キョウ へんみ3
2013年8月31日撮影(東京・四谷区民センター)
 
Blog「みずき」:いまという「状況」の中で「例外」であり続けることについて辺見は次のようにも書いています。「われわれはひとりひとり例外になる。孤立する。例外でありつづけ、悩み、敗北を覚悟して戦いつづけること。これが、じつは深い自由だと私は思わざるをえません。」(
2013年8月31日講演記録

【群衆の中で一人の人間がどう思考するのか】
「戦争法(安保法)が通り、今、憲法9条は瀕死の状態にある。生前葬が済んでしまったと言ってもいい」安倍晋三政権はいよいよ憲法改正に前のめりだ。そうした中、集団的自衛権行使を禁じた上で自衛隊を軍隊として位置付け、専守防衛に徹することを明記するという「新9条論」が出ている。こうした風潮に辺見庸さんは強い危機感を抱く。
「あの憲法は自ら選んだものではないから変えていいんだというのとは違う。9条については死守すべきだと思う。そういう議論の余地を与えること自体がすでに退行だ。極めて危険な兆候だと思う」。9条を現状に近づけるべきだというのは、これまでの保守派がさんざんに繰り返してきた主張だからだ。「国家として、ここまで武力を持つのは当たり前だといった議論が一番危険だ。世界でも特殊な日本という国には、特殊な絶対反戦主義の9条は必要だと私は思う」日中戦争が始まり、南京大虐殺が起きた1937年に焦点を当てながら、現代日本を照射した「1★9★3★7」で、辺見さんは政治学者・丸山真男の言葉を引いている。「これだけの大戦争を起しながら、我こそ戦争を起したという意識がこれまでの所、どこにも見当たらないのである。何となく、何者かに押されつつ、ずるずると国を挙げて戦争の渦中に突入したというこの驚くべき事態は何を意味するか」辺見さんは思う。99年成立の周辺事態法、国旗・国歌法、通信傍受(盗聴)法、2003年~04年成立の有事法制。14年施行の特定秘密保護法。ずるずると、法は通った。そして今。「現行憲法は事実上かなぐり捨てられ、歴史的な大転換にある。それなのに、社会を土台から揺り動かすような抵抗も悲嘆もない。またも、ずるずると何ものかに身を任せてしまっているのではないか」

辺見さんは昨年、安保法に反対した
SEALDs(シールズ=自由と民主主義のための学生緊急行動)の国会前デモについて、自身のブログに率直な思いをつづり、批判を浴びた。今も基本的に考えは変えていない。「僕への批判はあっていいし、当然だと思う。ただ、今の政権はリアルだ。本気度が違う。それへの抵抗がまったく見合っていない。街頭での表現というのは直接民主制です。基本的に国会とデモ隊との距離はゼロでなければならない。物理的な障害があれば、観念的には超えていこうとするものだと思う」辺見さんは続けた。「十把ひとからげにして言うのはよくないかもしれない。でも、僕には国家権力に親和的な『現象』にしか見えない。人々の怒りを結集したデモンストレーションには見えない。統制され、秩序化し、ここからは何も起しちゃいけないという意志すら感じさせる。怒りの芯が見えない」そう述べた上で、自身の考えを語る。「今、明日にも死にかねないような人間たちは増えていると思う。これからも増えていくだろう。人間が剥き出しにされている。僕は、その剥きだしにされていく最も脆弱な、最も貧しい人の視点が起点にならなければならないと思っている」「僕の間違いかもしれないが」と前置きし、辺見さんは言葉を継ぐ。「国会前の中には、そういう人もいたと思う。だが、今の社会の中で見えなくされている最底辺層をどうにかしようという思想を全般的に感じなかった。全体として、違和感があるもの、醜悪なもの、グロテスクなもの、臭いものを生理的に嫌っているのではないか」

懐疑の目は知識人や文化人にも向けられる。「白いクロスを掛けたテーブル席でしゃべって、署名を集めて。もう何十年も見てきた。このインチキさをね。それははっきり言いたい。僕らは、ボコボコにやられて、瀕死にならないと駄目だ。そのぐらいの段階に来ている。僕の言う対抗暴力とはそういうことです。根源に近づくような運動をすればするほど、間違いはつきものとなる。しかし、それを恐れている。だから、何も起きない」辺見さんはこうも言った。「国会前の人たちの中にも例外の人はいたと思う。僕が期待するのは常に例外です。個として何者かたり得ようとして、苦闘していた人は多くいたに違いない。僕は(阪神のまひで)足腰は不自由だけれど、その一人でありたい」

この間の北朝鮮をめぐる報道を見ていて、辺見さんは「すごいな」と感じたという。「今後、北朝鮮対策が不十分だというような世論がもっと盛り上がる可能性がある」欧米を主体とする反テロ戦争が世界で広がっている中、辺見さんは危惧する。「現政権は反テロ戦争に参加することに意欲的だ。そのためにこれまでいろいろなことをやってきている。緊急事態条項をつくりたがっているのもそうだ。参加しないわけがない。その範囲にIS(過激派組織・イスラム国)のみならず、北朝鮮も入れると思う。北朝鮮有事を想定した対応はかなりリアルにシナリオが書かれているに違いないと思う。でも、それをすっぱ抜く能力が今のメディアにはない」過去を見つめ直し、未来を考え続けてきた辺見さんは言う。「他国との武力衝突、反テロ戦争に突き進むと、一気に愛国化、翼賛化する可能性が非常に強い。それは歴史が証明している」そのような状況になったとき、果たして私たちは大勢に流されず、理性的に振る舞えるか。「1★9★3★7」で辺見さんは再三にわたり、そのことを問うてきた。
 
今、強権政治を民衆もほしがっているように思う。極めて危険です。例え安倍政治を変えたとしても、強権的なものはまた出てくる。そういうものに対して、僕を含めた多くの人間が甘く見ていた」メディアは必死に「日常」をこしらえているように辺見さんには見える。「眼前に見えているものをうそだ、ニセだと否定する、疑ってかかる発想が著しく低下しているのではないかと思う。躊躇し、思い止まり、ひたすらと模索を続ける。摸索の過程にしか意味はない」辺見さんは語気を強めた。「一人の人間がどう考えるか。歴史の大転換期にあって、群衆の中で一人の人間がどう思考するのか。歴史と自分の関係をどう考えるのか。それが今、一番大事なことだと思う」(桐生勇)(
神奈川新聞 2016年2月27日

【山中人間話】

【吹禅 Yuki Tanaka 田中利幸】(2016/02/26)早く言えば、広島平和研究所は、安倍政権に「服従する」、 つまり安倍政権を「支持する」研究所に堕落してしまったということを、この記事は意味しています。 恥を知るとい...

Posted by 都藤 邦 on 2016年2月27日
Blog「みずき」:こうした政治の劣化現象は自民党だけに限りません。この10年の間に共産党も激しく右傾化し、劣化しています。「安倍自公政権の非立憲的な独善ぶりもさることながら、社会運動の側の思想的な頽廃にこそ私は日本社会の真の危機をみる。

@12fuji28 別に自民党支持者というわけではないが、過去の自民党議員見てたら、明らかに今の自民党議員の劣化ぶりがよくわかる。この人は事実を正確に言ってるだけだぜ、これ正論だろ。 pic.twitter.com/CD2AZ0QYhq

— デリシア1248 (@die1248) 2016年2月27日
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