キョウ シャルリ

【左派系論壇はシャルリエブド事件を言論の自由に挑戦するテロだとみなしてきた】
色々な意味で衝撃的な本だった。(略)欧米社会のイスラム差別は決して無視されてきたトピックではなかったはずなのに、よりによって日本で
シャルリエブド事件イスラモフォビアを関連付けて論じた初の本があのトッド著作だったことに驚きを隠せないのである。(略)日本の左派系論壇は総じてシャルリエブド事件を言論の自由に挑戦するテロだとみなしてきた。そのため、むしろシャルリエブドこそが差別の実行者であり、ヘイト・アートを継続して掲載してきた同社の編集方針を追求せず、逆に英雄であるかのように称えるのはおかしいという発想が浮かばなかった。単純に「テロとの戦い」、「言論の自由との戦い」という文脈で語り、この問題の裏側に潜むフランス社会の移民・ムスリムなどのマイノリティへの差別問題に踏み込まなかった。結果的にそれはフランス社会を無批判に称揚するという如何ともしがたいヨーロッパ幻想を生み出したとすら思える。それほどこの事件に対する左翼の態度は妙だった。
本来なら、ヨーロッパにおける民主主義の病理は左翼にこそ指摘されるべきであり、左翼にこそ指摘して欲しかった。それがトッドか、文春かという悔しさ。例えるならば、ヘイト・スピーチに反対する本が岩波や新日本出版社ではなく、真っ先に文芸春秋や新潮社、WACなどの日常的に差別を助長する出版社から出てしまったようなものなのだ。ヘイト・スピーチは良くないという発想が平和や平等を掲げる左翼からではなく日ごろから差別やデマに興じる右翼が所有し、発信してきたようなものなのだ。この本の出版ほど日本の主流左翼の情けなさを痛感したことはない。(略)

何せエマニュエル・トッドという人物は本人は中道左派を自称しているが、その主張内容を拾えば、中国をけん制するために日本に核武装を薦めたり過去の歴史に対する反省行為を修正(つまり安倍的な姿勢に)しろと主張したり、リビアに対するNATOの空爆を「認めざるを得ない」と黙認してしまったり随分と右的なのである。本書も企画に読売と日経が関わっているようで、出版元が文春と見事に保守系新聞社、出版社からプロデュースされたものである。(
時事解説「ディストピア」 2016-01-22

【野坂昭如が急逝するわずか数時間前に認めた最後の一行】
この国に、戦前がひたひたと迫っていることは確かだろう」(だまし庵日記2015年12月9日)─
野坂昭如さんが急逝する、わずか数時間前に認めた最後の一行である。前日の12月8日は、「ガラス越しに見える冬の庭。寒そうだ。…12月8日と聞けば、ぼくなどはすぐさま昭和16年に結びつく。…この戦争の始まった年、ぼくは神戸成徳小学校5年生。8日の朝、校庭の鉄棒にぶら下がり前まわりをくり返していた。…帝国陸海軍部大本営発表がラジオで流れた。二度と聞きたくない音。」と書き出し、珍しく*を付して、身辺の様子を綴る文章が続く。想うところがあったのだろう。野坂昭如『絶筆(新潮社)を読んでほしい。「挑戦、挑戦」と21回も叫び、九条改憲も「現実的段階に入った」と、戦争に前のめりな<ケンカ宰相>の顔など見たくもない。本質隠しの「倒錯ワード」を駆使して、国民をごまかす政治。典型が軽減税率の導入。財源1兆円が不足するのに加え、「痛税感の緩和」どころか、消費税10%にすれば、低所得者ほど負担が重くなる。その逆進性は明らかだ。こんなごまかしを許してはならない。さらに甘利明TPP大臣への1200万円賄賂をめぐる疑惑も、徹底的に追究しなければダメ。このままでは「この国」が腐ってしまう。(Daily JCJ【今週の風考計】2016年1月24日
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