ふじ

【言論と思想の自由の問題】
・狡猾な手段による言論締め上げは、朝日新聞、報道ステーションから、次のステージに移った。今度は『クローズアップ現代』である。ついに
国谷裕子キャスターが謝罪する事態にまでなった。中間報告全文(略) を見れば、内容は、朝日新聞の吉田調書問題なんか可愛く見えるほど、あざとい。と言っても、この写真や動画と比べれば、まだ、はるかに罪は軽い。横並びなら良いというのだろうか。いまだに、誤解を招いたと謝罪するメディアも、どうしてこんな写真や動画をばらまくことになったのか検証するメディアも、赤旗を含め、聞いたことがない。視聴者の関心をひきつける、刺激的な映像を見せようとするドキュメント番組では、今回のやらせ程度のことは日常茶飯事に行われていると思わせるほどに、最近のテレビ番組の劣化ははなはだしい。たたけば、どこも埃だらけのはずだ。だから、なぜ、この番組がたたかれるのかを問題にする。戦前と違い、さしたる言論弾圧装置を持たないまま、これほど言論が貧困になるとは想像もつかなかった。今や、時代は、非常時には政権批判は慎むべしというのが、共産党を含むコンセンサスになってしまった。「クローズアップ現代」は、そうした中で、国谷キャスターの突出した能力とバランス感覚で、変わらぬスタンスを維持している。とくにテレビの言説が見事なほどに劣化してしまったため、立ち位置が変わらない「クローズアップ現代」が目立つようになった。最悪の場合は、番組終了という事態も想定されるだろう。朝日新聞バッシングの時のように、「クローズアップ現代」を擁護する論が多くないのは、籾井会長のNHKが対象だからだろうか。NHKの心ある記者は、「クローズアップ現代」を支えようとしているに違いないのだから、連帯したい。下記記事は、3月21日現在で、論点を精確に分析しているし、深刻な見通しを語っている点で、大いに参考になった。→最後に笑うのはアノ人!? NHK『クローズアップ現代』の”やらせ疑惑”は今後こうなるという予測!-水島宏明 2015年3月21日街の弁護士日記 2015年4月10日

・1997年に起きた
神戸市連続児童殺傷事件で、少年は医療少年院送致となりました。その家裁での決定全文が文藝春秋に掲載されるというから驚きです。しかも、それに手を貸したのが、この決定に関わった元裁判官である井垣康弘弁護士だというので、非常に問題あるやり方です。この井垣氏は、当時の公表の在り方が不十分で、「要旨では男性の成育歴が大きくカットされた。事件の特殊性や、その後も重大な少年事件が相次いでいることにかんがみ、全文を国民に読んでもらうべきだ」(時事通信2015年4月9日)という理由だそうです。井垣氏は少年法には違反しないと言いますが、家裁が本来、非公表としているのは、少年の育成などを考えてのことであり、それがそのまま明るみに出た場合、少年にとっての育成の阻害になります。少なくとも、それが全面的に公開されることによって、さらし者にされていることに変わりなく、少年法の理念に反することは明らかでしょう。しかも、文藝春秋は明らかにカネ儲けのためです。井垣氏の行為はこれに加担するだけの行為に過ぎません。時折、少年事件が起きると、週刊新潮あたりが実名報道をしますが、他のマスコミが少年法の理念を守っている中で、カネ儲けになるからしていること、それを「今回の事件の残虐性と社会に与えた影響の大きさ、そして主犯格とされる18歳の少年の経歴などを総合的に勘案し、実名と顔写真を報道しました」のような屁理屈をこねくり回して正当化しようとしていますが、要はカネ儲けの道具です。井垣氏も国民に読んでもらうべきだという理由で公表するのであれば、インターネット上に公表すればよく、文藝春秋のカネ儲けに加担する意味がわかりません。確かにインターネット上の方が影響は大きいですが、今回の趣旨であれば紙媒体ならよく、インターネットならダメという理由がありません。(略)また、そもそも元裁判官が、何故、その決定を持っているのかということも問題です。データで持っていたということなのでしょうが、正規の手続を経ないで、データを持ち出したのと全く同じです。いわばデータを盗んだのと同じだということです。井垣氏のやったことは、いろいろと自分の行動を正当化しようとしていますが、文藝春秋のカネ儲けに加担しただけ、最低の行為です。(弁護士 猪野亨のブログ 2015/04/13

