以下はCMLに投稿のあった「佐藤かずよし無所属・市民派(いわき市議会議員)<エートス・プロジェクト>とは何か?」というメールに対する反論です。

どなたからのご指摘もないのですが、原発被災地の福島現地での住民たちの真摯な取り組みを、「取り返しのつかない疾病を引き寄せ、健康を阻害させてしまう恐れを一生背負わせることになります」などと偏頗な情報に基づいて最大級の悪罵をもって一方的に非難、中傷する行為をそのままに(無視、捨て置く)しておくことは身中の虫の落ち着きが悪いので、不肖私が指摘させていただこうと思います。

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福島、郡山の畑を除染する

中田氏は「福島のエートス」運動を非難するに当たって(この非難者の中には例によって 上杉隆氏や岩上安身氏ら自由報道協会のメンバーや山本太郎氏なども含まれるようです。というよりも、このあたりが今回の非難の火付け役でもあるでしょう)、いわき市の市議会議員の佐藤かずよしさんのブログ記事を紹介していますが、佐藤市議は中田氏の紹介する「<エートス・プロジェクト>とは何か?」(2012年7月18日付)という記事を載せたすぐ後に事実上前記事を訂正する「安東量子さんから」(2012年7月21日付)という記事を掲載しています。

上記記事は、中田氏が「あまりにも、無謀なことばが書かれていて信じられ」ないと極言、非難する「ある著名な女性」、すなわち当の安東量子さんが佐藤市議宛てに送ったメールの転載ですが、安東さんを知る人からの確かな情報によれば(根拠を示すことができます)、佐藤市議は左記の安東さんからのメールを承けて、安東さんと直接やりとりし、「福島のエートス」運動と中田氏が紹介するコリン・コバヤシ氏が指弾するジャック・ロシャール氏らの<エートス・プロジェクト>運動とを同一視していたことは自身の誤解であったことを認めたとのことです。その自身の誤りを認めた上での「安東量子さんから」という記事の掲載であったでしょう。

さて、そのメールの中で安東さんは次のように書いています。

こちらの記事ですが、差出人のコリン・コバヤシさんの書かれていることには、大きな誤解があります。/「福島のエートス」の活動は、活動の経緯、また、資金面に関しても、原子力ロビーとは一切関係がありません。/なぜこのように申し上げるかと言いますと、福島県内で「エートス」活動を始め、行っているのは、私だからです。」

「行っている活動内容は、「福島県内で暮らすことを選んだ人たちの、被曝量を減らしながら暮らしていく方法を考える」ことです。/その一点のみで、そこに原発推進は、一切関係ありません。/また、あくまで、「暮らす事を選んだ人の被曝量を減らす」という活動目的で、そこに留まる事を強制したり、目的にするものではない、と繰り返し説明させてもらっています。/一市民に過ぎない私には、誰かに生活を強制するような、権利も能力もありません。/放射性物質に汚染されてしまった、それでもなお、愛する故郷を捨てられない、捨てたくない、という人たちを支えることを目的にしています。」

「今回のような事態になったことについては、他の福島県内の方々と同じく、筆舌に尽くしがたい悔しさを持っています。/しかし、非常に残念ながら、放出されてしまったセシウムは、簡単には減っていきません。/もし、事故前の状況に戻せるならば、なんでもしたい。/けれど、それができないならば、そこに暮らす自分達の生活を、被曝量を極力減らしながら、自分達自身でなんとかできないか、ただ、その思いから始めたことです。/活動に「エートス」と名前をつけたのは、私です。/ICRPもジャック・ロシャール氏も関係ありません。」

「ベラルーシでの活動と同じ名称を使っている、ということで、ロシャール氏が活動に興味を抱き、面識を得ることになりましたが、活動の主体は私であり、資金面に関しては、ずっと私を含め、活動に協力してくださる方たちの自腹で行って来、最近ようやく、善意の有志の方々のご寄付を募ることができる態勢を整えたところです。/透明性を確保するため、ご寄付いただいた方たちについては、サイト上で公開させていただいておりますし、収支についても、明細を明らかにしていくつもりでおります。」


