橋下市長が大阪市職員へ思想チェック・組合破壊「アンケート」を業務命令として発信した件について、先の京都市長選にも立候補した弁護士の中村和雄さんが「今回の全職員に対する記名によるアンケート調査は労働組合の自主的な活動に対する明白で不当な攻撃であり、明らかに違法です」と指摘しています。

中村弁護士は「明らかに違法」な根拠としてアンケートの質問項目に

・組合に加入することによるメリットをどのように感じるか?
・組合にどのような力があると思うか?
・組合に加入しない(脱退する)ことによる不利益はどのようなものがあるか?
・組合費がどのように使われているか知っているか?

「等々,露骨な支配介入と言えるものを含んで」いることをあげています。

つまり、上記の中村弁護士の指摘は、橋下市長の業務命令「アンケート」は労働組合法第7条第1項3号違反という指摘だということになります。

参考:
労働組合法第7条第1項:使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
同第7条第1項第3号:労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること(以下、略)。

また、同アンケートには「正確な回答がなされない場合は処分の対象となりうる」という橋下市長記名の書面も付されているわけですが、上記のように明らかな不当労働行為というべき違法なアンケートに労働者は回答する義務はありません。その回答する義務のない回答について「正確な回答がなされない場合は処分の対象となりうる」とする通達は労働者、労働組合の正当な行為(アンケートの不回答)について「不利益な取扱い」を禁止した労働組合法第7条第1項第1号違反ということにもなります。

参考:
労働組合法第7条第1項:使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
同第7条第1項第1号:労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもって、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。

同じく弁護士(東京)の杉浦ひとみさんは、今回の橋下市長の業務命令「アンケート」は刑法第223条(強要罪)、憲法38条(黙秘権)違反の疑いがあるとも指摘しています。

すなわち、橋本市長の業務命令「アンケート」は「③自らの違法行為について真実を報告した場合、懲戒処分の標準的な量刑を軽減するとしている」が、「③のようにいわれると、質問で聞かれていることは、全て違法なことだという錯覚を起こします。それに乗じて、全てを答えさせることは、刑法的には強要罪、憲法的には黙秘権侵害類似の問題も出てくると思います」、と。

参考:
刑法第223条1項(強要罪):生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

憲法38条第1項(黙秘権):何人も,自己に不利益な供述を強要されない。

また、弁護士(大阪)の中西基さんも橋下市長の業務命令「アンケート」に応える義務はあるかどうかについて、地公法第32条の職務命令は内容および手続上法令に違反しないものなければならないが、今回の職務命令はその内容が明らかに違法なので労働者に「アンケート」に応える義務はない、と指摘しています。さらに中西さんは違法な職務命令に従う義務があるかどうかについての学説を3通り紹介されています。すなわち、

1.重大かつ明白な瑕疵がある職務命令には公定力はない。
2.職務命令に瑕疵があることが明白な場合には服従を拒否しうる。
3.違法な職務命令に従うことはむしろ法令遵守義務に違反する。

さらに「アンケート」の回答を拒否したら懲戒処分(地公法29条)を受けるかどうかについて、また「アンケート」の質問項目別にその問題点も掘り下げています。詳しくは下記を参照。

橋下さんの思想調査「アンケート」についての分析(中西基弁護士)
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