3月27日放送の「報道ステーション」であった古賀茂明さんの番組降板を巡っての同氏と古舘伊知郎さんのバトルについて同番組での古賀発言を必要以上に買いかぶるある種のムーブのようなものがあって、そのいかにも軽々としたカレント・デモクラティック(もちろん、真の「デモクラティック」とは無縁です)に苦々しいものを感じていたところ、kojitakenさんが私とほぼ同様の違和感を述べていてやや気保養しました。
 
古賀茂明が古舘伊知郎と安倍政権・テレ朝上層部との妥協を告発
(kojitakenの日記 2015-03-29)
 
上記記事に見るkojitakenさんの「古賀茂明も古舘伊知郎も、『報道ステーション』という番組も基本的に買っていない」という認識、「古賀はすさまじい新自由主義者」という認識、同番組の前コメンテーターの加藤千洋さんの評価についてもほぼ私の認識、評価と同じです。ただ、kojitakenさんは古賀茂明さんについて「すさまじい新自由主義者」という認識しか示していませんが、私は古賀さんの「脱原発」の姿勢についてもまがいものであるという認識を持っています。そのことについてはこちらの記事ほかで何度も書いています。さらに古賀さんがただ「元経産省官僚」というブランドだけで専門外のことをしたり顔で解説する(雑談ならともかく誠実な人はこういうことはしないでしょう)姿勢についても大きな違和感を持っています(これは内実よりもブランドを重用するメディアの責任でもありますが)。
 
しかし、そうした私の古賀茂明評価があるとしても、これもkojitakenさんも言っていることですが、古賀さんの「昨今の "I am not ABE." の発言」や「古賀外しには『古舘プロダクションの佐藤会長』とかいう人間が一枚噛んでいること」を暴露した点、すなわち、安倍政権とテレビ朝日の上層部との間に「妥協」があったことをナマの報道番組を通じてはじめて暴露した点については「古賀の暴露ぶりは、テレビで見ていてみっともなさを感じるパフォーマンス」だったとしてもおおいに評価してよいことだと思っています。
 
さて、これだけ私流の古賀茂明批判をしておけば、下記の山崎雅弘さん(現代紛争史研究家)と加藤典洋さん(文芸評論家)の古賀茂明評価を紹介しても誤解はされないでしょう。

以下、山崎雅弘さんと加藤典洋さんの3月27日放送の「報ステ」における古賀発言評価。
 
山崎 雅弘Twitter(2015年3月28日)から。
 
昨晩の『報道ステーション』での古賀茂明氏の行動については賛否があるが、一般には水面下に隠されている「大手テレビ局に対する政府からの圧力」が、今のこの国で存在することを、水面の上に出して可視化したという意味で、公益にかなう行動だったと思う。それを番組内で言った出演者は、他にいない。メディアの業界人を含め、国民は「おかしいと思ったことは、口に出して言わなくてはならない」という発言も、公益にかなう行動だったと思う。しかし「テレビ朝日の早川会長」は既出として「プロダクションの佐藤会長のご意向で」というのは初めて出た名前で驚いた。古館氏は動揺していた。森永卓郎氏もラジオで指摘していたが、メディアの翼賛体制に異を唱える声明に、大手メディアによく出演する「有名なコメンテーター」はほとんど誰も賛同していない。翼賛体制に異を唱えない。政府批判を控え萎縮するメディアの流れに疑問を感じない人は、大手メディアに今後も使ってもらえる
 
民主主義の原理原則に反した行動を政府が行えば、テレビの生放送ニュース番組等で、永田町や霞ヶ関の予想しない形で「ハプニング」が起きるのは、メディアの健全性がかろうじて残っている証しだと思う。ロシアのクリミア併合が行われた時も、RT英語放送のアナウンサーが生放送中に抗議して辞職した。政府がテレビ放送局に「政権批判するな」との圧力をかけ、テレビ放送局の上層部がそれに迎合して、政権批判を行った社員や外部出演者に制裁を加えるというのは、独裁国家など非民主主義国によく見られる特徴だが、日本は「そういう国ではない」と信じられてきた。現実は水面下で確実に変わりつつある
 
「今日はJ(大手芸能プロ)やD(外資系エンタメ産業)の批判はNGでお願いします」という検閲を「わかりました」と日常的に受容する「テレビ出演者」は、「今日は政権批判もNGでお願いします」と言われても、抵抗感なく受容できるのかもしれない。両者の意味は決定的に違うが、違いを認識しない。昨年12月19日付東京新聞への寄稿文でも書いたが、社会が権力を持つ一部の人間によって「国民の合意(民主主義)とは違う方向に作り替えられる」時、何もせず沈黙し傍観するのは「中立」でも「第三者」でもない。変化の流れに加担する群衆になる。民主主義に大した価値を置かない人や、実質でなく形式で物事を捉え考えるタイプの人には、古賀茂明氏の行動は「番組を降ろされた個人的恨みの発露」にしか見えないかもしれない。以前なら首相や閣僚が辞任を強いられた状況でも今はそうならないのはなぜかという、より重要な問題の根源に目を向けない。
 
昨晩の『報道ステーション』で、古氏は「ニュースとは関係の無い話になった」ことを視聴者に対して「詫び」ていたが、今日どこで何があったという具体的情報伝達だけが「ニュース」だと思っているなら、この番組に未来は無いと思う。「テレビ局の変質」自体、視聴者にとっては重要なニュースだろう。
 
【古賀茂明生放送で暴露】古伊知郎と激論動画(報道ステーション)(NAVAR)

