前田さん、第1と第2と第5の点についてのみ少しばかり応答しておきます(注1)。

注1:前田朗氏(東京造形大学教授・原発民衆法廷判事)の往信についてはこちらをご参照ください。

第1の脱原発共闘(という言い方がふさわしいかどうかという問題はさておいて)においてネオリベなどなどの「脱原発」主張をどのように評価するかという問題は難しい(決して易しくはない)問題です。具体的にいえば古賀茂明や飯田哲也、河野太郎などなどの新自由主義者の脱原発」主張をどのように評価するかという問題、ということになるでしょう。この点については前便メールの最後でも少し触れておきましたが、私は、大雑把な言い方ですが、「共闘できるところは共闘して構わない」、ということだろうと思っています。「構わない」という表現はむろん積極的肯定論ではありません。なぜ、積極的肯定論ではありえないのか? これも前便メールで少し触れておきましたが、私にはやはり「いつ、どこで足を掬われることになるかわからない」という彼らに対する強い不信の念と危惧の念が拭えないからです。その不信と危惧の念がおのずから「構わない」という消極的表現になりえている、ということです。

さて、その私の不信と危惧の念の中身について少し触れておきますと、彼らが新自由主義者であれなんであれ、また、「脱原発」志向であれなんであれ、結局のところ彼らの所属する政党、ないしは彼らがシンパシーを抱く政党であるところの自民党、みんなの党、あるいは橋下・維新の会、さらには民主党は詮ずるところ「原発推進」政党にしかすぎないということです(注2)。

注2:「政治家を原発推進政党(民主党)の議員を含めて「人物本位」で候補者を擁立しようという呼びかけは正当か?」(弊ブログ 2012年1月7日付)参照

その「原発推進」の政党に所属していて、あるいはその政党を支持する「脱原発」志向、「脱原発」主張とはなんなのか? 私には理解できないことです。彼らの政治理念の問題としてその矛盾を私は決して軽視することはできません。個人の理念と政党の理念に矛盾があるとき、これまでの政治史を振り返る限り個人の理念は必ず潰されていきます。そういうことがわかっていて(わかっているはずです)「原発推進」の政党に留まっているというのは結局のところ彼らには真の「脱原発」の意志はないものと私は判断せざるをえません。その矛盾に気がつかないふりをしているところに私は彼らの政治家、あるいは評論家としての重大なマヌーバ―性を見る思いがするのです。また仮にそういうことがわかっていないでただ「脱原発」「脱原発」と言って騒いでいるだけだとすると、彼らはあまりにも能天気なお坊ちゃんというほかありません。そういう意味でも彼らに私は信を置けません。そういうしだいで、「ネオリベでも脱原発ならOK」というのはなかなか危険な言い方、難しい問題、決して易しくはない問題だと私は思わざるをえないのです。

第2の飯田哲也氏の評価に関していえば、前便で私は「1日の会議では、NPO法人『環境エネルギー政策研究所』所長の飯田哲也特別顧問と、古賀茂明特別顧問の両委員が、それぞれ『再稼働の8条件』を提示」云々というSankeiBizの報道を紹介しておきましたが、飯田氏の「脱原発」志向の姿勢については、左記の報道を一瞥するだけでも十分だろうと私は思っています。彼の「脱原発」は所詮いろいろ条件はつけたとしても「原発再稼働」を許容する程度の「脱原発」主張でしかないことは明らかだということができるからです。ここでは私は飯田哲也氏はほんものの脱原発主義者とはいえない、ということを言っています。彼が橋下の思想調査アンケートをどのように思っているかということはここでの評価に関しては無関係です。ただ、「飯田さんが強制や思想調査をしているわけでは」ないとしても、彼がその反民主主義性において際立つ思想調査アンケートを強行する橋下ブレーンの一員になっていることはその橋下の反民主主義とプチ独裁の手法を許容しているからにほかならない、ということになるでしょう。そういう意味でも飯田氏は評価できません。

第5の「再稼働の8条件」の中身の問題について若干のことをいえば、前便でご紹介した読売新聞の4月2日付け記事によれば、その「8条件」の中には「同社の定款を変更・追加し、『原発事故の賠償責任が会社の負担能力を超えない』ことを盛り込む」という項目が含まれています。なんとも違和感のある項目です。この項目は、人の尊厳と生命の値段は「会社の賠償責任負担能力」の範囲内で量り売りされる程度のものでしかない。そういうことよりも株主利益を保守することの方が重要、と言っているに等しい人よりも経済に重きを置く資本の論理丸出しの認識といわなければならないでしょう。ネオリベの面目躍如の「非思想」というべきところでしょうか。このような項目の追加要求をして恥じない人物群は私は軽蔑しても、信を置くことは断じてありえません。
関連記事
Secret

TrackBackURL
→http://mizukith.blog91.fc2.com/tb.php/413-4f663d3e