一昨日6日日曜日の午後8時45分。NHKテレビは同局の看板番組の大河ドラマ「江」の終了直後に名古屋市長選挙と愛知県知事選挙の開票前から同市長・県知事選における河村たかし、大村秀章のダブル圧勝と当選確実、その河村たかしが強引に音頭をとった名古屋市議会解散の賛否を問う住民投票における賛成多数の結果を伝えるニュースを早々と流しました。テレビには早々と当選確実を果たした河村たかしと大村秀章のハシャギ声とその姿が大きく映し出され、また流されていました。予想はしていたもののこのなんとも寒々しい風景に私は深く身ぶるいし、やりきれない思いをかみしめていました。これがいまのこの国、また社会の現実なのだ、と。

一方で、この河村たかしと大村秀章のダブル圧勝と名古屋市議会解散決定のニュースを欣喜雀躍して喜ぶ者がいます。その人々はおおむねいわゆる小沢礼賛者に一致し、小沢信奉=河村信奉の構図を作っています。その代表格は次のような人士でしょう。

(1)植草一秀「河村市長大勝が示す菅政権庶民大増税糾弾の民意」(2011年2月7日)
(2)天木直人「河村さん、おめでとう。これからが勝負ですよ」(2011年2月8日)

こうした小沢礼賛者たちがいかに管・民主党政権を強く批判したところで、彼ら、彼女たちが礼賛するその小沢一郎も同党前代表や幹事長を歴任した誰よりも民主党的な民主党員であることが明らかである以上、この小沢礼賛は結果的に民主党礼賛、擁護の論にしか成り果せないのですが、彼ら、彼女たちにはそうした自覚は皆無のようです。実に非論理的な思考力としかいいようがありません。こうした彼ら、彼女たちの非論理的な思考のベクトルが小沢信奉から河村信奉に向かうのは見やすい道理というべきでしょうか。

次のような人士も本人の思惑、また意図を超えて結果的に小沢信奉=河村信奉の構図を作ってしまってい
る一員に成り果せていると見てよいでしょう。


保坂氏は河村たかしと大村秀章のダブル圧勝を次のように評価します。

自民党のような政治は、自民党が一番得意だ。政権交代したことの意義は、一度でいいから「自民党でない政治をしてほしい」ということではなかったか。旧体制を代表する新聞・テレビが民主党政権の「頼りなさ」「非現実性」を批判したからと言って、立ち止まってはいけない。しかし、現状は立ち止まるどころか後退してしまっているように多くの人が感じている。

その政治の後退を止めうる展望を示したのが今回の「名古屋・愛知の選挙結果」であり、「名古屋市長選挙の河村氏、愛知県知事選挙の大村氏の勝利」であった、と保坂氏は評価するのです。ここには河村、大村のポピュリズム政治の経歴、その危険性を見抜く0.01の深視力も感じることはできません。こうした保坂氏の姿勢には民主党に必ずしも批判的ではない、逆に親和的なハンパな革新政党である社民党の党員であるという事実と相呼応するふがいなさしか私は認めることはできません。(注1、2)

注1:上記のようなハンパな民主党批判論者及び社民党系支持者の小沢礼賛思想の跳梁を許している背景にはどんなことがあっても共産党だけは評価したくない、また票は入れたくない、という思想の根深いところにある一種の反共主義が横たわっているように私には見えます。だから、左記の民主党批判論者及び社民党系支持者は、菅・民主党政権は許せないけれども小沢・民主党政権の実現には期待するという実に中途半端な「革新」思想しか持ちえないのです。しかし、そうした一種の反共主義を人々の思想に根深く根づかせている大きな原因は実は共産党自身が再生産し続けているのだともいわなければならないように思います。そして、このことに共産党もまた無自覚、無知覚なのです。こうしていま政治は残念なことに低次元のレベルで堂々巡りを続けています。私たち真の革新政治の実現を願う者はいずれにしてもこの閉塞状況を打ち破る必要があるでしょう。その契機となりうるのは、それぞれの政党、政党支持者、また革新系無党派市民がそれぞれの陥穽としての無自覚、無知覚に気づくところから始まるように思います。

