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あるメーリングリストで7月29日が投票日の山口県知事選に立候補する意志を表明をしている飯田哲也氏を勝手連的に応援しようという呼びかけがありました。以下は、その呼びかけに疑問を呈する私の問題提起です。弊ブログにおいてもエントリさせていただこうと思います。

上関原発建設を阻止する  
上関原発建設を阻止するシーカヤッカー

上関原発建設阻止行動 
上関原発阻止のために集まる祝島のお母んたち

選挙とは有権者としては一般に「ベストではないがベター」を選択する行為ですから、勝手連的に飯田哲也氏を応援しようとすることに私は反対しようとは思いません。が、賛成もできません。

その賛成できない、しかし、反対しないひとつの理由は下記の毎日新聞(山口版)の記事に紹介されている共産党の主張と共通する点があります。

「7月29日投開票(同12日告示)の知事選について、共産党県委員会(佐藤文明委員長)は5日、候補擁立を見送ると発表した。現段階では、推薦や勝手連的支援を行うことも考えていないという。/佐藤委員長と藤本一規県議団長が県庁で記者会見。これまで出馬を表明した4人のうち、脱原発と自然エネルギーへの転換を掲げているNPO法人所長、飯田哲也(てつなり)氏(53)に対する県民の期待の声に配慮し、「脱原発の票を割らない」との観点から候補擁立を見送ると説明した。/一方で、飯田氏が出馬表明する以前、同党が批判する橋下徹大阪市長の要請を受けて大阪府・市の特別顧問を務めていたことや、現在も橋下氏の政治手法の一部を評価していることに懸念があるため、党としての支援は行わず、選挙期間中に知事選向けの集会はしない。ただし、選挙にあたって党員の行動に枠ははめないという。/佐藤委員長は会見で「飯田さんが出なければ、候補を出している」と述べた。」(「2012年知事選:共産、候補擁立を見送り 飯田氏への期待に配慮 「脱原発票割らぬため」 /山口」毎日新聞〔山口版〕 2012年07月06日)

飯田氏が私のいうあのプチ独裁、ポピュリスト、その反民主主義性において際立つ違憲、違法、不当な思想調査アンケートを強行した大阪市長の橋下ブレーンの一員として大阪府・市の特別顧問を務めていたこと。現在もその橋下氏の政治手法の一部を評価していることが、私も飯田氏の応援を支持できない大きなひとつの理由になっています。

しかし、私が飯田氏を支持できない理由はそればかりではありません。飯田氏を支持できない第2の理由は、飯田氏を私はほんものの脱原発主義者とみなすことができないからです。このことについても私は本メーリングリストでも繰り返し指摘しています。以下、この点について書いた私のブログ記事を3本に絞って再度ご紹介しておきます。

飯田氏がエセ脱原発主義者でしかないという彼の〈実質〉と〈実態〉の評価については下記の拙論をご参照ください。そして、そこで参照しているリンク先の記事をお読みください。

(1)三度、飯田哲也氏の「脱原発」主張の評価について――前田朗氏の反論に再度応える(弊ブログ 2012.04.09)

飯田氏の「脱原発」主張と「原発再稼働反対」主張の虚偽性の指摘については下記の拙論をご参照ください。

(2)ある返信 ――再び橋下徹、古賀茂明、飯田哲也の「脱原発」主張の虚偽性について(弊ブログ 2012.04.04)

(3)「大阪市の関西電力への株主提案について」という森岡孝二さん(関西大学経済学部教授)の橋下市政評価について(弊ブログ 2012.04.13)

上記(3)の記事で指摘している飯田氏や元経産省官僚の古賀茂明氏ら大阪府・市特別顧問が原発再稼働容認の3つの条件のうちのひとつとしている「原子力発電所の事故発生時における賠償責任が本会社の負担能力を超えない制度の創設」という条件については私はとりわけ煮えたぎるような怒りを感じます。「人の尊厳と生命の値段は『会社の賠償責任負担能力』の範囲内で量り売りされる程度のものでしか」なく、「人の尊厳と生命」「よりも株主利益を保守することの方が重要、と言っているに等しいネオリベ(新自由主義者)の論理丸出しの認識といわなければならないからです。

右のビデオニュース・ドットコムでの飯田氏と神保哲生氏と宮台真司氏との鼎談を聴いても、飯田氏はたしかに上関原発建設反対ということは言っています。しかし、その反対の内実は上関原発の建設は経済的合理性がないから反対ということであって、「脱原発」を志向するから上関原発建設反対ということではありません(「飯田哲也:祝島の激突にみる電力会社の非合理と民主党の失敗」)。飯田氏の実態はネオリベ的「原発合理主義者」というところでしょう。飯田氏は決して「脱原発主義者」ではありません。

飯田氏の右の「祝島自然エネルギー100%プロジェクト」の提唱についても疑念があります。

その疑念の第1は、飯田氏には過去に原発推進派と自然エネ普及を巡って妥協を重ねたり、事実上、原発をバックアップ電源として使うグリーンニューディールを称賛していたという過去があるという点です。飯田氏はこの過去を清算してはいません(下記URLの最下段の指摘を参照)。
http://www47.atwiki.jp/goyo-gakusha/pages/1041.html

