Blog「みずき」:安倍内閣提出の今回の刑事訴訟法の「改正」案(というよりも、明らかに「改悪」案)に民進党と日弁連執行部は賛成する側に回りました。これに対して、自由法曹団、青年法律家協会弁護士学者合同部会、日本国際法律家協会、日本民主法律家協会、盗聴・密告・冤罪NO!実行委員会、盗聴法廃止ネット、盗聴法の拡大と司法取引の導入に反対する刑事法研究者の会の法律家8団体は「『起訴後勾留中の取調べに録画義務なし』との政府解釈にもかかわらず法案を推進する日弁連に強く抗議する ―『全過程可視化』はどこへ行ったのか?!」という抗議書(民進党に対しては要望書)を日弁連執行部に提出しています。「澤藤統一郎の憲法日記」ブログに抗議書、要望書の全文が掲載されていますのでご参照ください。法律家8団体の怒り心頭の様相が伝わってくるものと思います。

【冤罪リスクを大幅に上昇させる「刑事訴訟法の改正」という改悪】
刑事訴訟法の改正案が5月20日、参議院で可決され、今国会での成立が確実となった。しかし、この改正案では残念ながら、冤罪を出さない司法制度の確立という当初の目的からは程遠い、むしろ冤罪リスクを大幅に上昇させる改悪と言わざるを得ない。同法案の問題点は、2016年4月16日に放送したニュース・コメンタリー「焼け太りの捜査権限の拡大を許すな」などで繰り返し指摘してきた通りだ。元々、今回の法改正は郵便不正事件や相次ぐ冤罪事件などで検察の取り調べのあり方が社会問題化したことを受けて、取り調べの録音・録画の義務付けを含む、冤罪を出さない司法制度をいかに作るかに主眼を置いた議論となるはずだった。(略)しかし、それから時間が経ち、世間の風当りが弱まると見るや、法務官僚たちは可視化の範囲を最小限にとどめる一方で、可視化をするのなら捜査権限の強化が必要だと主張し始め、盗聴権限の拡大や司法取引の導入など、自分たちの権限を強化する法改正を押し込み始めた。結局、今回の法改正で義務付けられる可視化の対象は、裁判員裁判の対象事件と特捜案件に限られるため、全事件の3%にも満たない。(略)しかも、可視化が義務付けられる3%未満の事件も、録音・録画については、大きな裁量が検察に認められている。検察にとって都合の悪い取り調べのシーンが録音・録画され、後に裁判で自白の任意性を否定したり、取り調べの違法性が指摘されるような事態は、ほとんど期待できそうにない。可視化の対象となる事件が全体の3%にとどまる一方で、今回の改正案では可視化と引き換えに、盗聴権限の拡大や司法取引の導入など、警察・検察の捜査権限を強化する制度の変更が盛り込まれた。

警察や検察の暴走を防ぐために、いかに可視化を実現するかが課題だったはずの法改正が、いつのまにか捜査権限を大幅に強化する法改正にすり替わってしまった。更に残念なことに、今回の刑訴法の改正案には、最大野党の民進党も賛成していることだ。民進党の岡田代表は5月20日の記者会見で、刑訴法改正案の賛成について「党内でいろいろ議論した。100点満点ではないが、一歩前進と捉え賛成した」と説明している。(略)同様の理由で日弁連もこの法改正には賛成している。しかし、(略)今回の法改正は3%の可視化という「目くらまし」を使って、盗聴法や司法取引といった捜査権限の拡大を図る司法官僚の悪だくみが見事に奏功したものとの指摘が根強い。冤罪を防ぐのではなく、冤罪リスクが上がってしまう結果になっては、本末転倒も甚だしい。(略)このような法改正がまかり通るようでは、日本にはそれを監視する基本的な機能が欠如していると言わざるを得ない。今もっとも必要なのは、捜査権限の拡大ではなく、それを監視する機能の整備であり強化ではないか。(神保哲生「ビデオニュース・ドットコム」2016年5月21日

【山中人間話】





関連記事
Secret

TrackBackURL
→http://mizukith.blog91.fc2.com/tb.php/1937-e4c79ad1