キョウ ラ・マルセイエーズ3

【パリの犠牲者とシリア国民の犠牲者数とのこの非対称性はどうだろう】
2015年11月13日に始まったパリの同時多発テロに対して仏オランド政権は強硬姿勢で対決しようとしている。私は
フランソワ・オランドが仏大統領に立候補したときの演説に感動して彼に対する礼賛と期待を書いた。それから3年を経る間に彼は克服すべき敵たる新自由主義に屈服して金融機関の規制や所得分配政策を放棄してしまった。そして今次テロへの反応は9/11における米大統領ジョージ・ブッシュ(息子)に酷似している。オランドがベルサイユ宮殿で仏権力の中枢人物とともに「ラ・マルセイエーズ」を歌うテレビ画面を観て私は言いようのない違和感におそわれた
その違和感を解くカギになるかも知れないと思い、私は仏映画『ラ・マルセイエーズ』のDVDを見た。(略)戦前戦後を通じて、フランス革命は日本では「ブルジョア革命」の典型として意識されてきた。いまもなおその認識は強いだろう。しかし私のみた『ラ・マルセイエーズ』は、階級闘争史観で描かれたというよりフランス国民の統一と団結を訴える作品であった。(略)

フランス革命とアメリカ独立戦争が起点となって近代「国民国家」が生まれた。国民国家は、民権と国権の相克を内に抱えている。国民国家の多くは「帝国主義国」となった。数百年にわたり植民地や属領からの収奪の「成果」であった。「帝国主義」という言葉は使用頻度が減ったが、「帝国」は厳存している。EUのなかで隠れていたフランス国権の本性が首都の攻撃という決定的事態の発生によって顕在化したのである。

『東京新聞』(2015年11月21日・夕刊)は「カイロ=中村禎一郎」記者の次の記事を載せている。「シリア人権監視団(ロンドン)は二十日、九月末から始まったロシアのシリア空爆による死者が千三百人を越えたと発表した。過激派組織「イスラム国」(IS)の戦闘員三百八十一人が死亡。死者の合計は千三百三十一人。九十七人の子どもを含む民間人が含まれているとしている。監視団は、米国が主導する有志国連合の空爆で、これまでに三千六百四十九人が死亡したとの情報も公表した。(一部略)」

パリの犠牲者とシリア国民の犠牲者数とのこの非対称性はどうだろう。過日の報道番組でイスラム研究者
内藤正典(同志社大教授)は、シリア人にとって空爆は強力なテロとして認識されていると語っていた。そもそも空爆に際して一般市民とISをどう判別できるのか。仏大統領オランドが「ラ・マルセイエーズ」を唱いつつ空爆を強化している姿は「近代国民国家」の破綻、少なくとも大いなる矛盾を示している。同時多発テロを正当化するのではない。しかし有志連合と「価値観を共有する」などと安倍晋三がいうのを許すべきでないと言いたいのである。(半澤健市「リベラル21」2015.11.25

【「日米同盟の仮面」を暴く新著】
日本人はアメリカを日本の頼れる同盟国だと思いこんでいますが、
本書日米同盟の仮面をあばきながら、戦後の外交史をふりかえり、日本の今後をもう一度考えなおしてみるための本といえるでしょう。とりわけ衝撃的なのは、新しい「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」には、米軍が絶対的に日本を守ると書かれていないことが判明したというくだりです。日本を守るのは自衛隊であって、米軍ではないというのです。しかも、万一の事態が発生した場合にも、米軍が自衛隊を支援するとはかぎらないというニュアンスすら残されています。新ガイドラインには、むしろ米軍が日本の引き起こす可能性のある戦闘(たとえば尖閣問題)に巻きこまれたくないという思いさえ、にじみでているかのようです。

さらに衝撃的なのは、著者が次のような米政府機密文書を発見したことでした。そこにはこう書かれていました。「在日米軍は日本本土を防衛するために日本に駐留しているわけではなく(それは日本自身の責任である)、韓国、台湾、および東南アジアの戦略的防衛のために駐留している」これは1971年の文書ですが、米軍の駐留目的は現在も変わらないでしょう。むしろその戦略的防衛範囲は、西アジアや中東地域にまで拡大しているとみてよいかもしれません。さらに、この文書には在日米軍基地の目的が、兵站、すなわち物資・装備の調達や補給にあることも明記されています。こうしてみると、在日米軍基地は、アメリカにとって、アジア・中東の防衛戦略拠点であるとともに、米軍の補給、訓練、休養場所として位置づけられていることがわかります。

日本人は米軍が日本を守ってくれる代わりに、米軍に基地を提供していると思っています。しかし、それだけでは申し訳ないので、米軍基地の費用を負担する「思いやり予算」をつけ、さらには「集団的自衛権」で米軍にもっと協力するため、新安保法制を成立させ、実質的な憲法改正をおこないました。ところが、じつは在日米軍は日本の防衛に直接関与しないことが、米機密文書にもはっきりと示されていたのです。集団的自衛権を認めた新安保法制が、日本政府のいうように、はたして抑止力を高めることになるかは、はなはだ疑問だ、と著者はいいます。著者は「アメリカ側は往々にして、同盟国相手といえども、真意を隠し、米国益の追求に邁進する」と記していますが、これはまったくそのとおりでしょう。(
海神日和 2015-11-24
 
【山中人間話】

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