キョウ 冬枯れの南湖
大田英昭「冬枯れの南湖

【成行に任せるならば、支持底辺の解体と全体力量の低下は避けがたい】

「《戦後》平和思想、《戦後》民主主義が大衆段階に根をおろし定着したことは事実だが、民衆の生活信条として多数状況下したものは“私生活主義”に過ぎなかった(略)軍事化と政治反動を一貫して嫌い、安保闘争を声援し、これに参加し、そして私生活のネグラにこもったこれらの人たち(略)革新陣営の再建を総合的に考えるうえでも、この層、この世代の位置づけと対策は大切である。(略)「私生活型民主主義」、「私生活型合理主義」の通称からも判別できるように、私生活追求、公権排除はその本性であって、使命感的行動に全人間的に自己投入できる人たちとしては加算できない。

その民主主義も「人民権力」の創造の方向ではなく、市民的自由、私的権利の主張から、これを極端に推し進めて“人民に責任を持たない自由”のほうに傾斜していると言ってよい。とはいえ、この層、この世代は現行憲法の有力な支持層であり、とくに明文改憲には明確に反対している。安保体制についても好意的とはいえず、その強化には反対である。だが、最近は“安保はあっても平和がつづけば”、“なしくずし改憲でも市民的自由が侵害されなければ”の傾向がふえ、かつてのように、市民的左翼と言われる知識人たちのまじり気のない《平和と民主主義》の価値追求を思想的に支持しているとは大勢としては断じがたい。むしろ、政治的に色付けしてみるならば、保守ニュー・ライト的発想の支持基盤に変容しつつあると言ってよいかもしれない。」〔清水慎三『戦後革新勢力―史的過程の分析』(青木書店、1966年)345~355頁より引用〕

五十年近く前の文章だが、今の日本の状況と重ね合わせて読むと、考えさせられることが多い。安保闘争の高揚から6年、当時の日本の「革新勢力」は、選挙の当選者数、得票数、得票率、また政党の党員数、活動家数、労働組合員数、学習会の伸び率などの数字では、上向線をたどっていた。その将来について楽観的な気分が一般に漂っていたなかで、清水は、「戦後革新勢力」を支えていた〈平和〉〈民主主義〉が変質してむしろ体制化しつつあるのを見て取り、「成行に任せるならば、支持底辺の解体と全体力量の低下は避けがたい」として、その「ジリ貧化」に警鐘を鳴らしている。その後の「革新勢力」の経過が、清水の危惧した方向に進んだのは周知のとおり。その中心にあった社会党―総評ブロックは、とうの昔に解体・消滅した。

自衛隊合憲論や九条改憲論をためらいなく口にする人たちをリーダーとする団体が社会運動の中心に祭り上げられ、共産党すら自衛隊や日米安保を棚上げにした「国民連合政府」を唱えているいま、「戦後革新勢力」の末期の水をとらねばならない時が近づいているのだろうか。(
大田英昭フェイスブック 2015年11月21日

【山中人間話】

11月15日の讀賣新聞。放送法第4条をたてに、違法な報道を見逃さないという全面広告が載った。載せたのは、すぎやまこういち、渡辺昇一、渡辺利夫、ケント・ギルバートといったひとたち。NEWS23の岸井成格さんの発言が、槍玉にあがっている。し...

Posted by 永田 浩三 on 2015年11月20日
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