生活保護バッシングが荒れ狂う中で下記、重要な<事実>の指摘だと思いました。

この痛ましいばかりの<事実>の重みを私たちはまさしく重く受け止めて荒れ狂う生活保護バッシングに立ち向かっていく必要がある、と私は強く思います。それは私たちひとりひとりのかけがえのない生と生存権にも関わる闘いでもあるはずなのです。

元NHK解説委員でアナウンサーだった民主党の小宮山洋子厚労相はその経歴ゆえに一般に知性派の人とみなされているようですが、「人気お笑いタレントの母親の生活保護受給を週刊誌が報じたことを契機に、生活保護制度と制度利用者全体に対する大バッシングが起こっている」渦中で「扶養義務者による扶養が生活保護適用の前提条件であり、タレントの母親が生活保護を受けていたことが不正受給であるかのよう」に「扶養が保護の要件となっていない現行法を非難する主張に応えて」、先日国会で「『親族側に扶養が困難な理由を証明する義務を課す』という事実上扶養を生活保護利用の要件とする法改正を検討する考えを示」唆しました。すなわち、非知性派の人のようです。


「保護の要件について定めた生活保護法4条1項の規定は、『保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる』と定めている。これに対し、生活保護法4条2項は、『民法に定める扶養義務者の扶養は保護に優先して行われるものとする』と定め、あえて『要件として』という文言を使ってい」ません。「『扶養が保護に優先する』とは、保護受給者に対して実際に扶養援助(仕送り等)が行われた場合は収入認定して、その援助の金額の分だけ保護費を減額するという意味であり、扶養義務者による扶養は保護の前提条件とはされていない」のです(以上、「」内は「扶養義務と生活保護制度の関係の正しい理解と冷静な議論のために」(生活保護問題対策全国会議のブログ)からの引用)。それを小宮山氏は事実上、「扶養」を生活保護利用の要件にすると言う。彼女に金勘定の計算能力があったとしても「理知(理(ことわり)の知)」があるとは思えません。

生存権を含む社会権がなぜ「20世紀的人権」ともいわれてきたのか? 生活保護バッシングに結果として加担している小宮山厚労相には(むろん同バッシングに加担する他の国会議員も同様ですが)産業革命期(18世紀)から20世紀までにわたる世界のシチズンの血の滲むような人権――とりわけ社会権、その中でも生存権、の獲得の歴史がおわかりになっていないのでしょう。

だから、やすやすと生活保護バッシャーの口車に乗る。乗って恥じない。彼ら、彼女たちの言う「社会保障と税の一体改革」のデタラメ性がここでも露われ出ているのです。あなたたちは「生活保護受給者の自殺率は一般の2倍、20代は6倍」という事実を前にしてそのバッシングをまだ続けようというのか? 私はあなたたちの人間性を疑う。そして、私は、決してそうした人間性喪失の者を許さない。

生活保護受給者の自殺率は一般の2倍、20代は6倍-生活保護バッシングと制度改悪は殺人になる(すくらむ 2012-06-06)

作家の星野智幸さんが
ブログでこう指摘しています。

売れっ子お笑いタレントの親が生活保護をもらっていたことが詳らかにされ、大バッシングが起こり、厚生労働大臣が生活保護の給付水準を引き下げることを検討し始める、というニュースを、ソウルに住みながらネットで知って、また殺人未遂が起きているのか、と暗澹たる気持ちになった。

バッシングを受けて政治が生活保護水準を下げたりしたら、どのようなことが起こるか。ただでさえ、社会から経済的社会的にこぼれ落ちて、生存の瀬戸際にいる大量の人たちを、死の側へ押しやることになる。背中を押したら死ぬとわかっている人に対し、複数人で背中を押したら、これは殺人になるのではないだろうか。今の社会が行っていることは、そのような行為である。有権者も政治家も、報道も含め。(※星野智幸さんのブログ からの引用はここまで)

――いまの生活保護バッシングによる制度改悪は「殺人になるのではないだろうか」という星野智幸さんの指摘は大袈裟ではないと思います。
*グラフ省略

上のグラフは、厚生労働省「生活保護受給者の自殺者数について」(2011年7月12日第4回社会保障審議会生活保護基準部会参考資料)に掲載されている生活保護受給者と日本全体の自殺率を私がグラフにしたものです。

生活保護受給者の自殺率は、日本全体の自殺率より、2009年で2.4倍、2010年で2.2倍と、2倍以上も高くなっています。
*グラフと表省略

そして上のグラフと表は同じ厚労省資料に掲載されている年齢別に自殺率を見たものです。
2009年(平成21年)の数字を見ると、20~29歳の被保護自殺者(生活保護受給者の自殺者)の自殺率は、162.5で、一般自殺者の自殺率24.1の6.74倍(2010年は4.97倍、2008年は5.97倍)も高くなっています。19歳以下を除いて、若い年齢ほど自殺率が高くなっています。

こうした数字が示すように、生活保護受給者は現状でも「生きづらい」のです。とりわけ、若年層の「生きづらさ」は異常な実態にあります。

いまの生活保護バッシングは、いま以上の「生きづらさ」を強要することにほかなりません。

「バッシングを受けて政治が生活保護水準を下げたりしたら、どのようなことが起こるか。ただでさえ、社会から経済的社会的にこぼれ落ちて、生存の瀬戸際にいる大量の人たちを、死の側へ押しやることになる。背中を押したら死ぬとわかっている人に対し、複数人で背中を押したら、これは殺人になるのではないだろうか。今の社会が行っていることは、そのような行為である。有権者も政治家も、報道も含め。」という星野智幸さんの言葉を繰り返し噛み締める必要があります。
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