【いま日本がはせ参じなければならない戦争がどこにあるのか】
憲法9条をズタズタにする
「戦争法案」11本を、わずか10分の閣議で決め、80時間の国会審議で強行成立を企てる安倍政権─この暴挙は断じて許せない。18人の閣僚は、昭恵夫人を先頭に、みな自分の妻や夫に街頭へ出てもらい、11本の法案の内容や関連を、国民に説明したらいい。米国の戦争に巻き込まれる危険や自衛隊員の家族の不安は、ますます高まるに違いない。自衛隊の発足以来、61年、自衛隊員は1度も人に向けて発砲せず、1人も殺さず1人の戦死者も出してこなかった。それが切れ目なく他国の戦争にはせ参じ、戦場での武力行使に道を拓くのだ。とってつけたような「平和安全法制」の正体が、明らかになるだろう。これほど国民を欺く内容の法案を、安倍首相は米国に行って「夏までに成就させる」と事前約束するなど言語道断だ。いま日本が、はせ参じなければならない戦争が、どこにあるのか。どこにもない。あるのは人権侵害、貧困、疾病などをなくすための文民的な闘いだけ。これには軍隊など必要ない。卑屈な「終わりなき対米従属」を維持するため、米国の戦争に協力すべく、新たに防衛装備庁を設置して武器輸出を広げ、かつ国内の戦時体制づくりを目指して、防衛省の文民統制を廃止し、「国家緊急権」を持ち出し、改憲を既成事実化するなど、断じて許されない。(Daily JCJ【今週の風考計】2015年05月17日

【山中人間話】

下記の時事解説「ディストピア」さんの「大阪住民投票は橋下の事実上の一人勝ち」という視点は上記の想田和弘さんの「橋下氏の本質」の問題性の指摘を別の言葉で指摘するものとして重要な視点だと思います。橋下は「さわやか」でも「潔い」わけでもなく、今後も危険であり続けるポピュリストのままです。その認識はさらに徹底させていかなければならないでしょう。「ディストピア」さんのいう「大阪住民投票は橋下の事実上の一人勝ち②」のような状況がある限り(以下、改行は引用者)。
 
大阪住民投票は橋下の事実上の一人勝ち①
(時事解説「ディストピア」2015-05-18)
反対意見も多くあるだろうが、あえて今回の住民投票は橋下徹の一人勝ちだと評価したい。
 
本人も発言しているように、橋下氏は元々は弁護士であり、名声を失いさえしなければ、政治家をやめても食っていける手段を持っている。仮に今回の住民投票で、不正献金で都知事をやめた猪瀬直樹のように彼の評判が地に堕ちたというのであれば、話は別だが、実際は橋下人気に陰りは無い。
 
これを顕著に示すのが各テレビ局・新聞社の報道で、橋下市長政界引退を惜しむ声を重点的に取り上げて述べている一方で、さっさとやめろという声は一切取り上げていない。つまり、彼にとっては政界を引退したって、またテレビ局にコメンテーターとして出演したり、どこぞの政党や企業の顧問弁護士になったりすることが十分可能であり、文字通り屁でもない。
 
むしろ問題なのは、この住民投票をもって明らかになったメディアの偏向報道と大阪市民の政治センスだろう。私は前から大阪人権博物館や大阪平和センターにおける橋下一派の歴史改ざんをたくらむ行為、職権を濫用した経済制裁に警鐘を鳴らしてきた。つまり、市長と言う特権を利用した反右翼的な学術機関へ対する弾圧、展示内容の変更、補助金の打ち切り、地税の要求は現在進行形で行われており、住民投票があろうとなかろうと代わりは無いのだが、このファシズム的動きについてメディアは、この間、一切、取り上げなかった。
 
他にも、橋下府政、市政の問題点をざっと挙げると、
 
①福祉・交通サービスを低下させたにも関わらず借金を増やした
 
②実力主義に基づく教育改革と銘打っておきながら実際には自分と懇意の仲の人間を校長に任じさせ、しかも不祥事が発生する。
 
③博物館への政治介入。展示物の内容の変更を強要した。日本の戦争犯罪や国内の人種・民族差別に関する展示物が除去された。変更に応じない博物館には補助金を打ち切り、さらに地税を要求し、廃館をもくろんでいる。
 
