キョウ いとうりつ

Blog「みずき」:加藤哲郎さん(一橋大学名誉教授、早稲田大学客員教授)はここでの論でいま安倍政権が企んでいる憲法改正問題とゾルゲ事件731部隊シベリア抑留という「戦争の記憶」との密接な関連性を指摘しています。どういうことか。加藤さんは次のように言います。「歴史の記憶は、諸個人の体験・証言とともに、時々の情報戦で作られる。例えば敗戦直後に反戦・反ファシズムの物語とされていたゾルゲ事件は、東西冷戦の開始とともに「国際赤色スパイ団」の犯罪とされた。冷戦終焉で現れた、旧ソ連秘密文書やアメリカ国立公文書館資料で調べていくと、一見無関係なゾルゲ事件と関東軍731 部隊の細菌戦・人体実験、さらには日本人60万人のシベリア抑留、あるいは1956 年日ソ国交回復時の近衛文麿元首相長男・近衛文隆の抑留死に至るまで、虚実を取り混ぜた、日本、アメリカ、ロシア(旧ソ連)、中国等々から発信される国際情報戦が見えてくる」、と。情報戦の問題をインテリジェンスの概念と結びつけ、長年研究してきた加藤さんならではの視点というべきでしょう。示唆に富むものがあります。今日、『父・伊藤律 -ある家族の「戦後」-』(講談社)の出版記念シンポジウムが東京で開かれているようです。私にとっても興味津々のテーマですが参加することは適いません。後日の報告を俟ちたいと思います。

【日本の民主主義は去って行ってしまったかもしれない】
参議院選挙が終わりました。危惧していた通りの安倍自民党・公明党の大勝で、大阪維新の会等を加えた「改憲勢力」は、憲法改正発議の要件となる3分の2の議席を、衆議院と共に確保しました。(略)海外の報道は、率直です。「安倍政権の経済政策と平和憲法改正に対する懸念にもかかわらず、与党が地滑り的勝利」「軍国主義の記憶を色濃く残している中国との緊張が増すだろう」(
ロイター)、「安倍首相が目指す憲法改正を加速」(人民日報)、「『改憲まで七合目』安倍・右翼60年の野望」(朝鮮日報)、「次のステップは平和主義の憲法を改正するかどうかの国民投票」(BBC)。合澤清さんの紹介するドイツ紙Die Zeitは強烈。「日本の民主主義は去って行ってしまったかもしれない」という解説記事で、安倍首相を「超保守主義者Ultrakonservative」とし、その理由を、「第一は、安倍がこの数年来、第二次大戦中の日本軍の忌まわしい振る舞いをひたすら緩和して、特別目くじら立てることではないかのように努力していたこと、第二に戦犯を合祀している靖国神社への国会議員の参詣を、彼が取りなしてきたこと、第三に、航空自衛隊の学校で、その教材用機械のボディにNo.731と大書して、それを写真に撮っている。これはヨーロッパでSS(Schutzstaffelナチス親衛隊)という文字がもたらすのと同様に、アジアでは極めて挑発的で嫌われている数字である。第四は、安倍が憲法の改訂を公然主張することで、中国や韓国(朝鮮半島)との緊張が一気に高まる気配がある」と。この第3の論点は、私がここ数年の講演で、731部隊の人体実験・細菌戦がらみで警告してきた「戦争の記憶」の問題そのものです。つまり、憲法改正問題は、この国では、歴史認識の問題とワンセットなのです。もっとも海外では、イギリスのEU 離脱国民投票に伴う首相交代・新政権、アメリカ大統領選挙の民主党ヒラリー・クリントン共和党トランプの対決構図確定、ハーグの仲裁裁判所が南シナ海での主権に関する中国の主張を退ける国際法上の判決、等々不安定と「危機」の要因山積、無論、アベノミクス経済も、もくろみ通りには進まないでしょう。もう明日ですが、7月16日(土)午後1-5時、明治大学リバティタワー12階1125教室で、伊藤淳さんの『父・伊藤律 -ある家族の「戦後」-』(講談社)出版記念シンポジウムが開かれます。私も 『ゾルゲ事件ーー覆された神話』(平凡社新書)などで伊藤律「革命を売る男」説の誤りをただす松本清張『日本の黒い霧』改訂に関わった関係で、著者・伊藤淳さん、評論家・保阪正康さんと共に、「ゾルゲ事件と伊藤律ーー歴史としての占領期共産党」について報告します。すでに「ちきゅう座」には、私の報告レジメ・資料が掲載されているようです。ちょうど日本共産党の公式「創立記念日」の翌日。冷戦史・社会運動史やインテリジェンスに関心のある方は、ぜひどうぞ。(加藤哲郎のネチズン・カレッジ 2016.7.15

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