キョウ しんじゅわん

Blog「みずき」:山崎正和(劇作家・評論家)は日米間の戦争観のズレについて次のようにいう。「真珠湾攻撃は、米国の日本への敵愾心を高揚させました。「卑怯な不意打ちで多数の米国人が死んだ」と。大統領ルーズベルトが対日戦に踏み切れたのは日本の真珠湾攻撃があったからです。米国内では日本罪悪視と敵意が盛り上がり、無差別攻撃すなわち都市部への大規模空襲、そして原爆投下へとつながった。米国の戦争の仕方を以前から大きく変えました。一方、日本側には真珠湾攻撃に罪悪感はありません。それどころか、米軍の空襲で焼け出され、国内は焦土と化した。あの戦争に日本の一般の人たちは、もっぱら被害者としての意識しかありませんでした。「悪い日本をやっつける」米国と「ひどい目にあった」日本。両者にはずっとズレがありました。」(朝日新聞「耕論」 2016年12月29日)山崎のこの指摘は正しい、と私は思う。しかし、その認識から導き出される山崎の日本の首相の安倍晋三の真珠湾訪問の評価は次のようなものだ。「今回の安倍晋三首相の真珠湾訪問は、日本は被害者だけでなく加害者の面もあった、それを自覚している、という表明になります。日米間の戦争観のズレを埋め、日本への親近感を強めるでしょう。私は高い評価を与えたい」。山崎のこの安倍の真珠湾訪問評価は正しいか。私は正しくないと思う。山崎の目は真珠湾という海を眺める視点から動かない。あるいは米国と日本という海でつながる地平線とはまた別の角度にはまた別の地平線があるということには山崎のフォーカスの視点は及ばない。日米を軸にしてしか世界を見ることができない日本という国のメディア、日本という国に棲む文化人一般の陥穽に山崎も落ちている。山崎はなぜ問いかけないのか。「あなたは、真珠湾攻撃で亡くなった約2400人の米国人の「慰霊」のために訪問するということです。それなら、中国や、朝鮮半島、他のアジア太平洋諸国、他の連合国における数千万にも上る戦争被害者の「慰霊」にも行く予定はありますか」(オリバー・ストーンら53人の知識人の「真珠湾訪問にあたっての安倍首相への公開質問状」)、と。

【山中人間話目次】
・山崎正和(劇作家・評論家)の論は真珠湾という海を眺める視点から動かない
・「名前を書けば入れる」福岡・立花高の教育論――多くの元不登校生が通う私立高校のやり方
・春日記者(朝日新聞)によるアンカラで、包囲攻撃下のアレッポからツイートし続けたバナさんと母ファテマさんとのインタビュー記事
・仲宗根勇さんの「翁長知事よ、田舎芝居はもうやめろ!」
・辺見庸「死刑も皇室も新聞記事も、ほんとうはすぐれて身体的、肉体的なことだ。危機的なまでに身体的だ」
・田中利幸さんの「『真珠湾訪問にあたっての安倍首相への公開質問状』に私が署名しなかった理由
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