キョウ そくらてす
ソクラテスの死

Blog「みずき」:下記「山中人間話」の関連記事5本もご参照ください。いずれも重要な指摘です。「法」は人の生命や尊厳を「冤罪」によって奪うソフィストの法であってはならないのです。現代にそのソフィストのなんと多いことか。ソクラテスはなにゆえに毒杯を自若として仰いだか。「法」の可能性を信じていたからにほかならないでしょう。私たち現代人はアテナイのソクラテスに顔を向けて安らかに眠りにつくことはできるか?


【映像のうそを許さないためにも全面可視化は不可欠】
栃木県で2005年に起きた女児殺害事件の判決は「無期懲役」だった。この事件は被告の犯行を直接裏付ける証拠がなく、捜査段階での被告の自白が唯一といってもいい証拠だった。ところが公判段階で被告が否認に転じため、自白調書の信用性が裁判の最大の焦点だった。検察は取り調べを録音・録画した映像を法廷で流し、被告が殺害時の状況や動機を具体的に話したことを裁判員にアピールした。法廷で流された映像を見る限り、被告は自らの意思で供述しているようだったという。また、供述の中には犯人しか知り得ない情報も含まれていたという。この日の判決では自白の任意性と真実性がともに認定された。

正義が貫徹されることは社会にとって重要なことだ。そしてそれは司法に対する強い信頼を前提とする。しかし、取り調べの映像がこのような形で部分的に使われることは、決して司法の信頼にはつながらない。むしろ、部分可視化は冤罪のリスクを増大させることになり、司法に対する信頼が揺らぐばかりか、社会の不安定化の要因にもなりかねない。現在の取り調べの可視化は、取り調べのすべてが映像として記録されていない。しかも、どの「部分」を記録するかについては、検察側の裁量に委ねられている。元々取り調べの可視化を求める動きは、度重なる冤罪事件や検察による証拠の改ざんなど、検察の取り調べが公正に行われていないことへの不信感の高まりから出てきたものだった。ところが、いざ録音・録画が導入される段階になって、取り調べの録音・録画は部分的なものに限定された上、どの部分を録音・録画するかは検察の裁量に委ねられることになった。この事件でも検察は、被告人が自らの意思で犯行を認め、犯行の手口や動機を具体的に供述するシーンを録音・録画して法廷で再生した。

「百聞は一見にしかず」の諺もあるように、映像には説得力がある。映像を見た人は、その絵面を信じ込みやすい。しかし、映像の中では自らの意思で話しているように見えても、その前にどのようなやり取りがあったのかがわからなければ、その映像をそのまま信用することは危険だ。事前に恫喝が行われていたり、何らかの取引が持ちかけられている可能性もある。録音・録画が行われる前の段階で何が行われていたとしても、いざ録音・録画をする段階で被告人が納得していれば、自らの意思で供述しているような態度をとることは十分にあり得る。また、映像の中で犯人しか知り得ない情報を供述してたことが、自白の信頼性の根拠とされている点も危うい。パソコン遠隔操作事件で、誤認逮捕された都内在住の明大生は、犯行に使われた犯人のハンドルネームという、犯人しか知り得ない情報を供述していたが、実は犯人ではなかった。取り調べの段階で犯人しか知り得ない情報を捜査官から教わった上で、それをあたかも自らの意思で話しているかのように供述していたのだ。

部分可視化では、どのような映像が記録されていようが、検察側から事前に犯人しか知り得ない情報を教えられていた可能性が排除できない。強制や脅迫による自白を証拠とすることができないことは、
憲法38条で定められている、国民の基本的な権利に関わる問題だ。今国会に提出されている刑事訴訟法の改正案には、取り調べの可視化が謳われているが、同法案では裁判員裁判の対象事件と特捜部による独自捜査事件しか可視化の対象とはなっていない。それを合わせても全事件の3%にも満たない。この法案が通っても97%の事件は可視化されないことになる。刑事司法は国家の根幹に関わる問題だ。だからこそ、どんな事件においてでも裁判所が判決を下した時、社会が「正義か貫徹された」と信じることができるような刑事司法制度を作らなければならない。(神保哲生「ビデオニュース・ドットコム」2016年4月9日

【山中人間話】

神保哲生さん(ジャーナリスト)の主宰する「ビデオニュース・ドットコム」にも栃木県女児殺害事件判決の問題性を指摘する動画と記事が掲載されています。部分可視化では正義が貫徹されたことにならない ニュース・コメンタリー (2016年4月9日)...

東本高志さんの投稿 2016年4月9日

昨年の2015年6月4日付けの『街の弁護士日記』の記事で岩月浩二弁護士は「ほんのわずかな取り調べ可視化と引き替えに捜査機関に対して、強力な弾圧手段を認めようとする」当時の日弁連会長及び同執行部の権力に迎合する弁護士集団としてあるまじき姿勢の...

東本高志さんの投稿 2016年4月9日

取調べの「可視化」の使われ方|御苑のベンゴシ 森川文人のブログhttp://ameblo.jp/mfb1991/entry-12148562279.html『警察や検察が、一度、疑いをかけた市民に対して、恫喝や暴行を行うのは、取調室だ...

東本高志さんの投稿 2016年4月9日

自白採取の録画が決定的証拠になった栃木女児殺害事件。自白偏重はえん罪の温床。危うい裁判員裁判。 - Everyone says I love you...

東本高志さんの投稿 2016年4月9日

数々の冤罪事件を見てきた。この事件では、自白以外に満足な証拠がない。取調べの可視化というが、全部が公開されたわけでもない。無実を訴える被告に対し、裁判員裁判は有罪と断定した。冤罪であったら、どんな責任をとってくれるのだろうか?栃木女児殺害事件で有罪判決 (2016/4/9 放送)11年前、栃木県旧今市市で当時7歳の吉田有希ちゃんが殺された事件で、勝又拓哉被告に無期懲役の判決が言い渡された。「自白」の映像が長時間流された法廷を検証する。4・9報道特集以下のリンクからも視聴できます。http://www.dailymotion.com/video/x43ck9i

気になることを動画で伝えるさんの投稿 2016年4月9日
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