キョウ きょうぼうざい8

Blog「みずき」:小倉利丸さん(富山大学名誉教授。ピープルズ・プラン研究所共同代表)の「共謀罪」論断簡。「共謀罪」に関して、小倉さんの欧米の歴史を振り返ってみての「近代という時代の精神の本質」という指摘はよくよく考えてみなければならないことだと思います。

「BBCは、ロンドンのウェストミンター国会議事堂付近で起きた自動車テロの報道にほとんど全ての時間を費やしてる。テレサ・メイ首相は英国議会は「民主主義、自由、人権、法の支配という我々の価値を代表している」として、テロがこうした英国の価値観への挑戦だと批判した。テロが起きるたびに欧米の(そして日本の)政府首脳らが繰り返すこの自己讃美の言説を、私は納得して聞いたことがない。むしろ非常に不愉快な気分になる。英国が誇る民主主義や自由はまた同時に、英国の植民地主義と表裏一体だったのではないか?イラク戦争以降の対テロ戦争は、英国の民主主義、自由、人権にもとづいて広汎なイスラーム圏を武力紛争という民主主義も自由も人権も奪うような環境に追いこんだのではないか。民主主義、自由、人権を口にしながら、実際にはそのいずれもが奪われる。どうしてこのような欺瞞を繰り返す「先進国」の価値観に、こうした欧米500年の欺瞞に心情的にも共感できるだろうか。米国もフランスも有志連合の諸国だけでなく全ての対テロ戦争に加担している自称「自由と民主主義」の国に共通する欺瞞の言説が、むしろ敵意と憎悪を再生産しているのではないか。

言うまでもなく、日本が戦前戦中に繰り返してきたこともこれと同質であったし、戦後もまた日本の侵略と戦争責任への反省がないという意味でいえば、欧米先進国と同罪である。欧米帝国主義批判と民族解放戦争としての大東亜戦争なる言説とは裏腹に、日本の行為は明かな侵略であり虐殺であった。一方に口当たりのよい普遍的な理念を掲げ、この普遍的な理念を口実に、他方で残虐の限りを尽しながらこの暴力を正当化してきた。それが近代という時代の精神の本質ではないか。
 
テロ対策に厳罰主義や警察による捜査権限の拡大が役にたたないのは、この欺瞞を正当化するための国家による暴力の行使でしかないからだ。今問われているのは、価値観を裏切ることを平然と繰り返す権力の偽善そのものである。主権者たちもまた、こうした政府の偽善と腐敗を民主主義という舞台装置によって下支えしているのではないか。」

【山中人間話目次】
・小倉利丸さん(富山大学名誉教授。ピープルズ・プラン研究所共同代表)の「共謀罪」論断簡――近代という時代の精神の本質と共謀罪
・報道各社の22日の社説を通じて今日の「共謀罪法案」問題を考える――澤藤統一郎の憲法日記
・トランプ支持率のさらなる低下と「イスラム教徒の入国禁止を目的とした大統領の2回目の試みの2カ所の裁判所での敗北-坂井定雄さん
・米議会にトランプ大統領の「核先制攻撃」制限法案:「核戦略論議」沸騰へ- 春名幹男さん
・こういう騒ぎがあってもいい。パンツの話- 常岡浩介twitter


【山中人間話】





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