キョウ うよく
「もう一つの右翼」("Alt Right")運動

Blog「みずき」:「今日の言葉」は水島朝穂さん(早大教授・憲法学)のトランプ新政権人事考。水島さんは関連して欧州の7つ目の右翼ポピュリズム政権の誕生の可能性についても言及しています。その部分も抜出しておきます。世界的に恐るべき事態が進行しています。「前回の直言で、ドイツの週刊誌Der Spiegelの欧州右翼ポピュリズム政権地図を紹介したが、いよいよ来週12月4日にオーストリア大統領選挙の再投票が行われる。「トランプ」後の最初の重要選挙である。ホーファーが当選すれば、欧州の7つ目の右翼ポピュリズム政権となる。Brexit(英国のEU離脱)に続く、Öxit(オーストリア〔Österreich〕のEU離脱)になるか。米国の状況をみて、ポピュリズムの方向に傾いていた有権者が踏みとどまる可能性もある。そうしたなか、ドイツのメルケル首相が11月20日、来年の総選挙にCDU首相候補として出馬することを表明した。「トランプ当選」が背中を押したことは明らかである。ヨーロッパとドイツを背負ってトランプと向き合う覚悟だろう。しかし、与党内は複雑である。常にメルケルと対立する副首相で、姉妹党のキリスト教社会同盟(CSU)党首のホルスト・ゼーホーファーは、「トランプ次期大統領をいつでもバイエルン州は歓迎するだろう」と述べ、具体的には来年2月17~19日にミュンヘンで開かれる「安全保障会議」に、トランプ次期大統領を招待する意向を示した(Die Welt vom 24.11)。難民問題でも地球温暖化問題でも、ゼーホーファーの意見はトランプのそれに近い。ベルリンの連邦政府の頭越しに、バイエルン州首相が単独でトランプを招くというのは、明らかにメルケル首相へのあてつけである」。

【安倍首相もさらなる「お友だち」人事を逆輸入】
マスコミはいま、そのトランプ新政権の人事に注目している。(略)すでに内定している顔ぶれをみても、この政権の危なさは並みではない。国家安全保障担当補佐官のマイケル・フリン(退役陸軍中将、元国防情報局長)はイスラム教徒排斥の急先鋒といわれ、国防長官に名前が出ているジェームズ・マティス(退役海兵隊大将、元中央軍司令官)は「狂犬」と呼ばれている。そして、司法長官のジェフ・セッションズ(上院議員)は不法移民への強硬策で知られ、CIA長官のマイク・ポンペオ(上院議員)はイランとの核合意破棄を主張している。保守派のティーパーティー運動に関わっている。商務長官のウィルバー・ロス(著名投資家)は知日派だけに、日本の「骨までしゃぶる」政策をとってくるかれしれない。メディアはあまり注目しないが、国土安全保障省(ホームランド・セキュリティ)長官に、
クリス・コーバッハ(カンザス州内相)があてられる予定である。彼は司法省の役人時代、NSEERSという、出入国管理に関わる手続を厳格化するシステムの創設に関わり、その再導入・強化をトランプに提言したようである(Süddeutsche Zeitung vom 22.11)。なお、合衆国最高裁のアントニン・スカリア判事が今年2月に急死したことに伴い、最高裁判事の1名もトランプ次期大統領が任命する。2015年6月26日の同性婚「合憲」判決は5対4の僅差だった。トランプが極右の判事を任命すれば、憲法をめぐるさまざまな分野で大きな後退が起こる可能性がある。(略)

「もう一つの右翼」("Alt Right")運動というのがある。白人至上主義、移民排斥、人種主義、孤立主義をとり、米国のネオナチともいうべき存在である。その幹部の
リチャード・スペンサーの演説を見つけた。38歳の若さで、極右のシンクタンク、国家政策研究所 (NPS)理事長である。11月22日にワシントンD.C.で行われた 集会での演説で、米国が今後、白人国家として創造され、繁栄し、継承されていくべきだ、と明らかにオバマ大統領を意識した演説をしている。「十字軍」や人種的「純粋さ」などを強調し、最後は「ハイル トランプ」「ハイルピープル」「ハイル ヴィクトリィ(勝利)」と叫んで右手(グラスをもっているが)を斜め前に掲げるのが確認できる(YouTube映像の29分18秒あたりから )。会場の参加者のなかには、「ハイル ヒトラー」の敬礼でこたえる姿も写っている。スペンサーとも関係のある保守系サイト「ブライト バート・ニュース」会長、スティーブン・バノンがトランプ政権の戦略担当顧問に就任する。当初は大統領首席補佐官の声もあったが、さすがのトランプもこのポストは避けたようだ。しかし、トランプ政権は極右団体の強い影響が確認できる。選挙戦でこれらの団体の支持を受けて当選した以上、人事でも配慮を加えざるを得ないわけである。日本会議と安倍政権の関係によく似ている。(略)トランプはいま家族とともにフロリダの別荘にこもって政権人事を進めているという。まさに権力の私物化(家族化)であり、米国は「家産国家」(Patorimonialstaat)になるのか。安倍首相もそれに学んで、さらなる「お友だち」人事を進めていくのだろう。2017年は悪い冗談で開けるのだろうか。(水島朝穂「今週の直言」2016年11月28日

【山中人間話目次】
・朴氏辞任求め5週連続集会――英雄譚にはいくつもの落とし穴がある
・豊洲市場・盛り土問題。「小池劇場」は“行き詰まっている”という郷原信郎さん(弁護士)の見方
・美濃加茂市長に逆転有罪の名古屋高裁判決に暗然とする
・NHKスペシャル 追跡 パナマ文書衝撃の“日本人700人”(動画)
・ETV特集「路地の声 父の声~中上健次を探して~」
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