キョウ かいけん2

「田原総一朗氏(81)岸井成格氏(71)ら民放のテレビキャスターやジャーナリストらが2月29日、都内で会見し、高市早苗総務相の「電波停止」発言に「私たちは怒っている」と抗議する声明を発表した」(日刊スポーツ 2016年3月1日)ことがニュースになっています。会見に出席したのは田原氏、岸井氏のほか青木理氏、大谷昭宏氏、金平茂紀氏、鳥越俊太郎氏の合わせて6人のジャーナリスト。同じくテレビキャスターの田勢康弘氏は声明の呼びかけ人有志のひとりですが都合がつかなかったのでしょう、会見には出席していません。

やはりジャーナリスト出身で大学教授の永田浩三さんは自身のフェイスブックにこの記者会見について次のように書いています。 

高市総務相の「電波停止発言」。キャスター有志6人が怒りの会見。金平茂紀キャスターは、「今ほど自主規制や忖度が蔓延していることはなかったのではないか。なにも発言せず、息をひそめる態度からは一線を画したい」と語った。立派だと思う。6人のなかで女性はひとりもいない。これがいまのテレビの現実だと思う。

Posted by 永田 浩三 on 2016年2月29日


私もこのジャーナリスト有志7人の声明発表を「立派だと思う」と言いたいところですが、あまり「立派だ」とは思いません。それというのも、「世に倦む日日」ブログの2月29日付けの記事によれば(私は「世に倦む日日」ブログを評価しているわけではありません)、やはり先月末の26日に民主党と維新の党の合流が両党間で正式に合意されましたが、この民維新党について、同声明の呼びかけ人のひとりの岸井成格氏が「先週、民維合流を賛同するコメントを連発し、『自民党に対抗する選択肢』『野党の大同団結は当然』と宣伝しまくっていた」ということがあるからです。

この岸井キャスターの民維新党礼賛発言と高市総務相発言批判の間に私は同一の価値観を見出すことはできません。民主党も維新の党もこれまでここではいちいちその問題点は指摘しませんがリベラル・左派の側から「第2自民党」と揶揄されることが多かった存在です。私自身もこれまで何度も指摘していることですが、民主党は「今の戦後最悪の民主主義破壊政権を固定させた立役者」の役割を担いましたし、維新の党も「安保法制」反対運動が一段と高まりをみせようとしていく中で同法案の国会採決間際に「修正案」なるものを提出して同法案の採決を容易にするという文字どおり「第2自民党」の役割を果たしてきました。維新の党に関して「リベラルや穏健保守の側が『橋下徹的なもの』、つまりマッチョなクーデター体質に惹かれる心情を克服し得ていない現状では、何度選挙をやっても勝てない」という指摘もあります。

このような「第2自民党」的政党同士の合流になにが期待できるというのでしょう。岸井成格氏のこの点に関する認識はこれまで民主主義というものをよく追究してきた人の認識とは思えません。岸井氏自身が「2大政党制」論という実質保守の思想を根強く保持する論者であるからこその認識だといわなければならないでしょう。高市早苗総務相の「電波停止」発言批判も「表現の自由」という民主主義的価値を守る立場からの批判ということに当然なるはずですが、民主主義という概念がその人の政治的志向性によってどうにでも変化するものであるならば(それが「橋下徹的なもの」ということでもあるのですが)、民主主義はもはや民主主義とは言えません。

私が「岸井キャスターの民維新党礼賛発言と高市総務相発言批判の間に同一の価値観を見出すことはできない」というのはそういうことです。ちなみにテレ朝の古館伊知郎キャスターも先週、岸井成格氏と同様に民維合流を賛同するコメントを連発し、『自民党に対抗する選択肢』『野党の大同団結は当然』と宣伝しまくっていた」そうですが、古館キャスターは29日の会見にも参加していません。古館キャスターの非ジャーナリスト性はこんなところにも表れています。彼はエンターティメントの話者ではあっても、真のところジャーナリストではないのです。彼もそのことを自覚しているのではないでしょうか。当たり前のことで、だれでもすぐに首肯することですが、実際には有言不実行が幅を利かせている現代日本社会の決して好ましくない現象。日本社会と政党の総右傾化の遠因はこういうところにもあるというのが私の見立てです。安易に有名人を有名人のゆえに買いかぶってはいけないということはここでも言えることです。
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