キョウ さんだーす17

【ユダヤ系知識人とアフリカ系アメリカンの政治的融合と連携はどこまで深いところで可能か】
サンダースの動きは、
アメリカの二大政党制をくずす結果をもたらすだろう。具体的にどういう形になるかはまだわからないが、サンダース支持の運動は拡大の一途をたどっている。民主党本流に対する強い不満がサンダースの動きのバネになっているから、これが民主党とは区別された勢力を構成することになる可能性は高い。とくにもし、クリントンが州レヴェルではサンダースに競り負け、スーパーデレゲートの数によってどうにか民主党大統領候補となるというような状況が起こると、状況は一挙に流動化するだろう。いずれにせよ、来年の今頃には、その方向は明らかになっているだろうが、第二次世界大戦後の世界の政治史は、アメリカの二大政党制の奇妙な安定によって支えられていた。これが崩れることは、必然的に世界の状況の、これまでとは異なる流動化をもたらすことになる。(略)
ミシガンではサンダースが勝利した。(略)しかし、最大の問題はアフリカ系の人々とサンダースの関係であろう。ミシガンと同日に行われたミシシッピの民主党予備選では、クリントンが82%で、獲得代議員数29、サンダースが16%で獲得代議員数4という結果であった。南部でのクリントンの強さは続いている。これは3月5日のルイジアナのクリントンが71%で、獲得代議員数37、サンダースが23%で獲得代議員数14よりも悪い。獲得代議員数ではクリントンとの間で、また差が開いたのである。私は、サンダースが相当の勢力であることを明瞭に示したスーパーチューズデイの後にも、これだけの差が続くとは予想していなかった。アメリカにおける地域間の経済状況、意識状況の相違、そして人種問題、「初の女性大統領を」というクリントンのスローガンにからむ女性の地位の問題の複合した状況は、相当のものであることを再認識した。私は、ここで示されたクリントンに対するアフリカ系アメリカンの支持は安定的なものとは考えない。(略)

サンダースはユダヤ系のニューヨーカーである。ユダヤ系の知識人とアフリカ系アメリカンの政治的融合と連携が、どこまで深いところで可能かという問題は、アメリカの政治、さらには文化それ自体において大きな試金石であると思う。サンダースの若い時期は、
マーチン・ルーサー・キング牧師の公民権運動への参加から始まった。その歩みが政治的な果実をもたらすことを期待し、それがアメリカにおいて歴史的な必然であるのは明らかだと思う。しかし、それが、どのようなテンポで進むかが問題であるということになる。ルイジアナからミシシッピへの経過は、そのテンポは遅いということが明らかにした。キング牧師と一緒に行動したというだけでは、南部のアフリカ系アメリカンに強いインパクトがあるという訳ではないらしい。時代は変わっているから、過去の世代のもっているキング牧師への感じ方を前提にして問題を考えることはできないのは明らかである。この国にいると日常感覚ではわからない問題だが、これは結局、アメリカのような移民国家、民族複合国家というものをどう考えるかという基礎の基礎から捉え返さねばならないのだろう。(保立道久の研究雑記2016年3月10日

【山中人間話】

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