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孫崎享氏(元外務官僚・元防衛大学校教授)の新著『戦後史の正体』が一部で評判になっているようです。

戦後史の正体

たとえば次のような具合です。

「出版社の担当者から私のところへその後の経過報告が入った。/ついに「戦後史の正体」(創元社)がアマゾンの売り上げ首位に躍り 出たという。/私が一週間ほどまえにインターネットで宣伝した時は80位ぐらい だったが、あっという間に一位に急上昇したのだ。/驚異的な前評判だ。」
 
「孫崎享という元外交官がそのような本を世に出した事自体が大事件である。/そしてその孫崎氏が真っ先にこの本を読んで欲しいと指名したのが三年後輩の私であった。/この本を一番正しく評価できる者は私において他にないというわけだ。/そして私はその期待に見事に応えたようだ。/私の書評がこの本の凄さに点火してしまった。/政局とからんでこの本は全国国民に爆発的に読まれることになるだろう。」(前代未聞の「戦後史の正体」(創元社)の前評判」天木直人のブログ 2012年07月03日

この「前代未聞の『戦後史の正体』(創元社)の前評判」には経済評論家の植草一秀氏やフリージャーナリストの岩上安身氏も一枚噛んでいるようです。天木氏を含めていずれも小沢一郎氏支持を熱烈に公言している小沢派評論家、小沢派ジャーナリストと呼んでよい人たちです。

私は孫崎氏の新著の『戦後史の正体』はまだ読んでいませんので(7月末発売予定)その著書自体の評価をすることはできませんが、孫崎氏の新著の「前評判」のありようについては大きな違和があります。その違和はひとことで言ってこの「前評判」なるものは主に小沢派評論家、小沢派ジャーナリストと呼んでよい人たちによって創られた〈小沢賛美〉というきな臭い政治臭のふんぷんとする意図的な「前評判」でしかないのではないか、という拭いがたい疑念をともなう違和です。

孫崎氏の新著『戦後史の正体』の「前評判」はたとえば次のようなものです。

「国民の大多数が反対する消費税増税がなぜ強行されるのか。/福島原発事故の収束さえも出来ない中で原発再稼動がなぜ強行されるのか。/沖縄住民を危険にさらす米海兵隊の輸送機オスプレイが住民の反対を押し切ってまでなぜ強行配備されるのか。/野田佳彦という凡庸な政治家がなぜ首相策を強行できるのか。/そんな野田首相を財界やメディアはなぜ支持し続けるのか。/そんな野田首相の間違った政治を真っ向から批判する政治家がなぜ小沢一郎一人しかいないのか。/正しい事を主張する小沢一郎がなぜこれほどまでに人格攻撃されるのか。/不当起訴されるのか。/なぜメディアがこぞって小沢一郎を叩くのか。/まともな日本国民であれば、どう考えてもおかしいと思うはずだ。/その疑問に見事に答えてくれる本が7月30日に発売される。『戦後史の正体』(孫崎享著 創元社)がそれだ。/物凄い本が出たものだ。」

上記の本の帯によくあるようなキャッチコピー風の小沢氏評価は、ネオリベ自民党別働隊政党のみんなの党思想極右の稲田朋美を支持し、かつ、小沢一郎を支持する思想はちゃめちゃ自称「革新」の天木直人氏の筆によるものです。

上記で天木氏は次のように書いています。

①「そんな野田首相の間違った政治を真っ向から批判する政治家がなぜ小沢一郎一人しかいないのか」②「正しい事を主張する小沢一郎がなぜこれほどまでに人格攻撃されるのか」、と。

しかし、①の天木氏の論は小沢ひいきのゆえの事実を捻じ曲げた誇張にすぎません。先の衆院での消費税増税法案採決では共産党も、社民党も、そしてみんなの党の渡辺喜美氏も「野田首相の間違った政治を真っ向から批判」しています。

②については上記の思想極右の稲田朋美を支持で引用しているkojitaken氏も、そして私も、さまざまな場面で「事実」に基づいた小沢批判をしています。たとえば私の小沢批判の最近の論は次のようなものです。

小沢氏の民主党離党にあたって~「小沢は脱原発派」という虚構を創ってまで小沢氏をあくまでも支持しようとする脱原発派の人たちに謂う(弊ブログ 2012.07.02 )

