キョウ いとうしん
伊藤真弁護士

Blog「みずき」:昨日の浅井基文さんの論とほぼ同様のことを指摘する伊藤真さん(弁護士)の論。伊藤さんも浅井さんと同様に次のように言います。「安倍晋三首相に批判的な勢力や、改憲反対の市民運動に取り組む人たちは「3分の2を改憲勢力に取られた」として憂慮したり、落胆したりする必要はない。むしろ今後、国会の憲法審査会で改憲論議が進んでいくときに、国民がもっと具体的な改憲を意識した議論をしっかりする。つまり、一種のピンチをチャンスに変える認識を持つことが重要だと思う」。しかり、と私も思います。昨日の浅井さんの言葉をもう一度繰り返しておきます。「私たち主権者には、2/3のカベを再び突きつける可能性を確実に有していることに確信を持つべきである」。
 
【いまは次の総選挙で憲法を意識した投票行動に出るための始まり】
改憲勢力が3分の2を超えたことには何の意味もない。憲法改正の国会発議は、具体的にどの条文をどう変えるかという点について、3分の2の賛成が得られて初めて行われるからだ。例えば今の憲法9条を変え、国防軍を創設する自民党の改憲案に公明党は賛成するだろうか。おおさか維新の会が改憲で教育無償化や憲法裁判所の設置を目指すとしているが、自民党の改憲草案にはいずれも入っていない。憲法裁判所には賛否両論があり、自民党は賛成するだろうか。安倍晋三首相に批判的な勢力や、改憲反対の市民運動に取り組む人たちは「3分の2を改憲勢力に取られた」として憂慮したり、落胆したりする必要はない。むしろ今後、国会の憲法審査会で改憲論議が進んでいくときに、国民がもっと具体的な改憲を意識した議論をしっかりする。つまり、一種のピンチをチャンスに変える認識を持つことが重要だと思う。

自民党は4年前に発表した改憲案で、「国を豊かに、強くする」というゴールを明確に示し、それに向かって一歩一歩着実に進んでいる。今回の参院選で「憲法改正が争点にならなかった」といわれるが、自民党としては、わざわざ一つ一つの選挙で「改憲でこれを実現しますよ」と公約に掲げるまでもない。過去の国政選挙でも特定秘密保護法や安全保障関連法を争点にしなかったのに、選挙後に成立を強行した、と批判されるが、いずれも自民党が改憲案9条で示した法律を作っただけのこと。驚く必要は全くない。自民党は国民に示したとおりのことを「誠実」に進めている。国民やメディアがそれに対して鈍感なだけだ。アベノミクスも同じ。自民党の改憲案前文に「活力ある経済活動を通じて国を成長させる」と書いてある。要するに、国家の国内総生産(GDP)を成長させることが重要なのであって、労働者の実質賃金が減少しようが関係ない。一人一人の個人よりも、国家を尊重する国をつくりたいと考えているのは明らかだ。

安倍首相は参院選の結果を受けて「自民党の方向性が支持された」として政策を進めていくだろう。少なくとも民主主義の国ならば、そのように評価されてもやむを得ない。ただ、自民党が提唱する、より強くて豊かな国づくりと、今の憲法が理念とする一人一人の個人を尊重する国づくりでは、目指すところが正反対だ。こうしたなか、国民はどのような国で生活するのが幸せを感じられるのか、自分たちのこととして考える時期にある。公明党の支持者で、これまで抽象的に「自公は連立だから」といって自民党の候補者に投票してきた人たちも、自民党改憲案の本質を理解し、自民党が目指す国家像を本当に支持していいのか考えていく機会だ。改憲問題はこの参院選で終わりではない。市民が今こそ憲法を学び、力を培い、その力をもって次の総選挙で憲法を意識した投票行動に出るための始まりと位置付ければよいと思う。(
伊藤真「毎日新聞」2016年7月12日
 
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