キョウ とうほくしはんだいがく4
東北師範大学構内Ⅰ

Blog「みずき」:大田英昭さん(日本近代思想史研究者。長春市在住)は矢内原忠雄の『満洲問題』(岩波書店、1934年)を授業で学生たちと精読していくにあたっての講義の際の中国の学生たちの反応を「かつて関東軍の軍靴の下に蹂躙された『現場』においてのみ共有されうる皮膚感覚」と表現しています。70年もの歳月を経ても風化せず、「共有されうる皮膚感覚」とはどういうものか。私はそこに忘却することをある意味よしとする日本人の精神性(それは日本人の「大勢順応主義」と表裏一体の関係にある)と中国人の歴史内在的な精神性(それはときとして権威なるものに翻弄されやすい性質ということもできるでしょう)との差異のようなものを思わざるをえません。ともあれ大田さんの講義初日の風景。

「今日、「日本思想文化史」の今学期の授業を開講した。授業で扱うテキストは、矢内原忠雄(1893~1961年、元東大総長、植民政策学者、無教会キリスト教徒)の『満洲問題』(岩波書店、1934年)。(略)授業をはじめるにあたり、矢内原の植民政策理論の最重要点として、主著『植民及植民政策』(1926年)の「実質的植民」の概念を説明した。ある社会群が新たな地域に移住し、社会的・経済的活動を行うことを、矢内原が「実質的植民」として概念づけ、政治的支配・従属関係をめぐる「形式的植民」から区別したこと、植民研究の主対象はそうした意味での「実質的植民」であるとされ、政治的支配・従属関係の問題を矢内原が植民概念の本質規定から除外したこと、などを説明したとき、学生たちの顔には明らかに疑念の色が浮かんだ。矢内原の植民理論ではいわゆる「植民」と「移民」の本質的区別が否定されていることを指摘すると、学生たちの間に苦笑すら漏れた。それは日本の教室ではまず起こり得ないことだろう。かつて関東軍の軍靴の下に蹂躙された「現場」においてのみ共有されうる皮膚感覚なのだ。」(大田英昭FB 2017年3月8日)


【山中人間話目次】
・大田英昭さん(日本近代思想史研究者。長春市在住)の矢内原忠雄『満洲問題』(岩波書店、1934年)講義初日の風景
・金光翔さん(岩波書店社員・元「世界」編集者)の「在日として生きていくためにウリハッキョ(私たちの学校)は必要」ということへの懐疑
・安倍晋三の「末期の道化」を嗤う-3選(1)――水島朝穂さん(早大教授・憲法学)の「第96代内閣総理大臣の「恥ずかしい」政治言語」
・安倍晋三の「末期の道化」を嗤う-3選(2)から附記:安倍首相夫人の終焉まで
・山城博治さんたちの即時釈放を求める決議の「週刊 法律新聞」掲載と辺野古埋め立ての現実

【山中人間話】





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