県内に反対と見なされたいが、政府との決定的な対立は避けたいという姿勢に映る。(琉球新報 2010年11月23日)

沖縄メディアのこうした論の立て方を私は望んでいました。県知事選の投票日まであと5日。沖縄のメディアもやっとまっとうな論を展開し始めました。この流れが本流となって決して押し戻すことができない大河のような流れとなって奔流することを私は強く期待します。

社説:知事選・普天間問題 違いを見極め選択したい(琉球新報 2010年11月23日)
《沖縄県知事選》 【琉球新報社説】 普天間問題、違いを見極め選択したい(写真で見る・知る沖縄 2010年11月23日)
 沖縄の重大な分岐点となる県知事選挙まであと5日に迫った。事実上の一騎打ちを繰り広げる現職の仲井真弘多、新人の伊波洋一の両候補が激しく競り合い、予断を許さない情勢の中で終盤を迎える。

 今知事選で、最大の争点の一つはまぎれもなく米軍普天間飛行場の返還・移設問題である。

 仲井真、伊波の2氏が「県外」「国外」に移すことを公約に掲げた。争点がかすんだとする見方には、政治的思惑も見え隠れする。県民世論を土台に、2人の有力候補の政策から県内移設の選択肢が消えた事実は重い。地殻変動の中で迎える知事選の歴史的意義をかみしめたい。

 「世界一危険」と称される普天間飛行場問題の原点は、基地周辺住民の命を守る観点での返還だった。しかし、日米両政府は返還条件となった県内移設にとらわれ、賛否の意思表示を迫られた沖縄社会は揺さぶられ続けてきた。今選挙は、県民自らそのくびきを断ち切り、名護市辺野古への移設計画の命脈を断つ可能性を帯びている。

 仲井真、伊波の両氏の公約や発言を読み取れば、その違いははっきりしてくる。

 県内移設を容認・推進してきた仲井真氏は、高まる世論に押される形で「県外移設要求」にかじを切った。「日本全体で負担を負うべきだ」「県内は不可能に近い」。本土を視野に入れた移設による解決が望ましいとにじませる一方、「県内移設反対」の言質を求めると慎重に明言を避けている。

 有権者からは県内に反対と見なされたいが、政府との決定的な対立は避けたいという姿勢に映る。沖縄振興の新たな法整備など今後の折衝を見据え、政府との協議の門戸を開いている。

 伊波氏は、県内移設反対を鮮明にし、米公文書の詳細な解読を基に、国外、特にグアムへの移転が米軍の既定路線であると持論を展開している。その一方、推薦する3政党との基本姿勢との兼ね合いもあり、本土を視野にした県外移設に踏み込むことは避けている印象がある。

 「辺野古移設を葬り去る」と強調する伊波氏は、日米合意を前提とした協議には応じず、両政府に断念を迫るとしている。

 日米安保に対する価値観も異なる。日米両政府との交渉手法の違いは有力な判断材料となるはずだ。政策や公約を今一度精査し、沖縄の明日を託す一票を投じたい。

参考1:沖縄タイムス(20日付)と琉球新報(23日付)の社説の「違い」を見るために
■社説:[県知事選]この静けさは何だろう(沖縄タイムス社説 2010年11月20日)
 県知事選挙が盛り上がらない。沖縄の針路を左右する極めて重要な選挙であるにもかかわらず、選挙の意義に見合うような熱気が、感じられない。一体、どういうことなのだろうか。

 県知事選は復帰後、10回行われているが、11回目の今回は、過去のどの選挙と比べても、特異さが際立つ。

 2人の有力候補が米軍普天間飛行場の移設問題で、「県外」「国外」への移設を主張し、争点がぼやけてしまったことが、この選挙の最大の特徴である。

 辺野古移設の姿勢を変えていない民主党本部は、どの候補も推していない。沖縄の県知事選で政権与党が自主投票を決めるのは初めてだ。自民・公明推薦の候補が、自民党本部に推薦の申請をしないのも例がない。

 普天間問題がもたらした複雑な「ねじれ」が、有権者を戸惑わせ、選挙運動の盛り上がりにブレーキをかけているのは明らかだ。

 菅直人首相はオバマ米大統領との首脳会談で、「5月の日米合意をベースに沖縄県知事選後に最大の努力をする」と語った。知事選は現職の仲井真弘多氏と、前宜野湾市長の伊波洋一氏による事実上の一騎打ちとなっているが、誰が当選しても、選挙後の政府との交渉は難しいものになるだろう。

 「どうせ動かないのだから」と選挙を棄権する人が増え、投票率が下がるようなことがあってはならない。

 現実を変えることができるのは、選挙によって示される有権者の民意である。

 過去10回の知事選で、例外的に投票率が下がったケースが2回ある。

 革新陣営が分裂し、稲嶺恵一、吉元政矩、新垣繁信氏らの争いとなった2002年の知事選(投票率57・22%)と、大田昌秀氏と翁長助裕氏が争った1994年の知事選(投票率62・54%)である。

 両選挙に共通するのは、大差がついたことだ。選挙に対する有権者の関心が薄れ、投票率が低下した結果、大差がついてしまったのである。

 今回の選挙はそのような状況にはない。そこまで投票率が下がるとは考えにくい。

 ただし、普天間問題の争点がぼやけ、中央と沖縄に「ねじれ」が生じたことは、いわゆる浮動層の知事選への関心を低下させる懸念がある。

 各陣営は他候補との違いを有権者にアピールし支持を訴えているが、現時点では、政策の違いが有権者に十分に浸透しているとは言い難い。

 盛り上がりに欠ける現在の状況を打開するためには、一にも二にも運動量を増やすことである。運動を拡大し、政策をめぐる論戦を深めていくことによって有権者の関心を高めていくことが必要だ。

 日米安保への評価、経済政策の手法、カジノ導入をめぐる姿勢、県立病院の独立行政法人化など、政策の違いは次第に明らかになりつつある。対立軸を鮮明にし、有権者に分かりやすく政策を示してもらいたい。

 投票率を高めることが、政府に対する沖縄の交渉力を強くする。

参考2:本日(2010年11月23日)の「写真で見る・知る沖縄」ブログより


「写真で見る・知る沖縄」ブログ(2010年11月20日付)より



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