キョウ きたちょうせん
日本海に展開する米空母「カール・ビンソン」

Blog「みずき」:韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は本日14日、朝鮮(北朝鮮)が同日早朝に弾道ミサイル1発を発射したことをうけて緊急の会見を開き、「国連安全保障理事会の関連決議に明白に違反するだけではなく、韓半島(朝鮮半島)はもちろん、国際平和と安全に対する深刻な挑戦行為だ」とし、また、大統領の就任式で朝鮮半島の平和定着のために、自身ができるあらゆることをすると述べた点に自ら触れた上で、「それにもかかわらず今回の挑発が韓国の新政府が発足してわずか何日も経たない時点に行われた点で、北の無謀な挑発に対して深い遺憾の意を表し、同時に厳重に警告する」と述べたと言います。さらに「北韓(北朝鮮)との対話の可能性を念頭に置いているが、北韓が誤った判断をしないように挑発に対しては断固たる対応をしなければならない」と指摘。「対話が可能になっても北韓の態度に変化がある時にはじめて可能であることを示さなければならない」とも述べ、軍に対しては引き続き警戒態勢をとり、外交当局には米国など関係国と必要な措置をとるよう指示したと言います(朝日新聞 2017年5月14日)。

さて、上記の朝日新聞記事を含めて日本のメディアはこの文在寅発言に理があるがごとく報道していますが、ほんとうにそうか? 先に過去最大規模(金正恩委員長の「斬首作戦」を含む)と言われる米韓合同軍事演習など北朝鮮に対して挑発を仕掛けてきたのは米韓の方ではなかったか? そうした事実を無視して「北の無謀な挑発」のみを一方的に問題視するのは果たして理のある発言と言えるか?

昨日のFB記事でも述べましたが、文在寅は新大統領就任式で発表した国民向けメッセージでもすでに慶尚北道星州(ソンジュ)に一部配備されているTHAAD(高高度防衛ミサイル)問題を含めて「韓米同盟をさらに強化する」とも述べています。

さらに文在寅には、ひとつ前の記事でも紹介したアメリカの朝鮮近現代史研究の第一人者であるブルース・カミングスが指摘している「韓国に数百の核兵器が配備された1950年代にさかのぼり、北朝鮮は、アメリカの核兵器による体系的な恐喝を受けてきた世界で唯一の国だ。北朝鮮政府が核の抑止力を求めることに何の不思議があるというのか?」という視点も、「3月にソウルを訪問したレックス・ティラーソン国務長官は、北朝鮮には、合意を次から次に破ってきた歴史があると主張した。実際には、ビル・クリントン大統領が、1994年から2002年まで8年間、プルトニウムの生産を凍結させた。さらに、2000年10月には、すべての中距離および長距離ミサイルを買い上げるという交渉が、仲介者を介してまとまりかけていた。クリントンはまた、チョ・ミョンロク(趙 明禄)との間で、両国は今後互いに「敵対的な意図」を抱かないとする合意に署名していた。ブッシュ政権は、即座にこれらの合意を無視し、1994年の凍結の破棄に乗り出した。ブッシュが北朝鮮を「悪の枢軸」とし、2002年9月にイラクと北朝鮮に向けた「先制攻撃」論を発表した。クリントンの合意が持続されていたら、北朝鮮が核兵器をもつことはなかっただろう」という視点もないようです。


上記のとおり文在寅新大統領のこれまでの発言や思考方法を検証してみると、同大統領の北朝鮮弾道ミサイル発射に関して述べた「韓国政府はこれを強く糾弾する」という声明を理のあるように報道するわが国メディアの報道姿勢はそれこそ「理のあるもの」とみなすことはできません。 


【山中人間話目次】
・文在寅(ムンジェイン)大統領の「無謀な挑発に深い遺憾」という北朝鮮批判は的を射ているか?
・ブルース・カミングス(シカゴ大学教授、朝鮮近現代史)の論を援用した大竹秀子さんの安倍政権の「北朝鮮バッシング」批判に同意する
・まるで絶対王政=絶対天皇制の時代にでもワープしたかのような信じられない法律案――天皇の退位等に関する皇室典範特例法案
・夏目漱石自筆の「吾輩は猫である」単行本の印税領収証(「漱石 生誕百五十年を記念して」展、東京神田)
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