キョウ バラ公園

Blog「みずき」:朴裕河の名誉棄損罪容疑の在宅起訴について、学者、ジャーナリストら54人が26日連名で「抗議声明」を発表しました。私はこの「声明」に賛同している少なくない論者に対して批判を持っていますが、「検察庁という公権力特定の歴史観をもとに学問や言論の自由を封圧する挙に出た」「何を事実として認定し、いかに歴史を解釈するかは学問の自由にかかわる問題」「言論に対しては言論で対抗すべきであり、学問の場に公権力が踏み込むべきでないのは、近代民主主義の基本原理」という「声明」の認識は正論というべきであろう。この問題と日本の政治とメディアの「右傾化」の問題はまた別様の問題というべきであろう、というのが私の認識でもあります。

【どれほどひどい内容かを読者が判断してはいけないのだろうか?】
≪【ソウル=共同】韓国のソウル東部地検は19日までに、旧日本軍の従軍慰安婦問題の研究書「帝国の慰安婦」で、慰安婦を一部で「売春婦」などと表現し元慰安婦の女性らの名誉を毀損したとして、著者の朴裕河(パク・ユハ)世宗大教授を在宅起訴した。≫≪地検は「虚偽事実で被害者らの人格権と名誉権を侵害し、学問の自由を逸脱している」と指摘した。韓国で慰安婦問題は「性奴隷」との見方が定着し異論を許さない雰囲気が強いが、訴追によりさらに研究の萎縮を招く可能性もある。≫

日本では名誉毀損罪は親告罪(刑法232条)。被害者から訴えがなければ、起訴できないという犯罪類型だ。日本の検察は、起訴できない捜査は通常しない。名誉毀損の事件は、捜査をすること、つまり、根掘り葉掘り聞き出すこと、その信憑性を確認するために周辺や過去の関係者の事情聴取も行うことがある。しかも、公開法廷で証言しなければならなくなる可能性もある。韓国では親告罪ではないのだろうか(Blog「みずき」:http://www.sasaki-law.com/blog/?p=1732参照)。
≪朴氏は2013年出版の同書で慰安婦問題について、帝国主義下での女性の人権侵害を指摘する一方、慰安婦の女性らは日本軍と「同志的関係」にもあったなどと記述。これに対し地検は「慰安婦制度は強制的な売春」などとした07年の米下院決議などを挙げ「客観的な資料を通じ虚偽事実と確認した」とした。≫

朴氏の「問題を一面的にみるな」という観点は正しい。
慰安婦の女性らは日本軍と「同志的関係」にもあった、という指摘は、これを裏付ける事実があるかどうかの問題だ。地検が、米下院決議を根拠に挙げるのはどうも情けない気がする。

≪地検は「言論と出版、学問の自由は韓国憲法が保障する基本的権利」とした上で「秩序維持や公共福利のため必要な場合、自由と権利の本質的な部分を侵害しない範囲内で制限できる」とした。≫

日本でも、むかし、最高裁が、「公共の福祉」を権利制限の根拠として使っていたっけ。とても法律家とは思えない雑さ。それと似ている。

≪同書は韓国で、日本を擁護する主張だとして激しい非難を浴び、元慰安婦の女性ら約10人が14年6月に朴氏を告訴。ソウル東部地裁は今年2月、女性らが同書の出版や広告を禁じるよう求めた仮処分申し立ての一部を認める決定を出し、出版社は問題とされた部分の文字を伏せ、出版した。≫

告訴した約10人(10人かどうかはっきりしない?)は、自分のことを書かれていたのだろうか。自分のことでなくても告訴できるのだろうか。韓国のマスコミはどういう報道をしたのだろう。

≪日本では14年、日本語による書き下ろし「帝国の慰安婦~植民地支配と記憶の闘い~」が出版され、今年の早稲田大「石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞」の文化貢献部門に選ばれた。≫≪朴氏を告訴した女性らが住むソウル郊外の施設「ナヌムの家」は19日、同書が引き続き日韓で販売されていることを「反人権的な行為だ」と批判した。≫

どれほどひどい内容かを読者が判断してはいけないのだろうか。(弁護士清水勉のブログ 2015-11-24

【山中人間話】


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