キョウ とうだい

Blog「みずき」:台湾出身で現在はおそらく中国籍だと思われる東大3年生の張婉瑜(チャン・ワンユー)という女子留学生が次のような指摘をしています。「東大に複数あるテニスクラブのうち、いくつかは女子が入部するには男性メンバーに対してお弁当を作ることが条件となっていることを知って驚愕した」、と。東大の学生たちの運動サークルではまだそんな旧態依然の悪習がまかりとおっているのか、と私も驚きました。張さんという女子留学生が怒るのは当然のことです。もちろん、張さんは東大のテニスクラブには入部しなかったのだろうと思います。

しかし、私は、この件については張さんの怒りはそのとおりだと思うものの、彼女の全体としてエリート臭が強く匂う発言には辟易させられます。張さんは上記の「男女差別」糾弾発言に続けて次のように言います。

『しかし、場所が変ると考えも変るものだ。昨年の夏、私はハーバード大学でサマースクールを受けたのだが、あるとき、男子学生と男女関係の話になった。そのとき彼は、「昔は米国でも、デキる、成功している男性は美人な『秘書タイプ』と結婚するのがつねだった。が、最近は違う。僕の場合、彼女はともかく、結婚する相手はハーバード出身か少なくともアイビーリーグ出身者がいい」と言ったのだ。要するに強くて、頭のいい女性がいいというわけだ。』

ここには若者特有のエリート志向への反抗精神とでもいうべきものは微塵も見られません。それどころか「結婚する相手はハーバード出身か少なくともアイビーリーグ出身者がいい」と言ってのける男子学生の人の格差=格差社会を前提にした発言に彼女は同調する姿勢さえ見せています。この女子留学生は「男女差別」を糾弾する姿勢と「格差社会」から結果として生じる差別を肯定する自身の思想のアンチノミーになんらの矛盾も感じていないようです。

彼女はヒラリー・クリントンを評して次のようにも言います。

『あと20日もすると、米国にドナルド・トランプ大統領が誕生する。ヒラリー・クリントンを支持していた人たちにとっては、辛い瞬間となる。それだけ近かったのだ。女性が米国初の大統領になるまで、本当にあと一歩だった。ヒラリーは敗北宣言でこう語った。「私たちはいまだに、最も高くにあって最も堅い『ガラスの天井』を打ち破れていません。それでも、誰かがいつか、願わくばすぐに、成し遂げてくれるでしょう。そして、すべての小さな女の子たち。あなたたちには、自分の夢を追って、そして叶える世界のどんなチャンスも機会も、手に入れるだけの価値とパワーがあるということを疑わないで」。敗北のショックは大きかったに違いないが、それでも彼女は私たち女性に、「女性には男性と同じだけを求める権利がある」ということを教えてくれたのだ。』

要するにヒラリー・クリントンは女性だから支持するというわけです。この女子留学生は「男女差別」には敏感のようですが、その「男女差別」の問題をも含む「民主主義」という人の権利の問題=人間尊重の精神の問題には鈍感なようです。1日の記事で
醍醐聰さん(東京大学名誉教授)の上野千鶴子(同)批判をご紹介しましたが、日本のフェミニストにはこうした人間尊重の精神を欠如した、そのくせ権力志向はきわめて強い志向の持ち主を多く見かけます。

彼女は次のようにも言います。この女子留学生もこうしたフェミニストたちの仲間入りをめざしているようです。

『もっとも、私の周りの東大生を見ている限り、女子学生のほとんどは自立しており、将来的なキャリアでの成功のために頑張っているように見える。彼女たちは、東大におけるさまざまなイベントでイニシアチブやリーダーシップをとっているし、国内外のコンクールやコンペなどにも参加している。彼女たちは、つねに今より上を目指そうとしている。これは、私が知っている多くの日本のトップ大学に通う女子生徒たちにも言えることで、こうした女性たちが日本の未来を引っ張って行ってくれることを期待したい。』

私は「こうした女性たちが日本の未来を引っ張って行ってくれる」未来には期待しえない。というよりも、ご免こうむる。

【山中人間話目次】
・東大3年生の女子留学生の権力志向に違和を持つ
・アレクシェーヴィッチが福島訪問後の東京外大の講演で「日本社会に“抵抗”がないことに驚いた」
・世界の悲鳴は2017年も続く。その悲鳴の中にいま辺野古の海を再び埋め立てられようとしている沖縄の悲鳴もある
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