日本テレビ系(NNN) 4月14日(火)19時52分配信≪自民党が17日にNHKとテレビ朝日の経営幹部を呼び、最近問題となっている報道番組の内容をめぐって、直接、事情を聞くことが分かった。≫応じるのか?逆に抗議しないのか?≪複数の関係者によると、自民党の情報通信戦略調査会は、NHKからは「クローズアップ現代」でヤラセが指摘されている問題について、また、テレビ朝日からは「報道ステーション」でコメンテーターの古賀茂明氏が一方的に政権批判したことについて、話を聞く方針。特に「報道ステーション」をめぐっては、古賀氏が菅官房長官を名指しして「バッシングを受けた」と一方的に述べる展開となった点などについて、第三者も加えた検証の必要性などをただすものとみられる。≫自民党議員に言われるまでもなく、どちらも問題だということをそれぞれの会社はわかっているのだから、自民党がとやかく口出しする必要はない。お手並み拝見で十分だ。古賀氏の発言が問題だというのなら、古賀氏に抗議すればいいことで、テレビ局の幹部を呼びつけるのはやり過ぎだ。≪政治とメディアの関係に詳しい上智大学の音好宏教授は、こうした自民党の異例の対応について、「政権・与党側がメディアを呼びつけるのは、成熟した民主主義の中では、相当注意しなくてはいけない」と述べた。また、「政治的なパフォーマンスと考えているかもしれないが、国民からは支持されないだろう」と指摘している。≫日本の民主主義は成熟しているか?それはかなり疑わしい。どれだけの人がそう思っているだろうか。成熟していない民主主義なら口出ししていいのか?成熟しているかどうかはだれが判断するのだ。成熟していなくてもダメではないか。政治的なパフォーマンスのどこが悪い?野党はいいけど、与党はダメ?核心は国民から支持されるかどうかなのか。NHKを、「クローズアップ現代」を、テレ朝を、「報道ステーション」を気に食わないと思っている人たちは支持するだろう。結構、多いかもしれない。多ければ問題ないのか。それとも、結論を先決めしていて、支持するような人は国民ではないとでも言うつもりか。言論の自由は国民に支持されるかどうかに左右されるべきではないのではないか。(弁護士清水勉のブログ 2015-04-14

【安倍政権と行政の不法行為】
・16年前のドイツ滞在中、アウトバーン(自動車高速道)を使ってヨーロッパ各地をまわった。スイスの大トンネルを抜けてイタリアからドイツ・ボンまで、1日で1100キロを走ったこともある。ポーランドでは、とんでもない交通取締を体験した。だから、「ガイスターファーラー」(Geisterfahrer)という言葉を聞くと、「ポルターガイスト」(心霊現象)よりも怖い。「幽霊ドライバー」という意味で、アウトバーンを逆走するドライバーのことである。(略)3月に行われた政府の辺野古埋め立てをめぐる行政不服審査法に基づく手続もまた、高速道路で突然、目の前に車があらわれるような仰天の出来事だった。(略)私が仰天したのは、国が行政不服審査法を使ったことである。「この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによつて、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする」(1条)とあるように、明らかに行政庁による違法・不当な処分など、もっぱら公権力の行使から国民の権利を救済するところにこそ、その目的がある。(略)行政不服審査法では、不服申立適格(不服を申し立てることができる資格)に関する規定は特に設けてない。判例はその対象を「不服申立をする法律上の利益がある者、すなわち、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者」(最高裁1978年3月14日判決)としている。行政契約(都営バスの運送契約)などに見られるように、「私人が事業者である場合と変わりがない」とされる場面もあり得るだろう。今回の岩礁破壊については、岩礁破壊それ自体を単体で取り上げて「私人が事業者である場合と変わりがない」と考えるか、それとも、普天間飛行場の辺野古移設を全体として念頭に置きつつ、その一過程として岩礁破壊を捉えると、はたして「私人が事業者である場合と変わりがない」と言えるだろうか。(略)この法律の目的は国民の権利利益の救済であって、国と地方公共団体とのトラブルについて、国が審査請求をするというのはやはり異様である。(略)通常(国民からの申立て)であれば、「行政執行の停滞を招く」として執行停止を認めることがきわめて稀であるこの国の不服審査実務とは異なり、「行政執行の実務の停滞を招く」というまさにその同じ理由で、国からの申立てには間髪をいれずに執行停止を行った農水大臣の本件行為は異常であり、ここにも本線を逆走する「幽霊ドライバー」が登場したと言えるだろう。(
水島朝穂今週の「直言」2015年4月13日