疑念の第2は、自然エネルギーはほんとうにクリーンといえるか、という問題です。また、飯田氏の提唱する「自然エネルギー100%プロジェクト」は単なるエコ・ビジネスの一環にすぎないのではないか、という疑念です(下記URLの柄谷行人氏の発言に言及している部分を参照)。飯田氏の本質は新自由主義者というところにあると見ておいた方がよいでしょう。
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-339.html

飯田氏が仮に県知事となって県政を担うことになったとして庶民の立場に立った革新的政治を貫けるか? そうならない公算の方が私はきわめて高いように思います。新自由主義者の真骨頂は庶民の生活切り捨ての経済合理主義の貫徹にあるからです。おそらく飯田氏はそちらの方向になびいて行くでしょう。そのことは飯田氏が橋下ブレーンの一員として大阪府・市の特別顧問になっていた事実が実証しています。

私がそういうことよりもさらに恐れるのは、飯田氏のほんものとはいえないエセ「脱原発」主張に幻想を抱くことによって、ほんものの「脱原発」社会の構築が遠ざかっていきはしないかということです。気がつけば原発推進社会に逆戻り、ということではときはすでに遅いのです。

ただ、飯田氏が他の候補者とくらべて「ベストではないがベター」の候補者であることはたしかなように思います。勝手連的な飯田哲也氏応援にあえて反対しないゆえんです。ただ、上記で私が指摘していることは十分に考えていただきたいとは思っています。

追記(7月12日):

上記の私の問題提起の直接の名宛人から飯田氏は先日山口県
宇部市であった講演会の質疑応答
で橋下大阪市長が「思想や信
条を教育現場等で押しつけることへの異議を主張」していた旨の
返信が返ってきました。しかし、上記の飯田氏の弁明は事実に反
しています(すなわち、ウソです)。以下、そのことについて述べた
私の再返信です。

(上記の件について)事実関係だけははっきりさせておいた方がよいと思いますのでひとこと述べておきます。

飯田氏は先日の宇部市の講演会で「思想や信条を教育現場等で押しつけることへの(橋下氏への)異議を主張」していたということですが、飯田氏はその橋下氏が出演していた1月28日に放送された「朝まで生テレビ」を観た感想を同月30日付けのツイッターで次のように述べています。

「橋下徹大阪市長(@t_ishin)を囲む企画の朝生(1/27)をiphoneへの録画で見る。批判サイドが抽象論・形式論・重箱のスミ論に留まっていたのに対し、政策の実質・実現などリアルを問い続ける橋下市長の独壇場。問題意識とアプローチが飯田も全く同じで共感 #asamadetv」
http://twitter.com/iidatetsunari/status/164176146769002496

その「朝まで生テレビ」で橋下氏は教育問題に関して次のように述べていました。

・28日、テレビ朝日系「朝まで生テレビ」の一幕。
薬師院教授 「子供を抜きにして思想を語ってほしくない。現実問題として、君が代で現場が混乱することは事実なんです」
橋下市長 「立って歌えば混乱しない」
薬師院教授 「混乱することは事実なんです」
橋下市長 「座るから混乱するんです」
薬師院教授 「違う。たとえ何が原因であれ混乱することは事実なんです。教員が悪かろうが公務員が悪かろうが、混乱することは事実なんです。そして、その間にうちの子は中学終わっちゃうんです」
田原総一朗 「だから混乱しないように立てと言ってるんだよ」
共産・山下氏 「それは思想信条に対する介入だ。最高裁判決出てるんですよ」
橋下市長 「公立の先生やめて、私立の先生やればいいんです」
共産・山下氏「恫喝だ!」
橋下市長 「公務員なんですもん」
共産・山下氏 「それこそ恫喝ですよ、立って歌わない先生は去れって。最高裁の判決でそれやっちゃダメだって。守らないんですか?」
橋下市長 「(最高裁の判断は不起立だけで重い処分を課すことに言及しているが)不起立だけで処分はしない。指導研修やって、憲法と法令と条例に基づいて条例守りますという服務宣誓出させる。その宣誓書を3回も4回も出してるのに守らない教員を居座り続けさせていいんですか?」
共産・山下氏 「思想信条の自由と今言ったことは…」
橋下市長 「思想良心じゃないんです、これは。『条例違反をしません』という宣誓書なんです」
共産・山下氏、薬師院教授、元大阪市教育委員長が3人一斉に発言。
「違う。日の丸君が代問題は思想信条の自由なんです。」
「現場が混乱してるでしょ、今、今」
「君が代で子供たちがとばっちり受けてるんだ」

上記の教育問題に対する橋下氏の発言に関して共産党の山下氏は「恫喝だ」と反論し、元大阪市教育委員長の池田知隆氏も「どう喝による教育支配は時代錯誤だ」と反論。出演者の他の2氏もほぼ同様の反論をしています。

そのような橋下氏の「朝まで生テレビ」での発言に対して飯田氏は上述のツイッタ―で「政策の実質・実現などリアルを問い続ける橋下市長」と称賛した上で「問題意識とアプローチが飯田も全く同じで共感」とまで絶賛しているのです。

飯田氏は宇部市であった講演会で「思想や信条を教育現場等で押しつけることへの(橋下氏への)異議を主張」していた、ということですが、その飯田氏の主張は事実に反しているように私は思います。
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