キョウ えぬえちけー9 
 
Blog「みずき」:鄭玹汀さんの「ETV特集『関東大震災と朝鮮人 悲劇はなぜ起きたのか』に関する疑問」はさらに(2)へと続きます。そして、その(2)で鄭さんはNHKの同番組製作者に史料の恣意的な操作と解釈があったことを指摘しています(下記「山中人間話」参照)。「NHKドキュメンタリーは、「一部不逞鮮人の妄動ありたるも」という布告の文言をなんの断りもなく流しています。「一部不逞鮮人の妄動」を認めた布告の不徹底さについて言及しないことによって、それを既成事実化する危険性があります。さらに「政府は朝鮮人を保護する方針を打ち出します。千葉県習志野の陸軍の収容所などに朝鮮人を集め保護したのです。しかし、政府が流言を否定した後も朝鮮人の殺害は続きました」というナレーションからも、日本政府が本来取るべき責任まで民衆に転嫁しようとする意図がうかがわれます」、と。(1)も(2)も重要な指摘です。
 
【鈴木淳東大教授(日本近代史)のスタンスと番組の意図】
この番組は内閣府中央防災会議の専門調査会報告「1923関東大震災報告(第2編)」(2009年)をもとにしています。「中央防災会議は朝鮮人虐殺について国の組織として初めて検証を行いました」と、その意義を強調しています。この報告の作成に参加した東大教授鈴木淳氏(日本近代史)のスタンスからこの番組の意図を読み取ることができます。東大教授の鈴木氏の解説が重要な役割を占めていると言っても言い過ぎではありません。関東大震災時の朝鮮人虐殺と国家責任ついて鈴木氏は次のように答えます。「確かに政府が、内務省警報局という、今の警察庁的な役所が、朝鮮人がこの機に乗じて悪いことをするから警戒しろという情報を流して、それが殺傷事件の背景になった面も確かにあります。だからそれは政府が悪い面もあるんだけれども、実は彼等もうわさに巻き込まれていただけらしい。あるいは軍隊が殺傷したことも多いんだけれども、軍隊も全部ではないんですね。一部の部隊はうわさに巻き込まれて多くの市民と同じようにそれを信じていたということです」鈴木氏は史料に記されたことは事実として認めながらも、警察も軍隊もうわさに「巻き込まれて」、「市民と同じように」朝鮮人を殺傷したと解釈します。むしろ責任はうわさやデマに惑わされる一般市民にあるわけです。鈴木氏が警察も軍隊も「うわさにまきこまれた」ということを強調するのは、責任の所在を曖昧にするためです。実に巧妙な言い方で警察や軍隊の責任を回避しようとします。番組の最後の方で鈴木氏は、朝鮮人虐殺について、次のように総括します。「普段は常識の枠で常識的判断でおさえられているものがですね、なんかのきっかけで、たがが外れるというか、そうなった時に、馴染みの薄い日本国内の少数者に対して我々が牙を剥いてしまうということはありうるんじゃないか、あるいはそれはありうるんだと思って警戒しつづけることこそが、震災の時の殺傷事件で犠牲になった方々の犠牲を無駄にしない道なのではないかと思います」鈴木氏は朝鮮人虐殺事件を歴史的な文脈から切り離し、災害時の異常な事態として捉えています。このように朝鮮人虐殺における国家責任は問えないものという前提の上で、一般市民に対して「一億総懺悔論」のようなことを呼びかけます。番組の最後には、「関東大震災、それは将来の大規模災害に備える私たちに、どのような教訓を残したのでしょうか。中央防災会議は2年にわたってこの問題に取り組んできました。消防や医療など様々な観点からこの問題を分析し、朝鮮人殺傷事件についても国の組織として初めて検証を行いました」というナレーションとともに、次のような文章が流れます。「過去の反省と民族差別の解消の努力が必要なのは改めて確認しておく。その上で、流言の発生、そして自然災害とテロの混同が現在も生じうる事態であることを認識する必要がある」つまるところ、朝鮮人虐殺は「自然災害とテロの混同」による「事態」であり、今後くれぐれもデマや噂に惑わされることのないよう気をつけましょう、というのがこの番組の主旨です。ここに記されている「過去の反省」など、空虚な響きしかもたない言葉の羅列に過ぎないのではないでしょうか。(鄭玹汀フェイスブック 2016年9月5日

【山中人間話目次】
・鄭玹汀さんのETV特集 2016年09月03日 『関東大震災と朝鮮人 悲劇はなぜ起きたのか』批判(1)
・鄭玹汀さんのETV特集 2016年09月03日 『関東大震災と朝鮮人 悲劇はなぜ起きたのか』批判(2)
・ETV特集 2016年09月03日 『関東大震災と朝鮮人 悲劇はなぜ起きたのか』(動画)
・復讐の歌・亀戸の森夜は更けて(詞:秋田雨雀、曲:赤旗の歌) 土取利行(唄・演奏)
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