「コリン・コバヤシさんは、原子力ロビーから巨額の資金が流れ込んで大きな活動が展開されていると、ここ、いわき、福島からはるか遠いパリからご覧になってお感じになっておられるようですが、現実には、資金面含め、小さな小さな、一市民の動きからはじまった、手作りの活動です。/活動の展開については、すべてネット上で公開されており、どなたでもご確認いただけるようになっております。/ http://togetter.com/li/224772 」

「福島のエートス」運動の当事者たちがジャック・ロシャール氏らの<エートス・プロジェクト>運動とはなんの関係もない、と理知的に、また論拠を持って否定していることをむりやりベラルーシでの<エートス・プロジェクト>運動と結びつけて非難することはまったく当たらないことです。


したがってまた、ミッシェル・フェルネックス氏(バーゼル大学医学部名誉教授)の<エートス・プロジェクト>批判を論拠にして「福島のエートス」運動を非難することもまったく的外れなことだといわなければなりません。


上記のような誤情報の「拡散」がいかに福島の人々の心を傷つけているか。また、福島の人たちの血の滲むような努力を無惨に足蹴にしているか。このような誤情報の「拡散」に手を貸している人たちは自らが為している行いの愚かさ、その罪深さについて心から反省してしかるべきでしょう。


上記のような「行い」は私が先便でご紹介した開沼博さん(福島大学特任研究員)の批判に通じるものでしょう。開沼さんは次のような現地の福島の人たちの怒りを紹介していました。

「他地域から立地地域に来て抗議する人たちは、言ってしまえば『騒ぐだけ騒いで帰る人たち』です。震災前からそう。バスで乗りつけてきて、『ここは汚染されている!』『森、水、土地を返せ!』と叫んで練り歩く。/農作業中のおばあちゃんに『そこは危険だ、そんな作物食べちゃダメだ』とメガホンで恫喝(どうかつ)する。その上、『ここで生きる人のために!』とか言っちゃう。ひととおりやって満足したら、弁当食べて『お疲れさまでした』と帰る。地元の人は、『こいつら何しに来てるんだ』と、あぜんとする。」


このようなことでは「脱原発大連合」の結集など望むべくもないでしょう。


なお、中田氏は標題記事で「カレイドスコープ」ブログの「エートスが来てから重症患者数は原発事故直後の10倍に」という記事も紹介していますが、この記事の紹介のしかたも紛らわしいものです。同ブログ記事には「このタイトルの「原発事故直後」というのは、チェルノブイリ原発事故のことです」という注意書きがあるのですが、中田氏はあえてその注意書きを無視して「エートスが来てから重症患者数は原発事故直後の10倍に」というタイトルのみを掲げています。そのタイトルだけを見れば、読者は「(福島に)エートスが来てから重症患者数は原発事故直後の10倍に」増えた、と誤読する以外ないでしょう。中田氏はあえてそのように誤読させようとしているのです(あるいは自身が誤読しているのかもしれません)。こういう記事の紹介のしかたもあってはならないことです。


さらに「カレイドスコープ」ブログの記事自体の問題として、フェルネックス医師の「最後に発表したこの女医は、入院患者数を示した表を見せましたが、86~87年頃に、あるレベルに達していたのですが、エートスがやって来てから、それが上昇し続け、重症入院患者数は、チェルノブイリ直後に比べ10倍にもなりました」という証言を無批判かつ肯定的に紹介していますが、このフェルネックス医師の証言でわかることは「エートスがやって来てから、それが上昇し続け、重症入院患者数は、チェルノブイリ直後に比べ10倍にもなりました」という「事実」だけです。その「事実」が真に事実だとしても「エートスがやって来」た時期と重症入院患者数が「10倍にも」増えた時期はたまたま符号しているだけかもしれず、「エートスがやって来」た時期と重症入院患者数が増えたこととの因果関係は科学的、医学的にまったく明らかではありません。こうした決めつけを主観的な断定というのですが(学術雑誌の査読では決して認められないでしょう)、その一医学者の主観的な断定をさも真実であるかのように言い為す非科学的な姿勢もおおいに批判されなければならないでしょう。
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