この「人格攻撃」云々という天木氏の小沢批判者批判も著しく事実を捻じ曲げた小沢ひいきゆえの誇張にすぎません。

さらに「前代未聞の『戦後史の正体』(創元社)の前評判」というブログ記事では孫崎亨氏の『戦後史の正体』という新著に関連して天木氏は次のようにも書いています。

「そしてその孫崎氏が真っ先にこの本を読んで欲しいと指名したのが三年後輩の私であった。/この本を一番正しく評価できる者は私において他にないというわけだ。/そして私はその期待に見事に応えたようだ。/私の書評がこの本の凄さに点火してしまった」

と。

天木氏は自身で自分のことを「私の書評がこの本の凄さに点火してしまった」とか「孫崎氏が真っ先にこの本を読んで欲しいと指名したのが三年後輩の私であった」などと恥じらいも衒いもなく書く。恐ろしいほどの「天真爛漫」ぶりです。

このような恐ろしいほどの自惚とその自惚を自惚とも自覚しない無恥極まる御仁の論を私は信用しませんし、展開されている論も上記のとおりデタラメです。このような人が自作、推奨する「前評判」への違和が〈小沢賛美〉自作自演劇ではないかという拭いがたい疑念をともなう違和の第一です。

さらに孫崎氏の発信するツイッターによれば、同氏の『戦後史の正体』を推奨する人はほかにも植草一秀氏や岩上安身氏、長谷川幸洋氏(東京新聞・論説副主幹)などの面々もいるようです。

この人たちの思想、論についても、私には次のような違和があります。この違和もこの「前評判」は〈小沢賛美〉の自作自演劇(★)ではないかという拭いがたい私の疑念を補強するものです。

★ここで私のいう自作自演劇とはおのれの行動が結果として組み込まれてしまった自作自演劇ということを意味し、必ずしも実態的、意図的な自作自演劇ということを意味しません。

植草一秀氏の思想については私は次のような批判を書いています。

NPJシンポ植草報告「普天間基地移設問題の行方」を読んで ―間接的NPJシンポ感想とでもいうべきもの(弊ブログ 2010.04.23)

参考として小沢氏及び小沢氏支持者批判者として鋭い論を展開しているkojitaken氏の植草氏批判も下記に掲げておきます。(ただし、下記の文章はkojitaken氏の植草氏批判初期のもので、年月を追うごとにkojitaken氏の植草氏批判のその批判の度合いは強くなっていきます)。

「植草一秀さんを中心にした反自民の結集」には応じられない(きまぐれな日々 2008.06.25)
植草一秀さんへの注文(きまぐれな日々 2008.06.27)

岩上安身氏及び同氏の所属する自由報道協会についても私は次のような批判記事を書いています。

「小沢裁判」という旅のくぎりに ――上杉隆や岩上安身をはじめとする「小沢派」ジャーナリストの自壊と瓦解について(弊ブログ 2012.04.28)

長谷川幸洋氏(東京新聞・論説副主幹)の論については私も学ぶところは多々あるのですが、下記の記事で批判している半田滋氏(東京新聞編集委員)の思想的ひ弱さに通じる危うさを感じています。

普天間問題 マス・メディアに勤める記者の限界というべきなのか ―半田滋さん(東京新聞編集委員)の立ち位置について(弊ブログ 2010.04.11)

また、直接の孫崎享氏批判ということではありませんが、一般に「インテリジェンス」(諜報・情報分析)というものについて、また「インテリジェンス」を受容する際に私たちが陥りやすい危うさについて以下のような記事も書いています。

山崎康彦さんの論文への反論3 ―「インテリジェンス」(諜報・情報分析)というとことごとしいけれども、要するに不確かな裏情報のひとつにすぎないのではありませんか?(弊ブログ    2010.08.09)

以上の論、あるいは論の紹介はあくまでも孫崎享氏の新著『戦後史の正体』の小沢評論家、小沢ジャーナリストたちの「前評判」への私の違和感であって、孫崎氏の新著『戦後史の正体』そのものへの批判ではありません。孫崎氏の新著『戦後史の正体』そのものの評価は別の機会にでも書くことになると思います。
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