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吉本隆明を追悼する文が各紙誌に掲載されていますのでご紹介させていただこうと思います。

私は図書新聞と週刊読書人の記事はいまだ未読ですが、文芸誌掲載の追悼文は概ね読みました。

その中で私としては蓮實重彦の「『握力』の人」(「文学界」5月号)という一文にもっとも共感しました。

同じく「文学界」5月号の芹沢俊介さんの「吉本さんとの縁」という一文には吉本の晩年、芹沢さんと吉本が袂別れするいきさつが描かれていて、吉本の晩年はさもありなん、と思わせるものがありました。

最後にインターネット上の吉本追悼文も少しばかり付記しておきます。もちろん、私の気づいたものに限られます。

読んでみて、私とほぼ同年の五十嵐仁さんの吉本論にはあまり賛成できませんでした。五十嵐さんは学生時代にいわゆる新左翼系の学生集団に襲われて片目を喪失していますが、そのルサンチマンが五十嵐さんのこの問題を論じる上での思想の傷跡になっているのかな、と少し残念に思ったものです。失礼ながら五十嵐さんは政治の人ではあるけれども、思想の人ではないな、というのが私の読後感です。

図書新聞(第3058号 2012年04月14日) 追悼特集 さらば! 吉本隆明
橋爪大三郎  日本の思想家・吉本隆明――権力について考え続け、最長不
          倒距離を刻んだ
山城むつみ  大人の論理と子供の感受性と――吉本氏には「子供たちが感
          受する異空間の世界」への感性が並外れてあった
最首悟     思想も実践もわかっちゃいない――繭玉のように表現を紡ぐ
          には、蚕のように静止しなければならない
丹生谷貴志  大河小説としての吉本隆明――この稀代の作家を、疑似原生
          林のようなものとして、遠く崇敬する
栗原幸夫    半世紀の時の向こうに――国を覆っていた党派性の支配にた
          たかいを挑む力業に、声援をおくっていた
月村敏行    「転位」、転向を続けた生涯――吉本さんの死を悼む
長崎浩     思想の自立を妨げた思想家吉本氏の思想の態度が、思想と
          いう言葉を自立させるとともに、思想は魔語となってその後の
         若い人たちの言説を縛る罠となった
三上治     吉本隆明さんを悼む――とても〈さようなら〉なんて言えない
粟津則雄   巨木、ついに倒る――生き生きした好奇心と、長年にわたり積
          み上げ練り上げてきた思考
野村喜和夫  詩人吉本隆明――吉本隆明の「死後の名声」のために
合田正人   壮絶な孤独――吉本が身を置き続けた「境目」は「底なしの深
         淵」にほかならない
金森修     〈疎外〉としての心――吉本隆明追悼
平川克美   世界に単独で対峙する文体――吉本隆明は、近くておよびが
         たい思想家だった
宇野邦一   孤独と母型――ある種の強固なナショナリストでもあった吉本
          隆明
川村邦光   隆明(リュウメイ)先生を弔う――東日本大震災を契機として
          試されている“自立化”
神山睦美   「死の思想家」吉本隆明――吉本隆明追悼
高橋順一   幻想論の最後の堺位――吉本隆明の『共同幻想論』と『最後
         の親鸞』
足立正生   三度現れた大衆主義原像――60年安保闘争が最も高揚して
         いるのに、寒そうにしていた吉本隆明
松本昌次   長いお訣れ――「吉本・花田論争」に対するわたしの選択

週刊読書人(2012年4月6日号) 大塚英志・宮台真司対談 「追悼 吉本隆
                      明」
週刊読書人(2012年4月13日号) 大西巨人氏に聞く 「吉本隆明君のこと」

群像5月号 〈追悼〉吉本隆明
三浦雅士   吉本隆明の悲哀
竹田青嗣   正しさから見放される体験
大澤真幸   「四回戦ボーイ」の原像
山城むつみ   ごく単純なこと一点だけ

文学界5月号 追悼 吉本隆明
蓮實重彦   「握力」の人
芹沢俊介   吉本さんとの縁
大井浩一   最後の取材

■新潮5月号 追悼 吉本隆明
中沢新一   「自然史過程」について
加藤典洋   森が賑わう前に
松浦寿輝   疲労と憤怒
福嶋亮大   ごわごわしたものの手触り

■ユリイカ5月号 追悼 吉本隆明
辻井喬
北川透
瀬尾育生
水無田気流

■現代思想5月号
磯崎新
高橋順一

■インターネット記事から
五十嵐仁の転成仁語(2012年3月17日)  なぜ、誰も吉本隆明の責任を追及
                          しないのか
五十嵐仁の転成仁語(2012年4月9日)    なぜ、誰も吉本隆明の責任を追及
                          しないのか
松岡正剛(千夜千冊 2012年3月16日)    緊急再録吉本隆明さん追悼 『藝術
                          的抵抗と挫折』(吉本隆明)
糸井重里(ほぼ日刊イトイ新聞 2012年3月16日) 糸井重里が3月16日の午
                               後、書いたこと。
宮台真司( ビデオニュース・ドットコム 2012年3月17日) 故吉本隆明氏に贈る
                                   言葉
東本高志(弊ブログ 2012年3月16日) 吉本隆明 死す
東本高志(弊ブログ 2012年3月30日  (続)吉本隆明 死す
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