注2:上記(1)(2)(3)のブログ記事はともにNPJ(News for the People in Japan)紙の「NPJ お薦め 論評」欄に掲載されているものです。以前にも述べたことですが、このようなポピュリズム政治擁護の記事を「お薦め 論評」として掲載することに躊躇しないNPJ編集部の非見識に私は大きな疑問を持ちます。「私たちは憲法と人権を守る市民の側からの情報発信とコミュニケーションを提案します」というNPJ宣言文に反する営為というべきではないか、と。

さて、上記(1)(2)(3)のポピュリズム政治擁護の記事のほかに次のような河村、大村市政(県政)擁護の記事もネット上には出回っています。河村、大村市政(県政)擁護者の頭の構造、愚の本質が顕著に表れ出ている記事という点ではおおいに負の参考になりえますし、同記事でふりまかれているデマを(幼稚なデマですが、かといって)放置しておくわけにもいきません。以下1、2の点について同記事を批判しておきます。

■「名古屋の選挙 やっぱり民主主義」(武田邦彦/中部大教授 平成23年2月7日)

武田邦彦という某大学教授は知る人ぞ知るトンデモ学者として有名な人です。彼のこれまでのトンデモぶり
については下記のブログ記事をご参照ください。


ここでは今回の武田某の記事のトンデモぶりの1、2の例をあげて批判しておきます。

第1。この武田某は上記の「名古屋の選挙 やっぱり民主主義」という記事において名古屋市選管を「公平な委員会ではなく、特殊な政治団体で、選挙結果を自分の考え通りにしようとする、いわば『犯罪団体』」とまで糾弾しているのですが、その「犯罪団体」の証拠のひとつとして下記のような例をあげています。

今回も、市議会解散の投票に際して、投票用紙に「賛成」と漢字で書かなければいけないと言うことになったのです./例えば「賛成」という漢字が難しいので「さんせい」とひらがなでかいたら無効という事です./ひらがなは日本語です。それに、投票覧には「賛成」か「反対」しかないのですから、「さんせい」とひらがなで書いてもその人の意志は分かるはずなのです.

しかし、武田某のあげる上記の例は嘘八百です。実際には投票用紙の漢字表記について名古屋市選管事務局は次のような告示文を発表しています。

名古屋市議会の解散に賛成の場合は「賛成」と記入してください。/名古屋市議会の解散に反対の場合は「反対」と記入してください。/「賛成」または「反対」を平仮名やカタカナで記入してもかまいません。/他のことは記入しないでください。」

ご覧のとおり名古屋市選管は「『さんせい』」とひらがなでかいたら無効」などとは一言も言っていません。少し調べれば誰にでもわかるようなウソを武田という大学教授は平然と述べて恥じない人なのです。武田某という「学者」のトンデモぶりの一端がおわかりになられたと思います。

第2。武田某は「私にとっては市議会の解散に関する投票にもっとも強い関心がありました。結果は賛成が70万票、反対が20万票で圧倒的多数で解散が決定しました」と河村ポピュリズム市長が音頭をとって行った今回の市議会解散投票を手放しで礼賛するのですが、中日新聞(2010年9月18日付)はこの市議会解散投票について、「わざわざリコールなどせずとも、来年(2011年)4月の統一地方選で名古屋市議会は改選を迎える。それを2か月早めるだけのリコールで、4億5千万円もの費用がかかる。これを、たの使い道に使えば何ができるか」として河村市長が音頭をとった今回の市議会解散住民投票運動を強く批判しています。以下、中日新聞記事からの引用(リンクがすでに切れていますので下記ブログ記事から再引用します)。

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