NHKはこの18日と19日の両日、2夜連続でNHKスペシャル「戦後70年 ニッポンの肖像 -日本人と象徴天皇-」の第1回「“戦後”はこうして誕生した」(約49分)と第2回「平和を願い続けて」(同左)を放送しました。日本独自の「象徴天皇制」という制度の成立の過程と経緯を明らかにする貴重な映像資料となっています。今後、「戦後70年」を論じるにあたっての貴重な第一級資料というべき映像ですから参考資料として以下にアップしておきます。

追記:ただし、第1回の放送に比して第2回「平和を願い続けて」の放送は「天皇賛美」が過ぎます。ドキュメントというよりも「皇室賛美」のための特集番組のような番組づくりです。NHKの劣化というよりも、私はいまの日本の現状そのものを見る思いがして寒気がしてきました。それでも資料的価値はあるだろうと思ってそのままアップしておくことにします。

NHKスペシャル日本人と象徴天皇 
  第1回 「“戦後”はこうして誕生した」(約49分)


NHKスペシャル日本人と象徴天皇 
  第2回「平和を願い続けて」(約49分)



また、以下は、上記の「NHKスペシャル日本人と象徴天皇」を観ての「アリの一言(「私の沖縄日記」改め)」ブログ主宰者の「NHKスペシャル『日本人と象徴天皇』の“表と裏”」と題された感想です。上記の映像の「革新」の立場からの適切な解説となっています。こちらも参考資料として引用させていただこうと思います。「象徴天皇制」という制度をどう見るか。同ブログ主宰者は「沖縄」問題を通じてそのことを考えようとしています(改行は引用者)。

NHKは18日、19日の2夜連続で、NHKスペシャル「日本人と象徴天皇」を放送しました。「戦後70年・ニッポンの肖像」企画の第1弾です。番組はいくつかの重要な歴史的事実を明らかにする一方、肝心な点はあえて触れようとしなかったり、隠そうとしました。その“表と裏”は―。
 
①昭和天皇の戦争責任回避と「象徴天皇の誕生」
番組では1945年6月の米ギャラップ世論調査「戦後、天皇をどうすべきか」が紹介されました。それは、「殺害する=36%」をトップに、圧倒的多数の米国民が昭和天皇の戦争責任追及を望んでいることを示すものでした(引用者注:第1回7:30頃)。しかし、連合国軍総司令官マッカーサーは占領政策遂行のために昭和天皇の戦争責任を不問にし、「象徴天皇」として天皇制を残しました。番組は「新たに発見された資料」として、昭和天皇が側近に「極秘だ」として、マッカーサーから退位しないでほしいと言われた、と語ったという「稲田メモ」なるものを紹介しました(同29:53頃)。

「象徴天皇」を国民に印象付ける「全国巡幸」も、GHQの指示(同21:46頃)だったとするなど、「象徴天皇」はその「誕生」から「定着」まで、一貫してマッカーサー・GHQの意向・指示だったとしました。その一方、昭和天皇(日本)が必死に戦争責任追及を回避しようとしたことには触れず、「(巡幸で)戦争の傷の深さを自覚した」(コメンテーター・保阪正康氏)、「(天皇は)国民の心を支えてくれる存在だった」(NHK司会者)などと昭和天皇を美化しました。
 
②昭和天皇とサ体制・「沖縄メッセージ」
番組は、日本国憲法に「象徴天皇」が明記された後、マッカーサーが日本との早期単独講和を目指していた時、昭和天皇が芦田均外相(当時)を呼び、「日本としては結局アメリカと同調すべき」と指示した(「芦田日記」)こと、さらに、マッカーサーとの会見(1947年5月6日)で、「日本の安全保障を図るためには米国がイニシアチブを執ることを要するのでありまして、そのために元帥の御支援を期待しております」(「昭和天皇・マッカーサー会見」より)と述べたことを紹介しました(同36:20頃)。さらに番組は、昭和天皇がGHQに対し、「米国が沖縄その他の琉球諸島の軍事占領を継続するよう希望する」とするメッセージ(「沖縄メッセージ」1947年9月20日付)を送ったことも紹介しました(同39:59頃)。こうした史実は、昭和天皇が憲法の「象徴天皇」の権限を逸脱し、政治・外交の根本問題に積極的に介入・指示していたことを示しています。それが今日の沖縄の軍事植民地状態を作り出したサンフランシスコ条約・日米安保体制の根源です。
 
ところが番組は、「象徴」を逸脱した昭和天皇のこうした憲法違反には一言も触れず、さらに「天皇の沖縄メッセージ」についても、「長期租借という措置で日本に主権を残したという面もあり、難しい問題だ」(コメンテーター・御厨貴東大名誉教授)として、その売国的重大性を事実上免罪しました。
 
③天皇明仁への手放しの賛美
昭和天皇については、否定できない事実を紹介しつつその評価をあいまいにする一方、現明仁天皇については、「沖縄に心を寄せ続けるという自らの誓いを実践されている」「イデオロギーや偏りが一切ない中立性をつくりあげた」(御厨氏)など、手放しで賛美しました。以上のように、NHKの「日本人と象徴天皇」が触れようとしなかった問題が、少なくとも2つあります。
 
1つは、現在の「象徴天皇制」は、昭和天皇の戦争責任回避、さらに象徴を逸脱した日米軍事同盟路線推進の延長線上にあり、それらの問題と切り離すことはできないということです。とりわけ沖縄にとっては、今まさに焦点の辺野古新基地建設はじめ、米軍基地、日米軍事同盟の犠牲を差別的に負わされている現実が、「象徴天皇」の昭和天皇によってもたらされた事実をあいまいにすることはできません。保阪氏は現天皇を、「過去、現在、未来の連続性の中に自分を位置付けている」と賛美しましたが、それならなおさら、昭和天皇から引き継いだ「過去」の責任から逃げることは許されません。
 
もう1つは、たとえ天皇明仁が主観的に「中立性」を保ちたいと考えているとしても、「象徴天皇」は常に国家権力が政治的に利用する対象だということです。その典型的な例が、2013年4月28日、安倍政権が沖縄県民の批判・抗議を無視して強行した「日本の独立の日」記念式典に、天皇・皇后を出席させたことです。敗戦70年。「象徴天皇」の「過去・現在・未来」は、NHKとは別の視点から、私たち自身が考えなければならない問題です。(「アリの一言」2015年04月21日
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