【国立大学への国旗・国歌押しつけ問題】
・「国立大学の入学式や卒業式に国旗掲揚と国歌斉唱を」という参院予算委での安倍首相答弁(4月9日)に驚いた。下村文科相も「
各大学で適切な対応がとられるよう要請したい」と具体的に語っている。(略)安倍政権のスローガンが戦後レジームからの脱却である以上は、国民主権や民主主義を支えるすべての制度を敵視していることは明らかだ。安保防衛問題だけでなく、学問の自由も大学の自治も、国民の思想良心の自由も、すべてを押し潰して「富国強兵に邁進する日本を取り戻したい」と考えているだろうとは思っていた。しかし、安倍とて愚かではない。そうは露骨になにもかにもに手を付けることはできなかろう。そのような甘い「常識」を覆しての「国立大学に適切な国旗国歌を」という意向の表明である。やはり驚かざるを得ない。(略)政権が根拠とする理屈は、結局のところ、「国立大学が国民の税金で賄われている」ということ。「国がカネを出しているのだから、国に口も出させろ」「スポンサーの意向は、ご無理ごもっともと、従うのが当然」という理屈。これは経済社会の常識ではあっても、こと教育には当てはまらない。教育行政は教育の条件整備をする義務を負うが、教育への介入は禁じられている。このことは、戦前天皇制権力が直接教育を支配した苦い経験からの反省でもあり、世界の常識でもある。(略)もう一つ、安倍第1次内閣が改悪した新教育基本法の目的条項が根拠とされている。第2条(略)に、「我が国と郷土を愛する」がある。だから、「入学式や卒業式では、日の丸・君が代を」というようだ。国を愛するとは、「国旗に向かって起立し、口を大きく開いて国歌を斉唱する」その姿勢に表れる、という理屈のようだ。国家の権力から強く独立していなければならないいくつかの分野がある。教育、ジャーナリズム、司法などがその典型だ。弁護士会の自治も重要だが、大学の自治はさらに影響が大きい。国立大学は、けっして安倍政権の不当な介入に屈してはならない。もう、いかなる国立大学も、政権の方針に従うことができない。この件は大学の自治を擁護する姿勢の有無についての象徴的なテーマとなってしまった。政権への擦り寄りと追従と勘ぐられたくなければ、学校行事の日の丸・君が代は、きっぱり拒絶するよりほかはない。そうでなくては、際限なく日本は危険な方向に引きずられていくことになってしまう。(澤藤統一郎の憲法日記 2015年4月11日

【国立大学への国旗・国歌押しつけ問題 産経の愚論を駁する】
昨日(4月14日)の産経社説が、国立大学における国旗国歌押しつけ問題を取り上げた。(略)産経の議論の立て方がおかしい。「国旗と国歌に敬意を払う教育がなぜいけないのか」ではなく、「国旗と国歌に敬意を払う教育がなぜ必要なのか」と問わねばならない。さらに、「なぜかくまでに国旗国歌にこだわるのか」、「なにゆえに国旗国歌に敬意の表明を強制する必要があるのか」と問を展開する必要がある。議論の出発点は飽くまでも個人の自由でなくてはならない。(略)国家の象徴である歌や旗への態度は、個人が国家に対してどのようなスタンスをとるかを表す。これは、完全に自由でなくてはならない。日本大好きで、日の丸・君が代へ敬礼を欠かさない人がいてもよい。しかし、虫酸が走るほど嫌いで、日の丸・君が代は見るのもイヤだという国民がいてもよいのだ。国民の資格は国家への好悪が条件ではない。国民が主人公の民主主義国家においては、国家には国民に対する無限の寛容が要求される。(略)憲法とは、突きつめれば個人と国家との関係の規律である。我が日本国憲法は、安倍政権や下村教育行政や産経にはお気に召さないところだが、18世紀以来の近代憲法の伝統にのっとった個人主義・自由主義に立脚している。自由な個人が国家に先行して存在し、その尊厳を価値の根源とする。国家は価値的に個人に劣後するものでしかない。いや、むしろ個人の自由を制約する危険物として取扱注意の烙印を押されているのだ。その個人に対して、国家の象徴である国旗・国歌に敬意を払うべしとする立論には、納得しうる厳格な法的根拠が不可欠なのだ。自発的意思で国旗国歌を尊重する態度の人格形成を教育の目標とすることは、本来我が憲法下では困難というべきだろう。第1次安倍内閣が強行した改正教基法の「国を愛する」との部分は、「国」の内実の理解や、「愛する」が強制の要素を含むとすれば、違憲の疑いが濃厚である。(略)私見と、政権や産経の立論の差異の根底にあるものは、個人と国家の価値的優劣の理解である。私は、純粋な個人主義者であり、自由主義者である。政権や産経の立場は、国家主義であり全体主義である。私の考え方は、アメリカ独立宣言、フランス人権宣言、そして日本国憲法、国連の諸規約に支えられた常識的なものだ。政権や産経の立場は、旧天皇制や現在も残存する全体主義諸国家を支える思想に親和的なもの。安倍政権や産経の社説に表れた、国家主義・全体主義の鼓吹には重々の警戒をしなければならない。(澤藤統一郎の憲法日記 2015年4月15日

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