キョウ りっとんちょうさだん
日独伊三国同盟の調印式

Blog「みずき」:私は今日のフェイスブック記事で安倍首相の真珠湾訪問に関して鬼原悟さん(「アリの一言」主宰者)と田畑光永さん(元TBS解説者)の2人の論者の鋭利な見方とそれに対比する形で共産党シンパの五十嵐仁さん(法政大学名誉教授)の愚鈍な見方を紹介しました。さて、「今日の言葉」で紹介する加藤陽子さん(東京大学教授)はその日本の真珠湾攻撃に端を発するいわゆる太平洋戦争は同戦争を回避することのできる3つの岐路があったと指摘します。その3つの岐路を解きほぐす加藤さんの論を聞いてみたいと思います。この3つの岐路になぞらえて言えば、今回の安倍首相の真珠湾訪問は4つ目の岐路の私たちの選択肢だということもできます。ここで私たちの選択肢と言うのは、安倍首相の真珠湾訪問を日米軍事同盟の一層の強化と見るか歓迎の目で見るかという私たちの選択視点の問題という意味です。その私たちの選択視点のありようはまさに戦争の道を選ぶか平和の道を選ぶかの第4の岐路を形成することになるでしょう。

【「歴史に立ち会う際の作法」というものについて】
太平洋戦争の開戦から12月8日で75年を迎える。改めて、なぜ日本は戦争へと至ったのだろうか。日本近現代史が専門の加藤陽子・東京大学教授は近著『
戦争まで』で、1941年の太平洋戦争の前に、世界が日本に「どちらを選ぶのか」と真剣に問いかけてきた交渉事は3度あったと指摘する。「満州事変(1931年)とリットン報告書(1932年)」「日独伊三国同盟(1940年)」そして「日米交渉(1941年)」だ。日本は、真に問われていた選択肢が何であったのかをつかめず、本来はあり得た可能性や回避可能な選択肢をみすみす逃した。ただ、「世界」の側が常に正しかったとも言えない。「世界」から選択を問われた日本がどんな対応をとったのか、それを正確に描くことは「未来を予測するのに役立つ」と加藤氏は語る。「太平洋戦争は軍部の暴走といった単純な話の帰結ではない」と言う加藤氏に、その意味するところを聞いた。(略)

――こうして3つの失敗を見ると、日本側の見通しの甘さというか、目算の甘さというのが如実に目立つ気がします。

見通しが甘いということではアメリカ側も同様で、日本側に強硬に出た理由は「資源に乏しく劣勢の海軍力しか持たない日本が、英米に対する戦争を始めるはずがない」と考えていました。アメリカ側の抑止の失敗が、日本の開戦決意でもあった訳です。日本側の失敗を反省するのは大事なのですが、ここで正しい反省の仕方をしないと、また同じ失敗を繰り返すだけです。私がこの3つの岐路に関して詳しく分析した理由は、「国や個人が選択を求められる場合に重要なのは、問題の本質が正しいかたちで選択肢に反映されているのか」という点をチェックすることだと思うからです。当時の軍部やジャーナリズムが誘導した見せかけの選択肢ではなく、世界が日本に示した本当の選択肢の形と内容を明らかにしつつ、日本側が対置した選択肢の形と内容について正確に再現することです。実のところ、太平洋戦争への道を回避する選択肢はたくさんありました。

――かつて加藤さんは「8月15日というのは、日本人が戦後歩んできた平和を噛み締める日だ」と定義していました。では、開戦の日となった12月8日は、国民にとってどんな意義がある日でしょうか。

「太平洋戦争の奇襲攻撃という側面については、国民はやはり関与できてなかった。国民の多くは対英米強硬論に与しつつ、同時に「戦争はぎりぎりのところで回避されるのでは」との希望的観測をも抱いていたのではないでしょうか。そのような意味で12月8日は、「国民が国家の行く末に十全に関われなかった」ことを噛み締める日だと思います。「軍部の失敗」という総括は、現在、戦前期の軍部と同様の組織がない以上、実のところ痛くもかゆくもない総括です。そうではなく、社会に溢れている見せかけの選択肢を「本当の選択肢は何だったか」と置き換えて考える癖、言い換えれば「歴史に立ち会う際の作法」というもの、これが3つの失敗の事例から学べるものだと思います。(
ハフィンポスト(話し手:加藤陽子、聞き手:吉川慧) 2016年12月07日

【山中人間話目次】
・安倍首相の真珠湾訪問に関する鬼原悟さん(「アリの一言」主宰者)と田畑光永さん(元TBS解説者)の2人の論者の鋭利な見方
・安倍首相の真珠湾訪問は歓迎すべきことか――五十嵐仁の転成仁語の倒錯
・醍醐聰さんと内野光子さんの安倍首相の真珠湾訪問に関するこのNHKの提灯報道批判
・toriiyoshikiさん(ETVディレクター・ハーフリタイア)の上田良一NHK新会長評価
・これがニッポンの報道の現実――安倍・トランプ会談に関して
・辺見庸の戦後最大の恥辱としての大手メディア記者批判
・高江ヘリパッド基地建設問題についてアメリカで粘り強い反対の闘いを続けている沖縄人(アメリカ市民)がいる
・またしてもこの国の裁判のお粗末さを示す判決――東京高裁、タイ人少年の控訴棄却
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