あらゆる出来事と同様、昨晩の『報道ステーション』の意味や価値も、今すぐ評価できるのは全体の一部でしかない。全体の意味は、何年も経った後で初めて明らかになる。古賀茂明氏の件に限らず、政治的な意志表示をする人間に対して、その主張内容の是非に触れることを避けつつ、意志表示の手段や形式的瑕疵、発言者の人格問題に論点をすり替えるパターンは多い。社会の「形式」を管理統制することに長けた人々から見れば、こうした思考パターンは自分たちの味方だろう。
 
報道ステーション:古舘キャスターと古賀氏のやりとりは…(毎日)これは予想外の展開。毎日新聞が、古賀氏と古氏の番組内でのやりとりを正確に書き起こして、番組を観ていない読者に「判断材料」として提示している。これもジャーナリズムの仕事。古賀茂明氏は、番組の中で「菅官房長官がテレビ局に圧力をかけている」と述べていたが、現職の官房長官がテレビ局に直接圧力をかけて報道統制を行っているのが事実なら、民主主義国の根幹が既に崩れていることになる。記者は国民の「知る権利」に応えて、会見で官房長官に問いただす必要があるだろう。
 
加藤典洋Twitter(2015年3月28日)から。
 
報道ステーション面白い。たまたま見ました。古賀さん、まとも。一人しっかりした人がいると、朝ナマなんていうのも真っ青だね。ガンジーのフリップ、素晴らしいです。古賀さんのテレビの遺言だが、反テレビの産声にも聞こえた。
 
4.古賀「何もなくプラカを出せばただの馬鹿ですが、官邸が個人攻撃をしてきているんです。菅官房長官が、名前を出さず、私を批判してきています。『とんでもない放送法違反だ』と裏で言っていると聞いています。それは大変なこと。免許取消もあるという脅しですから」@iwakamiyasumi4.古賀「何もなくプラカを出せばただの馬鹿ですが、官邸が個人攻撃をしてきているんです。菅官房長官が、名前を出さず、私を批判してきています。『とんでもない放送法違反だ』と裏で言っていると聞いています。それは大変なこと。免許取消もあるという脅しですから」@iwakamiyasumi
 
1.これより、たった今行われた「報道ステーションの出演を終えたばかりの元経産官僚・古賀茂明氏への緊急インタビュー(聞き手:岩上安身)」の様子を報告します。@iwakamiyasumi1.これより、たった今行われた「報道ステーションの出演を終えたばかりの元経産官僚・古賀茂明氏への緊急インタビュー(聞き手:岩上安身)」の様子を報告します。@iwakamiyasumi
 
2.岩上「報道ステーション、最初にアドリブで降板に至った経緯を話したところで止められましたね」。古賀「官邸に抗議することが今回の目的でした。古舘さんは私に『何もできずすみません』と言っていたのであれくらいいいかと思いましたが、古舘さんには立場がある」@iwakamiyasumi
 
3.古賀「古舘さんとはとても仲良くしていただいていたので、止められて、非常に驚きました。だから『言っていることと違うじゃないか』と言わせていただいた。『I AM NOT ABE』のプラカードを出し、『なぜあそこまでするか』と思う人も多かったでしょう」@iwakamiyasumi
 
5.古賀「脅されて、常に不安を持ちながらも『黙ってはいけない』ということで、無理矢理、自分を追い詰めていました。ガンジーが言っていたように『1人騒いでも社会は変わらない。大人になろうと思って何も言わなくなったら、自分が変えられたことになってしまう』」@iwakamiyasumi
 
6.古賀「僕はいつもそう強く思っているので、攻撃されて黙るのではなく、言われたら言いたいことをどんどん言うつもりでやっています。テレ朝には申し訳なかったですが、私がいきなり言ったので、誰の責任にもなりません」@iwakamiyasumi
 
7.古賀「最初『I AM NOT ABE』のときは事前にやるとスタッフに言っちゃったんです。あとで(上から)言われてしまったようなので、今回は内緒でいきました。僕としては最大限気を使ったつもりですが、突然ですから裏切りだと思う人もいると思います」@iwakamiyasumi
 
8.古賀「今日は番組後に、報道局長をはじめガンガンガンガン言われました。あんなニュースと関係ないこと言うのはおかしい、事前に言ってくれないのもおかしい、と。でも僕は、話す内容を打ち合わせること自体が変だと思っています」@iwakamiyasumi
 
9.古賀「彼らは『そんなこと突然言われても世の中の人は何もわからない』といいます。わからなくてもいい。日本の報道がどうなっているかの議論のきっかけになればいいし、私物化というが、僕は自分の利益でやっているわけではないんです。利益を考えればやりません」@iwakamiyasumi
 
10.古賀「官邸や政府はマスコミをどう押さえるかに力を入れています。僕達数少ない人間が戦う場を与えられれば活用します。しなければ、日本がとんでもないことになる。『変な人だ』という人もいると思う。でも、普通の人はまだ危機的状況がわかっていないと思う」@iwakamiyasumi
 
11.古賀「政権が圧力かけるのは日常茶飯事です。私ももともと経産官僚なので。今行われているのは、『計画的にどう報道を抑えていくか』ということです。官邸の偉い人とご飯を食べて、審議会にどうこう言われれば、みんな(報道姿勢が)変わるそうです」@iwakamiyasumi
 
12.岩上「今後、古賀さんはどうしていくのでしょう」。古賀「これで東京でのキー局出演は当分ありえません。でも、これで自由にもなったので、いろいろやっていきたい。今後は『フォーラム4』をやっていきたいと思います。サイトがあるので検索してください」@iwakamiyasumi
 
いまIWJの古賀さんの活字実況を読んだところ。この人はいい。昔、フランスでインテリの出てくる討論番組をテレビで見ていたら、途中、大げんかになって一人スタジオから出ていった。でもちょっと話題になったくらいだった。そうでなきゃ。テレビってもともとそういうメディアだったんじゃないのか
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