キョウ ろしあ
日ロ会談を茶化して報道するロシアTV

Blog「みずき」:「今日の言葉」の前文としてやはり水島朝穂さんの「今週の直言」から北海道大学の木村汎さんのコメントを重引しておきます。「日本完敗 合意は負の遺産」というコメントが今回の日ロ会談の本質を衝いているからです。「北海道大学の木村汎氏は「日本完敗 合意は負の遺産」というコメントを寄せている(『東京新聞』12月17日付)。平和条約についてまったく成果がないのに、4島での「共同経済活動」の協議開始に合意してしまったことは、むしろマイナス効果を及ぼすと木村氏はいう。「主権の所在はどうでもよいという気分が醸成され、ロシアの実効支配が強化されるからだ」。そして、ロシア側にとっての大きな成果は、この訪日により、「G7による包囲網を突破した事実を全世界に喧伝できた」ことである。「安倍首相が前のめりの姿勢を示した結果として、プーチン氏は、ロシアが得意とする焦らしや恫喝、まず高値を吹っかける「バザール商法」などの交渉戦術を縦横に駆使し、最高首脳間の「信頼」関係の存在だけにすがる日本側を子供のように翻弄した」と」。

【安倍政権の「媚態外交」、その壮大なる負債】
NHK(BS1)のワールドニュースは毎日録画してみている。ドイツで毎晩みていた第2放送(ZDF)の19時のニュース“heute”もやるからだ。この枠でロシアTVのニュースもみる。プーチン大統領訪日を報じたモスクワ時間15日20時のニュースをみると、プーチン訪日をめぐる一連の経過が、ロシア側のペースに完全にはめられていることがよくわかる。このニュースのナレーションは次の通りである(NHKのロシア語通訳による)。「・・・プーチン大統領は今日、日本を訪問し、南クリール諸島(いわゆる北方領土)での共同経済活動を主要議題に安倍総理大臣との首脳会談に臨みました。プーチン大統領の日本訪問は2年前から検討されてきましたが、日・本・政・府・は・ア・メ・リ・カ・政・府・か・ら・の・圧・力・で・延・期・し・て・き・ま・し・た・。しかし、今年9月に行われたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の際、日・本・政・府・は・最・終・的・に・ロ・シ・ア・大・統・領・の・日・本・訪・問・を・求・め・、・今・回・の・訪・問・が・実・現・し・ま・し・た・。」「安倍総理がしきりに時間を気にしています。夫人にも衣服を整えるよう指示し、すべてに完璧をめざしているようです。安倍総理は今回初めて、自身の故郷に外国首脳を迎えることになりました。プーチン大統領の専用機は山口県宇部市に到着。ここから会談が行われる長門市まで車で2時間をかけ移動しました。プーチン大統領がホテルに到着したのは午後6時。あたりはすでに暗くなっていました。1カ月前、ペルーで行われたG20(主要20カ国首脳会議)のおりにも、安・倍・総・理・は・改・め・て・プ・ー・チ・ン・大・統・領・に・訪・日・を・求・め・ま・し・た・。両首脳はまず記者団の求めに応じて握手をしました。」ロシアTVは安倍首相とプーチン大統領の挨拶を伝えたあと、安倍首相が温泉をすすめたが、プーチンは、「温泉で疲れをとってくださいとのお言葉ですが、あまり疲れすぎないことが肝心ですね」と返して、安倍が爆笑しているシーンを流す。派手な遅刻を含めて、「そんなに言うから来てやったよ」という態度が露骨に示されている。(略)

夕食会でも、プーチン大統領は遅刻した。エレベーターホールで、携帯を見ながら手持ち無沙汰の安倍首相をロシアTVはキャッチしていた。元KGBエージェントとして肉弾戦にも心理戦にも長けたプーチンの前に、安倍晋三などひよっこ同然だった。領土問題でまったく進展がなかっただけではない。平和条約交渉は事実上行われず、声明にも文書にもならなかった一方で、4島での「特別な制度のもとでの共同経済活動」に合意してしまった。「特別の制度」という曖昧な表現のもと、すでにロシアでは「ロシアの法律のもとで」という「解釈」がメディアを通じて流されている。安倍首相が「手応えを感じた」として前のめりになったのは、プーチン側から、1956年の日ソ共同宣言で明記された歯舞、色丹の2島返還と引き換えに、国後、択捉への経済援助を日本が行うという流れがほのめかされていたからである。安倍首相はこれに一方的な期待をかけて突っ走った。その結果、領土問題ではまったく進展がなかったどころか、1956年日ソ共同宣言の線よりも実質的には後退させてしまった上に、8項目の経済協力まで約束させられてしまった。そのあたりをロシアTVは「日本の官僚やメディアのヒートアップ」と茶化して、プーチンが「露日間には領土問題は存在しない。領土問題があると考えているのは日本側だ」という来日直前のインタビュー発言を「冷水」と表現したのである。トランプ当選を読みきれなかった外務官僚は、ここでもロシアに完全にやられてしまった。加えて、首相側近の筋の悪さは、歴代政権にも例がない。今回、ロシアとの交渉を安倍首相は外務省を超えて、特命大臣にやらせた。ぶらさがり記者会見の時に、背後霊のように控える世耕弘成である。ネット支配のプロジェクトを仕切った官房副長官から、出世して経済産業大臣となり、ロシア経済分野協力担当大臣を兼務している。今回の外交の失策の「戦犯」の一人である。ロシアTVは、「結果が出せず」に憮然とする世耕の姿を映し出していた。(
水島朝穂「今週の直言」2016年12月19日) 【

山中人間話目次】
・岩月浩二さん(弁護士)の「なんか完全に舐められてるっちゅうか。余裕のロシアとポチ日本。あ~あ」というコメント
・アレッポ情勢に関するインディペンデント紙の主張と内藤正典さん(同志社大教授。トルコ・中東政治)の対抗論
・松崎いたる板橋区議会議員の赤旗記事批判。「これ、誤報だとおもいます」
・松崎いたるさん(板橋区議会議員)が共産党を除籍された一件について
・日米返還式典に対する海外識者の非難声明「12月22日:祝うことなどない」(日本語訳全文)
・森川文人弁護士と澤藤統一郎弁護士が提起する司法と弁護士の問題
・現代「天皇制」考2題(1)――田中利幸(元広島市立大学広島平和研究所教授
・現代「天皇制」考2題(2)――武藤一羊(元ニューヨーク州立大学教授)
・このラップは「沖縄のいま」の本質を衝いている

【山中人間話】










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