キョウ とらんぷ11

Blog「みずき」:昨日の「今日の言葉」の水島朝穂さん(早大教授・憲法学)のトランプ批判に続く加藤哲郎さん(一橋大名誉教授)のトランプ批判。いま、世界の知性はこぞってトランプ批判に乗り出しているかのようです。米国のトランプ政権はそれほど危険な政権です。問題なのは、その危険な政権にこの国の安倍政権が「ジャパン・ファースト」さえ言うことができない忠犬になって核のボタンを持つ独裁者にまたしても取り入ろうとしていることです。その上さらに問題なのは、この国のメディアが忠犬安倍晋三のさらに忠犬に成り下がってまともな報道を放棄していることです。加藤さんは言います。「この国のマスコミの場合は、すでに「真理省」の支配下にあるごとく、外交・安全保障でも経済摩擦でも、安倍首相のトランプ追随に期待するが如くです。今日の日本でこそ、オーウェル『1984』が読まれるべきです。「愛情省」による思想統制完成、「平和省」による戦争犠牲者を出す前に」。
 
【アメリカでジョージ・オーウェル 『1984』が突然ベストセラーを解読する】
アメリカ合衆国は、もともとイギリス国教会に追われたピューリタンが入った、イギリスの植民地でした。1776年の
独立宣言には「すべての人は生まれながらにして平等であり、すべての人は神より侵されざるべき権利を与えられている、その権利には、生命、自由、そして幸福の追求が含まれている。その権利を保障するものとして、政府が国民のあいだに打ち立てられ、統治されるものの同意がその正当な力の根源となる。そしていかなる政府といえどもその目的に反するときには、その政府を変更したり、廃したりして、新しい政府を打ちたてる国民としての権利をもつ」と普遍的人権・革命権が謳われました。「新世界」とよばれ、その自由を求めて地球上の隅々から異なる民族・言語・宗教を持つ人々が集い、かつては「人種のるつぼ」といわれました。多文化主義の時代には「サラダボール」とも言われました。それが「自由と民主主義の国」という正統性を与え、時には「世界の警察官」としての横暴にもつながりました。合衆国憲法修正第1条[信教・言論・出版・集会の自由、請願権][1791 年]には、「連邦議会は、国教を定めまたは自由な宗教活動を禁止する法律、言論または出版の自由を制限する法律、 ならびに国民が平穏に集会する権利および苦痛の救済を求めて政府に請願する権利を制限する法律は、こ れを制定してはならない」 とあります。こんな流れが、大きく変わろうとしています。TPP離脱からメキシコとの国境に壁、ついには 中東イスラム圏7カ国からの入国禁止、それに反対した司法長官代理の解任です。なぜか「テロリスト」を輩出したサウジアラビアやトランプ・ビジネスの拠点UAE(アラブ首長国連邦)は入っていません。 就任10日間、まだ閣僚もそろわぬ段階で、次々とツイッターで勝手につぶやき、大統領令を乱発するトランプ大統領の政策は、これまでのどの大統領の政権交代時とも違います。 同じ選挙で選ばれた独裁者では、1933年1月30日のヒトラー政権成立時を想起させます。2月4日の「ドイツ民族保護のための大統領令」(Verordnung des Reichspräsidenten zum Schutze des Deutschen Volkes)で政府による集会・デモ・政党機関紙の統制が行われ、2月6日には中央政府に反対するプロイセン州政府に「プロイセン州における秩序ある政府状態を確立するための大統領令」、2月27日の国会議事堂放火事件を「共産主義者による叛乱の始まり」とフレームアップして、3月23日の全権委任法でワイマール憲法を停止しました。反対党も禁止されて、ユダヤ人排斥が本格化しました。その延長上に、第二次世界戦争とホロコーストがありました。戦前の日本は、そうしたヒトラー独裁の勢いに便乗してアジアの盟友となり、軍事同盟を結んで、ファシズムの手先、世界戦争の敗者になりました。ヒトラーの1930年代ドイツとの違いは、イスラム教徒やスペイン系、アラブ系の市民ばかりでなく、トランプ政権には白人労働者、学生、女性、黒人などあらゆる階層に強固な反対派がいて、「私たちの大統領ではない」と声をあげていること。ワシントン政府の内部にも、共和党の有力議員にも、シリコンバレーのIT業界からも、新大統領への異議申し立てが続出しています。無論、入国禁止とされた当事国ばかりでなく、隣国カナダやヨーロッパの首脳からも、トランプの移民・難民排斥、自国中心主義・排外主義・人種宗教差別への危惧の声があがっています。法廷闘争も始まりますが、アメリカの権力分立が試される時です。 アメリカでは、トランプ当選後、ジョージ・オーウェル 『1984』が突然ベストセラーになっています。いうまでもなく、トランプ政権の嘘、オバマ前大統領を「米国生まれでない」と公言したあたりから頻発する「真理」への挑戦に、危機感を持っているからです。オーウェル『1984』の「真理省」の3つのスローガンとは、「戦争は平和である、自由は屈従である、無知は力である」でした。「みえみえの嘘をホワイトハウスがばらまいているこの光景は、米国の民主主義にとって悲劇である。世界のほかの国々、とりわけ米国の同盟国も恐ろしい気持ちになるはずだ。『大きな嘘』をつくことにすっかり慣れてしまっているトランプ政権は、世界の安全保障に非常に危険な影響を及ぼすからだ」とは、イギリス・ファイナンシャル・タイムズの辛辣な論評です。 「ポスト・トゥルース」 や「フェイク・ニュース」といった言葉が、インターネット上では飛び交っています。そのトランプ大統領に、先進国首脳で初めて就任前に会見し、いままた「自由は屈従である」とばかりに2月首脳会談に向かう日本の安倍首相は、トランプの「真理省」の小役人とみなされるでしょう。「ジャパン・ファースト」さえ言うことができない忠犬になって、「戦争は平和である」と、核のボタンを持つ独裁者に懇願するのでしょうか? フクシマは「アンダー・コントロール」とか「TPP断固反対と言ったことは1回もございません」 とか、嘘八百のダブル・スピークでは、日本の首相の方が先輩です。「アベノミクス」の効果にいたっては、「無知は力である」そのまま。 トランプ大統領は、まだ批判的なメディアと格闘中で、ニューヨーク・タイムズを「偽ニュースで経営不振」「誰か適性と確信を持つ人が買収し、正しく経営するか、尊厳をもってたたませる(廃刊させる)べきだ」とツイッターで発信しましたが、この国のマスコミの場合は、すでに「真理省」の支配下にあるごとく、外交・安全保障でも経済摩擦でも、安倍首相のトランプ追随に期待するが如くです。今日の日本でこそ、オーウェル『1984』が読まれるべきです。「愛情省」による思想統制完成、「平和省」による戦争犠牲者を出す前に。(加藤哲郎のネチズン・カレッジ 2017.2.1

【山中人間話目次】
・サリー・クイリアン・イェーツ讃歌。私はイェーツの存在にアメリカという国の本来の健全性を見る
・トランプ最初の軍事作戦は8歳のアメリカ人少女を殺害
・アンネ・フランクの家族はアメリカに逃れようと1941年にビザを申請していましたが、却下されました。
・英 トランプ大統領を国賓とすべきか議会が議論へ
・「ポスト・トゥルース」の危うさ 「真実」は二の次…日本は無縁と言えるか

【山中人間話】





関連記事
Secret

TrackBackURL
→http://mizukith.blog91.fc2.com/tb.php/2170-f21e34ed