キョウ みんしんとう
朝日新聞 

昨日の27日、民主党と維新の党が合流して「民進党」が正式に結成されました。朝日新聞はこの同党の発足について28日付けで「民進党の発足 1強と対峙するには」という新民進党にとってはややシビアな社説を掲げています。しかし、その社説の前提は自民党という「1強と対峙するには」というものです。朝日社説のこの前提は正しいか? 元日本共産党議長の不破哲三氏はその「自民党1強」論について次のように述べています。「過去に比べて別に自民党が強くなったと思わない。仕掛けを利用して文字通りの少数独裁を実行しようとしていることの表れ」にすぎない、と。この「自民党1強」論についてもう少し詳しく不破氏の論を引いてみます。

「そういう状況の中で現在の自民党があるが、よく自民党1強といわれるが、過去に比べて別に自民党が強くなったと思わない。仕掛けを利用して文字通りの少数独裁を実行しようとしていることの表れだ。この現状は、自民党自身にとっても危険な瀬戸際政策にもなっていると思う。やる政策の主要部分が全て国民世論から孤立している。戦争法、沖縄の辺野古問題、TPP、原発再開等々。安倍内閣が年を経るごとに焦りが目立つように感じている」

「アベノミクスの総括もしないで、すぐ次のミクスが出てくる。スローガンが出てから関係官庁を集めて裏付けをつくれということになる。例えば、消費税の問題も、これまでの自民党政権は最初に消費税を導入するまでにものすごく時間がかかった。何代も内閣が替わった。しかも最初の内閣が取り上げるまでに、経団連が1年にわたって自民党本部を説得に日参する事態まで起きた。ところが今では消費税を増税するのをいとも簡単に決めてしまう。憲法の改定に匹敵する憲法解釈の変更さえ、今朝の新聞に大きく出ていたが、何の議論も残さないで内閣法制局が一夜にして決めてしまう。こういう政治、政権は本当に危ないと思う」

「対話と論戦も回避するのも特徴だ。大局的に見ると、自民党は結党以来60年にして最も危険な段階に入りつつあるのではないかと思っている。これが私の安倍政治を見てきた率直な感想だ」(
不破哲三「産経新聞」 2015.12.13

「自民党1強」論については不破氏の見方は正鵠を射ているだろうと私も思います。しかし、そうした論調とは別に、同党の政調会長に「リベラル」の山尾志桜里氏が就任したことを理由に民進党結成に祝意を述べるリベラルもいます。山尾氏がリベラルかどうかについては私は同氏自体をまったく知らないので同氏自体の評価は保留しておきますが、そのこととは別に果たして民進党結成は祝意を表すべき政治的事象といえるのか。その点については私ははっきりと疑問符を突きつけておきたいと思います。以下、そのことについて若干のことを述べます。

私の疑問の第1は上記の不破哲三氏の「別に自民党が強くなったと思わない」論に関連してのものです。不破氏の「自民党は結党以来60年にして最も危険な段階に入りつつある」というのはそのとおりでしょう。その点については私も不破氏の見方に同意できます。しかし、同党をそれほどまでにも「最も危険な段階」にまで入らしめたのはいったいどこの誰か? 不破氏の言うように「過去に比べて別に自民党が強くなった」のではないのであれば、当然、同党以外の「強くなった」ほかのなにかの要因があるはずです。私はそのことを問題にしたい。

共産党綱領の改定という要因に絞ってみても、不破氏と現共産党委員長の志位氏が同党委員長をつとめてきたこの
20年の間に共産党はずいぶん「右傾化」してしまいました。その積層した「右傾化」のさまが突出して現われたのが昨年末の天皇臨席下の国会開会式出席と慰安婦問題に関する「日韓『合意』」評価ということができるでしょう。同党の「右傾化」のさまが市民運動の分野、新聞、雑誌をはじめとするメディア、市民社会にも伝播し、さらにその空気感が自民党政権下にも伝播していったその結果として自民党を「最も危険な段階に入」らしめた。自民党外に「強くなった」もののひとつの説得的な論理的帰結としてそう考えるのが自然です。

不破氏の上記の政治的回顧にはおのが足元を見るという視点が欠落しているのではないか。自己点検を欠いた他者批判は一方的なものでしかなく、客観性という点において説得力に乏しいといわなければならないでしょう。

疑問の第2はAfternoon Cafeブログ主宰者の秋原葉月さんの論を援用して述べることにします。秋原さんは民進党の前身母体のひとつの民主党の評価について次のように述べています。

「これは私の想像ですが、第一次の時はまだ国民は民主党という希望を託せる先があったから安倍・自民からどんどん離反していって支持率が下がりまくった。けれど、結局民主政権になってみたら自民と変わらず大失望。だから今回「他にどこもない」とますます政治に関心を失って、安倍消極支持が続いてるのだと思うのです。何が民主党の罪かと言えば、これが一番の大罪です。民主党政権の失敗は、特に小泉内閣以降、日本が急速に戦前回帰の憲法破壊というゴールに向かって転がりおちてる速度を、更に加速させました。今の戦後最悪の民主主義破壊政権を固定させた立役者は民主党なのです。」(Afternoon Cafe 2015/02/28

さらに私が民進党結成を評価できない理由の3つ目として拙ブログの過去記事のURLを以下に示しておきます。

民主党は「政権交代」時にどのような政策をとったか。朝鮮人学校排除問題外国人参政権付与法案問題夫婦別姓等民法改正問題、抜け穴だらけの労働者派遣法「改正」問題官僚・法制局長官の答弁禁止問題大企業優遇税制非是正問題中小企業減税見送り問題米軍思いやり予算非是正問題普天間問題公約違反問題・・・・。リベラル政党とは決して評価しえない政策ばかりです。というよりも、かつての自民党の政策に輪をかけてタチが悪いものが多い。私たちは先の「政権交代」時に民主党が行った自民党に勝るとも劣らない悪政の数々を決して忘れてはならないと思います。民進党が仮に政権を獲得するようなことがあったとしても同じことを繰り返すだろうというのが私の評価です。共闘自体は私は否定しませんが、同党と共闘する場合はそのことを踏まえた上での共闘でなければならないでしょう。そうでなければ「政権交代」時の失敗の二の舞を舞うことになるでしょう。そうであってはならないのです。

Blog「みずき」2010.04.27:民主党という政党の正味の評価について革新・刷新派市民・論者の共通項はつくれないものか()()  
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