④公共福祉の削減で浮いた予算を高層ビルの購入につぎ込む。後にそのビルの耐震性に問題があることが判明。無用の長物と化す。最終的に132億円の血税がパーになる。
 
⑤思想調査、君が代斉唱の強制に代表される思想の自由へ対する侵害。
 
などなど、どう見ても橋下が良い政治家ではないことが伺える事実が浮かび上がってくる。にも関わらず、この点についてメディアは何も報じていないし、橋下がまるで民主主義の支持者であるかのように讃えるものすらあるのだ。
 
今回の住民投票は、橋下府政、市政に対する総括および反省、批判、攻撃が始まる契機になるのではなく、逆に彼を政界からきれいに引退させる格好の隠れ蓑になってしまった。結果的に見て、彼が作った借金や公共福祉の削減、差別思想の蔓延、歴史改ざん等の極右思想の浸透について一切、責任を求める声が無いまま彼は第二の人生を歩むことができる。
 
これを一人勝ちと言わずに何と言えば良いのか? 橋下自身は市長を辞めようと特に困ることは無いが、心配なのは今後の大阪だ。極右政党である維新の会が与党になってしまうほど、今の大阪は反動思想に対して寛容なものになっている。漫画やゲームの話ではないが、橋下が一人政界から去ろうと彼が種をまき、花を咲かせ実を実らせたものがある限り、また別の極右政治家、極右政党が君臨し、同じような政治が行われるのではないか? そう思えてならない。
 
 大阪住民投票は橋下の事実上の一人勝ち②
(時事解説「ディストピア」2015-05-18)
 
大阪住民投票は橋下の事実上の一人勝ち①で説明したように、橋下がやってきたこととは公共福祉の縮小と自治体の借金の増額、反動思想に反する学術機関へ対する政治干渉と経済制裁などなど、かなり問題のあることばかりで、先輩である石原慎太郎の「実績」とどっこいどっこいだ。にも関わらず、これら過去および現在の失政に対してメディアは口を閉ざし、彼の引退宣言に対して、「やめないで~~」とお涙頂戴の橋下陛下万歳報道を流している。
 
社説 大阪都否決―「橋下後」へ具体策を
 
自治のあり方を問う前代未聞の住民投票で、市民は変革ではなく市の存続を選んだ。大阪市を5特別区に分割する協定書への反対が、賛成を上回った。橋下徹市長が提唱した大阪都構想は成就しなかった。橋下氏は昨夜、敗北を認め、任期満了で政界を引退する意思を表明した。結果は市を二分する大激戦だった。残る任期で橋下氏は、対立ではなく反対各派との融和に努めるべきだ。
 
大阪低迷の最大の原因は府と市の二重行政にあるのだから、役所を一からつくり直し、大阪が抱える問題を根本的に解決しよう。
 
橋下氏のこの問題意識は理解できる。だが、その先にどんな具体的なメリットがあるかが、説得力をもって受け止められなかったのではないか。都構想実現後の成長戦略として橋下氏が挙げたのは
高速道路や鉄道の整備、大型カジノの誘致だった。一方、反対派は市民の税金が府にとられ、行政サービスが低下すると指摘した。反対派の主張の根拠にもあいまいな点はあった。それでも、今の暮らしに影響するのは困るという漠然とした不安感が、期待にまさったように思う。
 
「橋下流」の強引なやり方が、投票行動に影響を与えたことも否定できない。都構想の骨格となる協定書は、大阪維新の会がほとんど単独でまとめた。府・市議会は昨秋、いったん否決した。しかし維新は水面下で公明党の協力を得て住民投票に持ち込んだ。昨年の衆院選で公明候補が立つ選挙区に、維新が対立候補を擁立しなかったことが背景にある。こうした経緯は「裏取引」との批判を招き、正当性への疑問を広げた。
 
橋下氏が政治家としてけじめをつける姿勢は理解できる。
 
一方、急速な少子高齢化や全国一多い生活保護受給者、11兆円を超す府と市の借金など、大阪が待ったなしの課題を抱える現状は変わらない。むしろ都構想の否決で、処方箋(せん)は白紙に戻ったともいえる。これからは反対派が具体策を問われる。自民、民主、公明、共産の各党が説得力ある対案を示していたとはいいがたい。維新を含め、党派を超えて知恵を結集すべきだ。長年の対立のエネルギーを、大阪再生へ向けた熱意に転換してほしい。人口減少時代を迎え、基礎自治体の規模はどれくらいがいいか。都道府県との役割分担はどうあるべきか。大阪の論戦で浮かんだ数々の課題は全国の多くの都市に共通する。各地で答えを探る営みが広がればいい。
 
これは本日付の朝日新聞の社説だが、上を見てもこれまでの大阪府政や大阪市政の失政の張本人が橋下徹であることを指摘していない。逆に橋下に対しては「理解できる」と好意的に評価し、反対派に対しては「根拠薄弱」と断定する提灯記事になっている。そもそも、都構想では経済特区を設置し、同区内で最低賃金の廃止と労働時間の上限撤廃、解雇の自由化と一般人にとっては、かえって暮らしが悪くなることが主張されている。無論、これは二重構造の廃止とは無関係の改革である。少なくとも共産党はこの点に対して反対姿勢を見せていたのだが、朝日新聞によると、これはあいまいな反対になるらしい。このように肝心な事実を曖昧にし、市民の判断を鈍らせている朝日新聞のようなメディアが闊歩しているのが日本社会の現状だ。
 
橋下が100億円以上の費用を費やし、結果的に御破算になった大阪府庁移転計画などが典型的な例だが、大阪低迷の最大の原因は為政者の失策にある。加えて、その問題ある政治を手放しに礼賛し続けてきたメディアに問題がある。投票率を踏まえれば、今回の住民投票では、大阪市民の3分の2が反対あるいは未投票を選択したわけだが、メディアは逆に「久々の高い投票率!」とあくまでも好意的に解釈している。その上、先の記事で指摘したように、これまでの橋下府政・市政の失策による経済的損害と大阪の右傾化への責任は一切求めず、かわりに提示しているのは「党派を超えた協力」だ。冗談ではない。メディアは橋下のこれまでの失政を指摘し、責任を求めるべきだ。彼をきれいに退陣させるのは、橋下の思うつぼである。(自分たちの権力追従の姿勢を猛省すれば、なお良し)
 
私は以前、故障した自動車の変わりに欠陥車に乗り換えるのは正しい選択ではないと書いた。今、それに付け加えれば、故障者を更におかしくした修理屋と協力すべきではないと思う。社会党しかり、民主党しかり、過去にたいして力も無いくせに右翼と協力体制を気づいた面々は、実権を保守派に奪われ、単なる右翼の走狗に成り下がり、まもなく自滅していった。今、必要なのは妥協ではなく徹底した対決である。朝日新聞のような「気持ちはわかる!」「仲良くしよう!」というものではなく、「お前のやり方じゃ駄目だ」「絶対に反対だ」という徹底抗戦である。
 
橋下の唯一評価できる点は、彼がこの徹底抗戦をしっかり行ったことである。立場としては極右のネオナチ政党の党首だったわけだが、なぁなぁで済まさず、徹底的に反対者と戦おうとした点は、政治家としては一つの見習うべき姿ではないかと思う。もっとも、彼の場合は弾圧や干渉という最悪の形でしかそれが表現できなかったわけだが。
 
共産党を含めた野党は、この徹底抗戦という思想を軸に戦って欲しいものだが、現実には民主党や自民党、公明党などは既に橋下との協力を望み始めている。一時的な反対にとどまり、極右政党との対決姿勢は放棄されてしまった。このこともまた橋下の一人勝ちだと思う所以である。
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